新たな武器の製作依頼

「そういえば、このアクセサリーはどんな能力かわかるか?」


 コウガが腕輪と指輪の装備アクセサリーについて聞いてきた。

 そういえば、腕輪は鑑定してなかったので、鑑定してみた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アクセサリー名称:魔法力の腕輪

状態:普通

価値:Eランク

特殊効果:なし

詳細:精神力と抵抗力が少し上がる腕輪。精神力+10、抵抗力+10

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 えっ、これ結構強いぞ。

 初級ダンジョンでも結構いい装備が出るんだな。流石銀箱。素晴らしい。


「お父様、腕輪の方は魔法力の腕輪で精神力と抵抗力をプラス10ずつします。指輪の方は守りの指輪で耐久力をプラス5します。特殊効果はどちらもありません」


「なるほどな。初級ダンジョンにしては、この腕輪の性能はいいな。中級ダンジョンでも十分使えるぞ。魔法使いが欲しがる装備だな」


 コウガが認める程の腕輪という訳だな。まあ、初級ダンジョンで入手できる腕輪にしてはってことだろう。

 それからポーションやマジックポーションは、もしもの時の為に持っておくように言われた。

 インゴットは鍛冶師のホストンさんに武器を作って貰うか、買い取って貰う事もできると言っていた。

 そして、最後に銀箱から出た万能薬の話だ。


「銀箱から出た万能薬は貴重だったりしますか?」


「それなりに貴重だな。普通は毒になったら解毒薬、麻痺になったら麻痺治し薬を使うんだが、万能薬はほとんどの状態異常に使えるんだ。一応、回復魔法に万能薬と同じ効果を持つ魔法があるが、回復魔法を使える人は少ないからな」


 回復魔法か、出来れば回復魔法のオーブが欲しいけど、手に入れるのは難しそうだな。ドロップは相当運が良くないとなぁ。


「とはいえ、初級ダンジョンでは使う事はないだろうな。中級ダンジョンから徐々に状態異常攻撃をしてくる魔物が出てくるが、必要になるのはかなり先になるだろう」


「わかりました。大事にしまっておきますね」


 それからしばらくの間、今日のダンジョンの話を家族に聞かせた。

 ある程度、話が終わったら、風呂に入ってから寝ることにした。

 この世界にはウォッシュとドライで身体を綺麗に出来るが、平民、貴族と関係なくお風呂に入る習慣がある。

 前世と同様にお風呂に入ると疲れが取れたり、リラックス効果があると言われている。

 それに、日本人の記憶を持っている為か、毎日お風呂には入りたい。異世界でもお風呂は最高だな。


 次の日、朝食後に少し休憩してからギルドへ向かう。

 まずは魔石の依頼を今日も受け、携帯食料を買ってギルドを出る。

 その後、ダンジョンには向かわずに、今日は武器屋に向かった。


「ホストンさん、おはようございます」


「リオンか、おはよう。朝早くからどうした?」


 時刻は8時30分頃だ。

 武器屋自体は早くからやっているが、冒険者でこんなに朝早くから武器屋を訪れることはあまりない。

 それは依頼を受ける前に武器を調整したりすることはせず、前日に行うか休みの日にする事が多いからだ。


「実は鉄のインゴットをそこそこ手に入れたので、武器を作って貰いたくて持ってきました」


 俺は机の上に鉄のインゴットを4つ置く。


「おいおい、これどうしたんだ?」


「えっと、ゴブリンキングを倒して手に入れました。一応、お父様からもホストンさんには伝えてもいいと許可は貰ってます。ただ、あまり他言はしないで下さいね」


 昨日の夜にインゴットを加工して貰うなら、ゴブリンキングを倒して手に入れたことは話してもいいとコウガに許可は貰っている。

 ただ、ホストンさんがどういう対応をするかはわからないと言っていたので、ダメだった場合は違う日にコウガが一緒に付いてきてくれると言っていた。頼もしい父親である。


「一応聞くけど、コウガと一緒に倒したんだよな?」


「……1人で倒しましたけど……」


「……」


 少しの沈黙が2人の間に流れる。

 やがて、ホストンさんが興奮した様子で喋り始める。


「おいおい、まじかよ。お前、とんでもねえな。その歳でボスを1人で倒すなんて。どうりでコウガがめちゃくちゃ自慢する訳だ」


「ははは……そうだ、銅のインゴットも1つあるのですが、1つじゃ武器作るのに足りないですよね?」


 コウガはそんなに俺のことを自慢していたのか?照れるぜ。

 それはそうと銅のインゴットも1つあるしな。ナイフでも作れるなら渡そうかな。


「銅のインゴット1個だとナイフ作るにも足りないな。料金が少し高くなってもいいなら作ってやるがどうする?」


「それなら今回は鉄の方だけにします。ちなみに鉄のインゴットの方は4つで何が作れますか?あと加工費っていくらぐらいかかりますか?」


 そういえばあまりお金なかったことを思い出した。最初にコウガに今後の昼食代として貰った5000Lに、昨日と一昨日で稼いだ7000Lを合わせた1万2000L。

 そこから携帯食料500Lを2日分と初日に買った水100Lを引いた1万900Lが俺の今の手持ちだ。


「この量なら鉄の剣は打てるな。鉄の剣は持ってるから、短剣はどうだ?短剣だったら、他にナイフも一緒に作れるぞ。加工費は5000Lかかるが大丈夫か?」


「それじゃあ、短剣とナイフでお願いします。ちなみに加工費って2つだと1万Lになりますか?」


 一応払えるけど、1万Lだとほとんどなくなってしまうな。


「短剣とナイフの両方で5000Lでいい。それよりナイフは解体用になるんだがいいのか?」


 短剣なら短剣術が覚えられるな、ナイフは解体用になるのか。一応持っておいてもいいだろう。今後必要になりそうだしな。


「解体用のナイフで大丈夫です。よろしくお願いします」


 俺はそういうと銀貨を5枚出して、ホストンさんに渡した。


「まいど。リオン、しっかりした短剣とナイフを作ってやるから楽しみにしてろよ。大体3日後の夕方までには出来上がると思うから、それ以降に来てくれ」


「了解です。では、3日後の夕方に一度確認にきますね。楽しみにしてます」


 短剣とナイフの注文を終え、お礼を伝えてから武器屋を出る。

 そして、ダンジョンに向かう為、軽快に歩みを進めるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る