ウォーターボールを覚えた
「やってきました。ダンジョン攻略2回目!さあ、今日はどんなお宝が出るかな~♪」
初級ダンジョン戸惑いの森ダンジョンの建物の中に入り、転移陣にてダンジョン内に突入する。
「まずはオーブを使って水魔法を使えるようにならないとな。とりあえず、イモムーに使ってみるか」
イモムーのいる場所までダッシュで向かった。
昨日と同じ場所にイモムーはいた。日付が変わっても魔物の配置は変わらないようだな。良かった。
魔法袋から水魔法のオーブLV1を取り出し、イモムーに近づく。2メートルとかなり近くまで来たが、イモムーの動きは遅く隙だらけだ。
俺はオーブを左手に持ち、右の手のひらをイモムーに向かって広げた状態で魔法名を唱える。
「〈ウォーターボール〉」
身体を流れている魔力が右の手のひらに集まり、そこからバレーボールぐらいの水の塊が出来上がる。
水の塊が出来るとすぐにイモムーに向かって、ものすごい速度で向かった。
イモムーの顔面にウォーターボールは直撃し、イモムーは吹き飛ばされ、やがて光の粒子となって散っていった。
「これが、魔法……すごい、これこそファンタジーだよ。これだよこれ!ヤッフーー!!」
俺は興奮のあまりその場で、ウォーターボールをやたらめったらうちまくった。
森の中の木に何発も当たり、傷をいくつもつけていく。細い枝ぐらいだとウォーターボールが当たって折れていた。
そこで気が付いたのだが、ウォーターボールは10メートルぐらいまでは、かなりの威力が出るようだが、その先で木などに衝突すると威力が下がっていた。
それは距離が伸びるほどに威力も比例して下がっていくようだ。
なるほど、射程距離は10メートルぐらいだな。射程圏内の場合は威力は変わらない感じか。
「ふぅー-、大分うっちゃったな。ダンジョンならではの遊びだな。これは」
これダンジョンの外でやったら完全に自然破壊だよな。
次入ってきた時に、この状態が維持しているのか、元に戻るのかも確認しよう。これ元に戻ってなかったらどうしよう……倒した魔物は戻ってるから、木も戻るよね?
それにしても、どうして魔法が使えなかったかが分かった気がする。
ウォーターボールを使った時に気づいたのだが、魔力を水属性に変換する際、決まった魔力の形式に変換しないといけないのだ。
それは扉の鍵穴と鍵の関係のように、決められた魔力に変換してからでないと魔法は使えないということ。
そして、他の属性の魔法を覚えようとするのなら、やはりオーブは必要であるということだろうか。
それほど、魔力を決まった形式に変換するのは難しく、それを探すのはさらに困難だと俺は悟った。
生活魔法はマリーに魔力をコントロールして貰って出来たが、実際にファイアウォールをマリーにお願いしてやって貰ったが、魔法は覚えてなかった。
自力でも火魔法、水魔法、雷魔法、空間魔法を試したけど、何も起こらなかった。今やっても無理だろうな。収納魔法とか転移とかあれば絶対便利なんだけどなぁ。
何にせよ、他の属性を使いたければ、ボスを倒して他のオーブを集めなければいけないという事だ。
「そうと決まれば、水魔法を身体で覚えつつボス周回でオーブ集めだー!」
1階層はイモムーと出会ったらウォーターボール一撃で倒し魔石を回収して次へと進んで行く。
階段を降りて2階層のゴブリンに出会ってウォーターボールを1発放って様子を見た。
ゴブリンは光の粒子となって散っていった。ゴブリンもイモムー同様にウォーターボールで一撃のようだ。
2階層も1階層と同様にウォーターボールからの魔石回収でどんどん先へ進んで行く。
そして、3階層への階段を下りて行き、セーフティーゾーンへと辿り着く。
「さて、水魔法を覚えているか確認するか」
オーブを魔法袋にしまい、ステータスオープンで魔法欄を見てみると水魔法LV1が新しく追加されていた。
「よしっ、水魔法覚えてるな。もしかしたら1回使っただけでも覚えてたかもしれないけど、興奮して確認を忘れてたな。次手に入れたオーブで確認しよう。今は水魔法を〈鑑定〉っと」
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水魔法:水属性の魔法を操ることが出来る
LV1:〈ウォーターボール〉を覚える 魔力+5 魔力消費2
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消費魔力は2か。これなら今日中にレベル2に出来そうだな。
あとはオーブなしで本当にウォーターボールが発動するかだな。
「〈ウォーターボール〉」
前に構えていた右の手のひらから、ウォーターボールが発射されボス部屋の扉に直撃した。
どうやら普通に使えたようだ。扉も破壊されていないので、破壊不可オブジェなのかもな。
考えてみれば、スキルのアーツも覚えていれば、すぐに使えたのだ。
この世界の理なのかゲームでいうシステムなのかは分からないが、ちゃんとスキルは発動した。
水魔法を覚えていれば、何も考えずに発動するとオーブを使った時と同様のウォーターボールがうてる。
そして、魔法のレベルを上げていけば、かなり自由に魔法をコントロール出来ると思う。スキルよりは難しそうだけど。
魔力操作が高くないといけないとは思うが、それとは別で魔力の属性変換も自分の感覚でコントロール出来れば、ウォーターボールをカーブさせることや大きなウォーターボールを作ることも可能になるかもしれない。
夢が広がるな。
その為にも、ウォーターボールをうちながら、身体で覚えて行こう。
よし、このままボス戦だ。今回はウォーターボールのみで撃破しよう。
俺はボス部屋に入って、ゴブリンキングから10メートルぐらいの所まで走って行き、そこからウォーターボールを連続で発動する。
「〈ウォーターボール〉〈ウォーターボール〉〈ウォーターボール〉〈ウォーターボール〉、おっと、危ないな」
ウォーターボールに当たりながら、ゴブリンキングは突撃してきた。
俺に接近してきたゴブリンキングは大剣を振り下ろしてきたので、横に避けてから少し距離を取る。そこから追い打ちのウォーターボールを放つ。
今回、身体強化は使っていないが、保険として危なくなったら使おうと思う。今はウォーターボールの熟練度上げの時間だからね。
10発程当てたところで、ゴブリンキングは光の粒子となって消えた。そういえば抵抗値がかなり低かったからな。魔法に弱いみたいだ。
さあ、お待ちかねのお宝タイムだ。俺は魔石を回収してから宝箱へと向かった。
「今回は赤箱か、さて何が出るかな?あっ、鉄のインゴットか。もう少し集まったらホストンさんに何か作って貰おうかな」
どうやら昨日出た鉄のインゴットのようだ。まあ、かぶりが出るのはしょうがない。
赤箱からは鉄のインゴットとマジックポーションが今のところ出てるけど、他にも出るよね?
出ないなら、銀箱以上を祈るしかないな。
俺はダンジョン攻略のノートにドロップ情報を書き込んだ。
ノートを書き終わったら、転移陣に乗って周回を再開させたのだった。
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