毎日ダンジョンに行きたいです

「リオンちゃん、本当にすごいステータスなのね。ママ、びっくりしちゃった」


「あはは、ありがとうございます」


 まあ、この世界ではレベルに対してこのステータスは尋常ではないのだろうな。うんうん。


「リオン、さっきステータスがかなり上がってると言っていたがどれが一番上がったのかわかるか?」


「魔力が59上昇してますね。体力は19上昇してて他のステータスは1桁ですが最低でも5は上昇している感じです」


「なっ、そんなに上がってるのか。レベル1上がっただけでそれほどとは……」


 あっ、レベルが上がっただけで、こんなにステータスが上昇したと思ったのかもしれないな。


「この上昇値はレベルが上がっただけではなかったです。新しい称号を手に入れた時の効果で、ステータスが大幅に上がったみたいです」


「称号というと魔力超回復を覚える時に手に入れた【魔力ハングリー】と同じ感じか。なるほどそれでステータスが大幅に上昇したのか」


 コウガはどうやら【魔力ハングリー】を覚えていたようだな。

 今回の称号はうちの家族は誰も覚えれないが伝えとくか。


「今回手に入れた称号は【輝く原石】というものです。取得方法は1人でダンジョンに入り、さらにレベル1の状態でボスを倒して帰還転移陣に乗ればいいみたいです。称号を取得すると全ステータスが5%上昇しますね。覚えられる特殊スキルはダンジョンの希望です。こっちはダンジョンで魔物のドロップ率がほんの少し上がるらしいのですが、ダンジョンの魔物は魔石以外落としたりするのですか?」


「【輝く原石】って、まるでリオンちゃんの為にあるような称号ね。他の人じゃ取れそうもないもの」


「マリーのいう通りだな。しかも取得するだけで、全ステータスが5%も上がるのか。というか、レベル1でしかも1人でダンジョンクリアとかリオン以外はおそらく誰も挑戦すらしないと思うぞ。それでダンジョンの魔物なんだが、魔石と一緒にたまに違うものを落とすことがあるんだ。ボスだと大抵そのボスが使ってる武器や防具が多いな」


 なんと、ボスのドロップはそのボスが使ってる武器か防具をドロップするってことは、ゴブリンキングの大剣を落とすかもしれないってことじゃないか。

 結構強かったから欲しいな。魔物のドロップアイテムを集めるのとかコレクター魂に火がつくぜ。


「ただな、滅多に魔石以外落とさないから、気長にやるしかないな」


「わかりました。ありがとうございます」


 コウガに魔物のドロップについて教えて貰った後は、リカルドとミランダの二人にもダンジョンの話について聞かれた。

 リカルドの方はこんなにもレベルアップが早かったのは、普通ボス攻略は5人パーティーで行うのだが、それを1人でやってのけたので、経験値が分散されず独り占め出来たのと、さらに4体も倒したから、こんなに早くレベルが上がったのだろうとの事だった。

 ミランダはボスとの戦闘方法を先程よりさらに詳しく聞いてきたので、俺はゴブリンキングの大剣を鉄の剣で捌いて隙を作ってから身体強化とインパクトを同時発動させた蹴りを何回も入れて倒したと教えた。

 それを聞いた家族がさらに驚いて今日何回目かわからない「えっ」を聞いた。

 どうやら俺がコウガと剣でいい勝負をしているので、剣でゴブリンキングを倒したと思っていたらしい。さっきはゴブリンキングの剣を捌いてから攻撃したとしか言わなかったので仕方ない。

 普通に考えてボスを蹴り倒したりはしないよな。


 それから、俺はコウガとマリーに風魔法と火魔法のオーブを貸して貰おうとお願いしたのだが、コウガの方はダンジョン攻略した仲間が全員覚えた後に売ったらしい。魔法オーブはかなり高く売れるそうだ。マリーの方は実家にあるが貸して貰うのは無理そうだとの事。残念だ。貸して貰えれば、ドロップを待たずに覚えられたのになぁ。


