銀箱の中身は?

「やった。銀箱だ。魔法系のオーブがいいけど、水魔法がスキルマじゃないから他のレアアイテムでもいいかな」


 ワクワクしながら銀箱を開けてみると、そこにはポーションに似たアイテムが入っていた。色は薄い緑色だ。

 ポーションや、マジックポーションとは入れ物の形が少し違う。ポーションなどは丸底フラスコのような入れ物に入っていたが、今出てきたのは三角フラスコみたいな感じの入れ物だ。

 早速、この薄緑色のアイテムを鑑定してみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名称:万能薬

状態:良品質

価値:Cランク

調合素材:高能草と魔法水

詳細:身体にかけると状態異常を回復する。飲むと状態異常回復と体力が50回復する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 万能薬キター。

 今のところ状態異常になるような相手はいないけど、これは保険としては持っておきたいものだ。

 中級ダンジョンには状態異常攻撃を使ってくる相手は出てきそうだしな。行くのはまだまだ先だと思うけど。

 それにしても万能薬はもっと価値が高そうなイメージだけど、調合出来るから価値のランクがCなのかな?

 これは後でミランダに聞いてみるとするか。


 少しの休憩で水を飲んだ後に、ダンジョン攻略のノートを付けて再度周回を再開させる。

 ここから4回程、宝箱を開けるが赤箱が2個、木箱が2個だった。

 中身は赤箱が鉄のインゴット、マジックポーション2本、木箱がポーション2本×2回だった。


 魔時計で時間を確認して見ると15時40分頃だったが、17時までには家に帰っておきたいので、今帰れば昨日と同じぐらいの時間には帰れるだろう。

 だが、頑張ればあと1周ぐらい行けそうだ。今が1周30分から35分ぐらいで回れている。そして1回毎に5分以上の休憩をきちんと取っている。

 今からすぐに潜って、最初から身体強化で走り、しかも道中の魔石を回収しないでゴブリンキングを討伐すれば20分ぐらいでクリアできるのではないだろうか?

 そうすればここを出るのが16時で身体強化でテルーゼの町まで走れば20分ぐらいで着くだろう。ギルドの報告を15分ぐらいと考えるとギルドから家まで30分もかからないな。どこかでオーバーしても少し余裕がある。よし行ける。

