スペステへの挑戦2

 俺が近づこうとしたタイミングでポイズンパピヨンの身体が光りだした。

 羽を羽ばたかせながら、風魔法を発動してきた。魔物は詠唱というか魔法名を言わずに、このような形で発動するようだ。

 俺は注視していたおかげで、風魔法を素早く横に移動し余裕をもって躱す。

 瞬間かなりの勢いの風が隣を吹き抜ける。

 直撃は避けた方が良さそうだな。吹き飛ばされるだけか、それとも切り刻まれるのかわからないしな。


 俺はポイズンパピヨンに近づこうとしたが、さらに相手が風魔法を使うために身体を光らせていた。

 相手が風魔法を発動したと同時に横に躱して、俺もアイスランスを放つ。

 だが、これはポイズンパピヨンに躱されてしまった。距離がまだ10メートル以上あるからな。

 それにしても魔物にしては何か賢い気がするぞ。

 魔法を放った後の隙も少なそうなんだよな。それって普通知能の高そうな魔物がする行動じゃないのか。

 厄介だな。俺も戦闘中、特に移動しながらは、そこまで魔法を自在にコントロール出来る様には上達していないしな。


 出来るか分からないが、いいことを思いついたぞ。

 俺は今まで普通にアイスランスを発動させたら、手元から出していたので、その通り魔法を使っていた。

 だが、小説や漫画とかだと離れた位置から発動させているものも多くあった。

 今回出来るかはわからないが、相手の身体の中からアイスランスを発生させようと思う。

 こういうのは反則的な攻撃方法だと思った事がある。実際これが出来たら、人間相手には負けなしだろう。というかやばすぎるけど、魔物相手に優位取れるならやってみよう。


「〈アイスランス〉、っ!?発動もしないか。実際に出来たら魔物相手でも強すぎるからな」


 相手によっては即死魔法になりそうだし、出来たらやばすぎるな。

 というよりも、発動しないという事はイメージ通りに出来ていて、例えば魔法の始点となる場所に物質がある場合は発動しないとかかもしれないな。普通なら、手元からアイスランスが出てもおかしくないと思うし。

 それならと、今度は目に見える範囲で出来ないか試してみた。

 よくある相手の周りを魔法で囲って、逃げ場をなくしてしまうやり方だ。

 今は連続で発動してもタイムラグがかなり発生するので無理だが、相手の頭上からの攻撃が出来るかどうか試してみよう。

 また、ポイズンパピヨンの身体が光りだしたので、横に走りながら機会をうかがう。


「遅い。食らいな、〈身体強化〉〈アイスランス〉!!よっし、上手くいった!!」


 ポイズンパピヨンの風魔法を素早く躱して、身体強化でアイスランスの威力を上げて残りの体力を削りきった。

 最後の攻撃のアイスランスはポイズンパピヨンの身体を貫き、光の粒子となって消えていった。

 そして、ポイズンパピヨンのいた空中から魔石が落ちた。壊れたりしてないよね?


 ゴブリンキングの時は余裕があったから、魔法のレベリングの為に身体強化使わなかったけど、ここではレベリングよりも倒すことが優先なんだから身体強化を最初から使えばよかったな。すっかり忘れてたよ。

 あとは、単体相手だったから単体用のアイスランスを使っていたけど、こんなに躱されるんだったらダイヤモンドダストで完全に当てにいけばよかった。

 戦闘中だったからそこまで考えが回らなかったな。

 魔力消費的にはアイスランスの方がいいから、次回は頭上からのアイスランスを使い、もし躱されたらダイヤモンドダストに切り替えよう。


「おっ、銀箱だ。ダンジョンの管理人様、回復魔法のオーブをお願いします」


 俺は魔石を拾った後に、宝箱に罠がないか確認してから、開けてみるとなんとオーブが入っていました。


「オーブだ!あれっ、何か色が違うぞ」


 今までのオーブは全て水色だった。俺は最初手に入れた水魔法のオーブが水色だったから、魔法によって色が違うかと思っていたが光魔法や風魔法のオーブも同じ水色だったのだ。

 それからスキルオーブもそれなりに手に入れたのだが、どれも水色だった。

 しかし、今回出てきたのは、薄い黄色のオーブだ。

 分からない時は鑑定に限る。オーブを鑑定してみると、


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名称:鎌術のオーブ(LV3)

状態:高品質

価値:Cランク

詳細:鎌術の心得を持つ事が出来るオーブ。所持している状態だと、鎌術の魂狩りが使えるようになる。

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 残念、スキルオーブかぁ。

 ただ、レベル3だ。初めてレベル1以外が出た。色が違うのはレベルが違うからっぽいな。

 それにしても、鎌術が来るとはな。

 ホストンさんに鎌を作って欲しいと前に言ったら、鎌のアーツは最初に覚える鎌払いしか分かっていないらしく、人気がないとの事だった。

 俺の場合は鑑定があるから関係ないが、一旦保留にしていたところだ。

 こんな事なら鎌作って貰ってもよかったかもな。

 いや、もしかしたら人気がないという事は店の鎌が売れないから鉄のインゴットから作るのではなく、店のを買って欲しいのかもしれないな。

 鎌をメインで使う予定はないから、お店に貢献する為に新品で買おうかな。うん、そうしよう。


 あとは、魔石を鑑定してみるか。大きさはゴブリンキングの魔石と同じぐらいだと思う。では、鑑定してみよう。


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名称:魔石(中)

状態:普通

価値:Dランク

詳細:魔力を宿した石。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ゴブリンキングと同じだな。

 ポイズンパピヨンもDランクの魔物ということだろうな。


 さて、宝箱の隣にはいつもの転移陣があるが、これは帰りじゃなくて2階層への転移陣だと思う。

 階段も見当たらないからね。

 一応周りを一通り確認してから、転移陣に乗り、次の階層へ向かうのだった。

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