杖が欲しい
俺は朝から武器屋に来ている。
杖を買うためだ。
先日の誕生日の夜にメモノートを見て、杖が必要だと思い出したからだ。
スキルの杖術。マリーを鑑定した時に、杖術も鑑定したのだがこれはスキルだが魔法関係の上達には必要だと思ったのだ。
マリーの杖術を鑑定した結果はこうだ。
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杖術:杖の扱いが上手くなり、魔法の制御と精度が増す。
LV1:魔法を使う時、魔力を少し溜めやすくなる 精神力+5
LV2:杖の扱いが少し上手くなる 抵抗力+5
LV3:魔法の制御が少し上手くなる 精神力+5
LV4:魔法の精度が少し良くなる 抵抗力+5
LV5:魔法を使う時、魔力を溜めやすくなる 精神力+5
LV6:杖の扱いが上手くなる 抵抗力+5
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見事に魔法関係の項目だらけだ。
俺はここ最近、ずっと魔法のレベル上げをしている。
それなのに杖を持たずして行っていたので、もったいないことをしたと思ったのだ。
このスキルを見てみると、アーツがない。
そして魔法の制御や精度が高まることや魔力を溜めやすくなるなど、杖を使って魔法を使っていけばレベルが上がりそうな感じがすると鑑定した時は思っていたのだが、すっかり忘れて今に至るということだ。
そして急ではあるが、木の杖を買いに来たわけである。
「ホストンさん、木の杖を下さい」
「また急に来たと思ったら、今度は杖か?お前ぇ、まさか魔法も覚えたとか言うんじゃないだろうな?」
おっと、魔法が使える事を言った事はなかったな。さて、どうしたものか?
まあ、ホストンさんにはもう色々話しちゃってるし、今更感あるから話しても問題ないか。
「ボスを倒したら、魔法のオーブを手に入れたので杖が欲しくなったんです。なので、木の杖を下さい」
「そうか…まあ、そんな事だろうとは思ったけどな。それで木の杖でいいのか?もう少しいい杖もあるぞ?」
「いえ、始めは木の杖で大丈夫です。上達したらもっといい杖を買うか素材集めて作って貰うかしますね」
杖の素材は木製が多い。
鉄などで作ると魔法使いにとっては重たくなってしまうので、木で作った素材が多く流通しているとの事だ。あと魔力の伝達率が木製の方がいいものが多いらしい。
「そうか、ならあそこから好きなのを選べ。値段は5000Lだ」
「はい」
俺は木の杖を鑑定し良さそうなのを選んだ。
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武器名称:木の杖
状態:良品質
価値:Gランク
特殊効果:なし
詳細:ガグの木で作られたとても丈夫な杖。攻撃力+3、精神力+3
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安定のガグの木で作られた杖である。
それにしても普通の木の杖なのに、精神力がしっかりとプラスされている。
ちなみに木の杖に高品質はなかったので良品質で良さそうなのを選んだ。
「この杖にします。はい、銀貨5枚です」
「まいどあり」
ホストンさんにお金を払い、木の杖を買った。
あとはインゴットの事を聞いてみるか。鉄のインゴットを数えきれないくらい手に入れたのだが、全て普通品質だったのだ。
そして、最初に作って貰った短剣を含めて、高品質や良品質の武器をいくつも作って貰っている。
「ホストンさん、インゴットに比べて作って貰った武器の出来がいいのはなぜですか?」
「それは鍛冶スキルのおかげだな」
鍛冶スキルか。予想はしていたが、普通品質からでも高品質が作れるってなかなかのレベルじゃないだろうか?
俺は家族以外には鑑定を使ってこなかったので、今ホストンさんを鑑定する事はしない。
前世の感覚が残っているからなのか、どうも個人情報保護法に引っかかるような感じがして鑑定できていなかった。
どの会社も情報漏洩に対して、厳しい管理をしていたと思うんだよな。
本音をいうと、他の人の能力を勝手に見るのが忍びなく、それに失礼だと思ったからだけど。
家族には鑑定の事を話そうと思っていたからしちゃったんだよね。事実、しっかり説明したしさ。今にして思えば甘えだったかも。
ホストンさんに鍛冶スキルの事を少し聞いてから店を出る。
印象的だったのは「鍛冶スキルは成長する」と思いが込められて言われた事だろうか。
この世界の人はスキルレベルは知らなくても成長していく事は知っているようだな。
やはり真実を広げるのはまずいだろうか?世界中が混乱する未来が見えるな。何か変な事が起こらない限り、真実を広めるのはやめておこうかな。
そして、俺はダンジョンへはいかず家に戻ってきた。
今日はダンジョン攻略はお休みだ。
理由は水魔法のオーブをオークションに出して貰うお願いをする為に、コウガの知り合いの商人と会わせて貰える事になっている。
とはいえ、会う約束をしているのは13時頃らしいので、昼食を食べた後に会いに行くことになる。
昼食まで時間があるので、庭で武器の訓練をしようと思う。
短剣が2本手に入ったので、二刀流のスキルがないか試しているのだ。1本は解体用ナイフなんだけどね。実際には解体にしか使わないかな。
仮想ゴブリンキングをイメージして、回避しつつ両短剣で交互に斬りつけていく。
魔力がなくなった時に短剣で戦闘訓練を行っていたが、その時は1本の短剣だった為、2本使うのはなかなかに難しい。
ある程度、納得が出来る形まで出来るようになったが、二刀流のスキルは覚えていなかった。ないのかもしれないからこれ以上はやめておこう。
俺の訓練が終わる頃に、マリーから拍手を貰い、昼食にすると言われたので一緒に昼食を取ることにした。
食堂に行く途中、マリーから短剣の扱いがすごく上手と褒められたのだった。
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