 一応、魔力を確認すると600以上はあった。身体強化は調整しながら行くしかないな。


 そして、俺は高速でダンジョンを走り抜け、道中の敵は鉄の剣で倒し魔石を拾わずに速度を保ちつつボス部屋まで駆ける。

 ボスは今まで同様ウォーターアロー連発で終わらせた。

 さすがにボスの魔石は回収し、宝箱を見に行くと、そこには銀色に輝いた宝箱が現れていた。


「やった、ラッキー。最後にもう1周したのは正解だった。かなり運が良かったな。鑑定は帰ってからにするか」


 銀箱を開けてみると腕輪が入っていた。

 いいねいいね。装備アクセサリーだよ。呪いの装備ではないと思うが念の為に魔法袋にしまっておこう。装備するのは鑑定で確認してからの方が安全だ。

 そうと決まればさっと帰ろう。

 俺は身体強化を魔力がなくなるまで使い、その後は普通にテルーゼの町まで走った。


 予想よりは少し遅くなったが、25分程で町に着いたので、そのままギルドの中へ入っていく。

 やはり16時過ぎると、それなりの人が並んでおり、俺はエミリーさんのいる受付カウンターに並んだ。

 5分ぐらいで順番が来たので、依頼達成の報告をしたのだが、魔石を100個出したら驚いて少しの間だが完全に停止していた。

 何とか復帰したエミリーさんは報酬の5000Lを渡してくれたので、お礼を言ってからギルドを後にした。


 そして、家には16時50分頃に到着したのだった。自然回復した魔力を身体強化に使い、ダッシュしたのだ。

 よし、門限は守れたぞ。これを破ると万が一にもダンジョンに行かせて貰えなくなるかもしれないからな。

 もしかしたら毎日ダンジョンに行くのはダメになるかもしれない。そうなるくらいなら早めに切り上げて帰った方がよっぽどいい。


「ただいま戻りましたー」


「おかえり。リオンちゃん、どうだった?」


 リビングから出てきたマリーに今日は抱きつかれなかったぞ。別に残念になんか思ってないんだからね。


「今日もスムーズにダンジョン攻略出来ましたよ」


 俺が今日も順調にダンジョン攻略出来た事を告げるとマリーは不思議そうな顔をしていた。


「もう、違うわよ。水魔法は使えたのか知りたかったの」


 そうだった。水魔法を覚える為にオーブ持ってってたけど、すぐ覚えたから魔法袋にしまったんだよね。

 周回の事ばかり考えてたから、マリーが一番聞きたい事が水魔法だってすぐにわからなかったよ。おかげでマリーはぷりぷり怒っている。全然怖くはないけどね。


「水魔法は覚えて今レベル3まで来たので、オーブは家に置いていきますね。みんなで使って覚えて下さい」


「えっ、もうオーブなしで水魔法使えるって事?レベル3って水魔法が3つ使えるの?」


 オーブなしですぐに使えるようになったけど、普通じゃなかったのか?

 すぐに聞こうとしたが、マリーの後ろからコウガが出てきた。


「リオン、おかえり。水魔法は覚えられたか?」


「パパ、リオンちゃんったらオーブなしで水魔法を使える上に、3つも別の水魔法が使えるようになったのよ。もう天才過ぎよ」


 おっと、俺が返事を返しそこねたがどんどん会話が進んで行くぞ。


「あー、リオンならすぐに使えるようになるとは思ってたからな。うん。まあ、食事でもしながら、またゆっくり今日の事を教えてくれないか」


「そうですね。お腹空いたので夕食をとりながら今日の出来事をお話ししたいと思います」


 コウガとマリーと共にリビングに行くとリカルドとミランダが夕食の準備をしていた。

 どうやら俺が帰って来た時から準備を始めたようだ。

 俺はリカルドとミランダに挨拶をしてから席について夕食の準備が終わるのを待った。

 準備が終わり家族全員で食事を開始した。


 食事中は俺がボスを11回倒した事を教えるとみんな驚き、ゴブリンキングをウォーターボールだけで倒したのにも驚き、ギルドに魔石を100個納品した事を教えるとそれも驚き、戦利品のドロップアイテムを教えると興味深々だった。

 食後のティータイムにドロップアイテムを机に並べてみる。昨日の分も含めて全部だ。


「オーブ、インゴット、ポーション系、装備アクセサリーに分類できますね。これ以外に手に入るものってありますか?」


「装備の武器や防具は手に入るぞ。魔法袋も出るな。あとはこの分類に分けられるものがほとんどだと思う。特に希少なのはオーブだろうな。当たりはずれはあるが、オーブ自体出にくいからな」


「魔法系のオーブだったら、オークションで最低でも300万Lはするはずよ。スキルに関してはほとんどが10万Lぐらいだから、差はすごいあるわね」


 わーお、じゃあこのオーブ300万L以上のお値段ってことかぁ。それに比べてスキルのオーブは10万Lぐらいだから、決して安くはないけど差がすごいな。


「とりあえず、僕は水魔法は覚えたのでオーブは家に置いていきますね。順番に使って覚えて下さい」


「ありがとう、リオンちゃん。大切に使うわね」


「ああ、リオン。ありがとう。俺もなるべく早く習得するとしよう」


「リオンお坊ちゃま、ありがとうございます。時間のある時に挑戦させて頂きます」


「リオン様、ありがとうございます。私、すっごくうれしいです。精一杯頑張りますね」


 家族みんなからお礼を言われると、かなり照れくさいな。

 俺は少し照れながら、子供のような笑顔を見せるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る