依頼達成報告

 ダンジョンの建物からテルーゼの町まで走って帰った。

 テルーゼの町の北門から衛兵にステータスプレートを見せて町の中に入った。

 まずは冒険者ギルドによることにした。

 帰って早くオーブについて聞きたいが、ギルドへの依頼達成の報告をしないといけないからな。


 冒険者ギルドへ向かう途中で、時間を確認してみると16時を少し過ぎたところだった。

 思ったよりも少しだけ早く戻って来られたな。身体強化を使って急いだのがよかった。


 冒険者ギルドの中に入ると受付は少し列が出来ていた。

 一応最初に対応してくれた小柄な金髪の美人受付嬢を探す。確か名前はエミリーさんだったかな。

 登録した場所と同じ受付にエミリーさんを見つけたので、その列に並び順番を待つ。


「あら、リオン君、もしかしてクエスト達成したの?」


「はい、クエスト達成の報告に来ました」


「はじめての依頼なのにすごいわね。流石領主様の息子だね。アルス君もすごかったものね」


 アル兄の事を知っているみたいだな。やはり、すごかったのか。コウガもすごく褒めてたもんな。何だか自分の事のようにうれしいぞ。

 それにしても、エミリーさん、大分砕けた喋り方になったな。コウガが領主なのを知っていたから、さっきは丁寧に話していたんだな。

 こっちの方が俺としても話しやすいけどね。


「エミリーさん、ギルドカードと魔石40個です。お願いしますね」


「えっ…」


 エミリーさんは驚いて固まってしまったようだ。

 あれっ、俺何かやっちゃったか?


「ごめんね、アルス君がたくさん魔石持ってきてたのは知ってたのだけど、まさか[鑑定の儀]があったその日にこんなに魔石持ってくるとは思わなかったからびっくりしちゃった」


「あはは、そういうことでしたか」


 なるほど、[鑑定の儀]があったその日にいきなり多くの魔物を狩ってきたら、そりゃ驚くよな。本来ならアーツを覚える準備時間が必要だしね。納得。

 ゴブリンキングから出た魔石(中)も出したら、もっと驚くだろうな。

 まあ、こっちはコウガに見せてからどうするか判断しようとは思っているので、ここでは見せないけどね。


 エミリーさんは、その場でギルドカードに何か処理をした後にギルドカードとお金を机の上に置いた。


「はい、ギルドカードにはGランク魔石10個の納品4回分の達成、それと報酬が2000Lです。今回はちょうどの魔石だったけど、魔法袋を貸し出している子には余分になっている分はそのまま情報としてギルドカードに記録しているのね。10個に到達した時点で報酬が発生するんだけど、リオン君は魔法袋持ってるから、余ってるのがあったら持っててもいいからね」


「そうなのですね、今日はたまたま数がよかったので、もし余った時は自分で保管しておきますね」


 登録した時に少し聞いたが、なるほどね。アル兄が魔石を家に持って帰ってきたことってなかったから、これが理由だな。

 美人受付嬢のエミリーさんにお礼を行ってからギルドを後にした。


 16時30分頃に自宅に到着した。


「ただいま戻りましたー」


「リオンちゃん、おかえりー」


「ぅぶっ」


 リビングへ向かう途中でマリーが挨拶しながら抱きついてきた。

 丁度お胸様が顔のところに来て気持ちい…じゃなかった、苦しいので辞めて欲しいなぁ。全くマリーには困ったものだ。


「リオン、おかえり。ダンジョンはどうだった?」


「お父様、ダンジョンはいい感じに進めれたと思います。それとお聞きしたい事があるので、リビングでゆっくりしながら話しましょう。お母様も一緒に行きますよ」


 俺はマリーの手を引いてリビングへとやってきた。

 リビングにはリカルドとミランダもいて、挨拶を交わす。

 ミランダが全員分の飲み物を持ってきてくれたので、話を始めるとしよう。

 全員が椅子に座ったのを確認して、俺は魔法袋から水魔法のオーブを取り出してテーブルの上に置いた。


「ボスのゴブリンキングを倒したら、銀色の宝箱から水魔法のオーブを手に入れたのですが、これはどのような物かわかりますか?」


「「「「えっ…」」」」


 全員が驚いているようだ。

 あっ、これ知ってる。さっき美人受付嬢のエミリーさんがなってたのと同じ状態だ。


「リオン、ボスを見て強そうなら退散するという話だったが倒したのか?」


「はい、ボスは思った通り強かったですが、倒せると判断したので戦いました。攻撃も1発も食らわなかったです」


「「「「えっ…」」」」


 またしても全員が驚いている。

 やはりダンジョン探索初日にボスを倒すのは、やり過ぎだったか。

 当初の目的では1週間後ぐらいにボス討伐の報告をしようと思っていたのだが、今日は運がいいのか悪いのかレアアイテムの水魔法のオーブを手に入れてしまったからな。

 1週間も聞かずにはいられない為に今日初日にも関わらず、ボス討伐を報告しているのだ。

 入手方法を偽るにしても情報が俺にはないからな。真実を述べるしかないのだ。


「リオンちゃん、すごすぎるわ。前にパパが言ってたと思うけど、ボスはパーティーで挑むものなのよ。それを初めてダンジョンに向かった日にボスまで倒すなんて歴史的快挙だと思うの」


「確かにすごすぎるな。初日にボス討伐もそうだが、1回目からレアアイテムを手に入れるなんてな」


「あっ、オーブは1回目じゃなくて4回目の宝箱でようやく出ました。それでも運が良かったとは思ってます」


「「「「えっ…」」」」


 あれっ、またみんな驚いてる……

 また俺何かやっちゃったか?


「リオン、あのな、普通はボス攻略したらそれで帰ってくるんだぞ。また攻略するにしても日を変えるものだ。初級ダンジョンだから出来る事かもしれないが、それにしても4回って……」


「そ、そうなのですか……それよりも、オーブについては何か知ってますか?」


 俺はオーブの事が知りたいのだ。世間一般のダンジョン常識は、もはやどうでもいい。

 俺は俺のやりたいように攻略するんだ。

 だって、ダンジョン攻略楽しいんだもん。やはりゲーマーはこうでなくてはいけないな。

 そう思いオーブについてコウガに話を急かすのだった。

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