 夕食後にかなり話し込んでしまったので、そろそろお開きになりそうな時。


「リオン、さっき明日もダンジョンに向かうとか言っていたが、もしかして毎日ダンジョンに行くつもりか?」


「出来るだけ毎日ダンジョンに行こうと思ってましたが、ダメでしたか?」


 アル兄の時はダンジョンに向かってたのは、多くて2日に1回だった。

 連日で行った事があるのは、1年間で数えられるぐらいしかなかったと思う。

 コウガはかなり迷っているのか、深く考え込んでいるように見える。

 返事を待っていると思わぬところからいい返事が返ってきた。


「毎日ダンジョンに行くぐらい、いいと思うわよ」


「マリー?どうしたんだ?君なら止めるものとばかり考えていたが……」


 コウガのいう通りだ。

 俺もマリーをどういう風に説得するか考えていたのだが、どうしたというのか?

 まさか、マリーは女神だったのか?


「だって、リオンちゃんったら私たちよりも強いのよ。しかも帰ってきても疲れた様子もないみたいだから、それなら毎日ダンジョンに行かせて上げてもいいかなって思ったのよ」


「確かにすでに初級とはいえボスを4回も倒しているし、危ないって事はないとは思うが……」


「お母様、本当に毎日ダンジョンに行ってもいいのですか?ダメなら1日置きでもいいのですが……」


 本当は毎日ダンジョンに行きたいが、1日置きでもオーブが手に入った今、ダンジョンに行かなくても我慢出来るはずだ。


「いいわよ。ママが許してあげる。その変わり、体調が良くなかったり、いつもと調子が違ったり、何かあったら必ず帰ってくること。決して無理はしちゃダメよ。約束できる?」


「約束します。お母様、ありがとうございます」


「マリーがそこまでいうなら俺からは特にないな。リオン、ダンジョンでは何があるかわからないから一応気をつけろよ」


「はい、お父様もありがとうございます」


 こうして明日もダンジョンに行ける事が決まった俺はすぐにお風呂に入った後、寝室に戻り眠りについた。


 翌朝、俺はいつもより少し遅めに起きた。

 昨日のダンジョン攻略が意外と体力を使ったのかもしれない。結構走りっぱなしだったしね。

 だが、良く寝たおかげか、体調は良好だ。

 俺はいつものウォッシュとドライを使ってから、着替えをする。

 着替え終わったタイミングで、ミランダが朝食の為、呼びに来た。


「おはよう、リオン様。朝食だよー」


「ミラさん、おはよう。それじゃあ、朝食を食べに行こうか」


 あと10分でも起きるのが遅かったら、ミラさんに寝ているところを見られてしまうところだったな。

 別に寝顔を見られるのはいいのだが、後で何言われるかわかったものじゃないから気を付けないと。


「オーブが手に入った訳だけど、ミラさんもやっぱり魔法って覚えたいのかな?」


「覚えられるなら覚えたいよ。でもいいの?私、使用人だよ?」


 やっぱり使用人だと遠慮するよね。

 遠慮なんていらないのにな。


「そんな遠慮しなくてもいいよ。オーブは何回も使えるみたいだしね。覚える順番は最後になるかもしれないけど、水魔法なら使い道たくさんあると思うから覚えてよね」


「うん、ありがとう。リオン様は本当に優しいね。それにすっごくすごいよ。普通いきなりボスなんて倒せないからね。尊敬しちゃうなぁ」


「ミラさん、ありがとう」


 そんな目をキラキラさせながら言われると照れちゃうよ。


 それから食堂で家族と朝食を取った。

 すこし休憩してからダンジョンに行くことを伝えて家を出る。

 冒険者ギルドにて昨日と同じ受付嬢のエミリーさんに魔石納品の依頼を受けた。

 冒険者ギルドで携帯食料を買ってから、テルーゼの北門でステータスプレートを見せた後ダンジョンに向かった。

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