チート貰えず異世界転生 〜レベルを上げたきゃダンジョン周回すればいい〜

ボス部屋へ

「ここまでダメージも受けなかったし、このまま行くか」

　ボス部屋の扉は高さ３メートルぐらいありそうな大きさだ。

　それをゆっくり押してみると意外と力は必要なく、すんなりと開いていく。

　扉の中の部屋はかなり広く、壁はシンプルな石造りで壁際には木が生い茂っているが、中央に近づくにつれて、草原のような草が生い茂っているのみだ。

　そして、その中央にはボスが立って待ち構えている。

　身長は２メートル程あり、頭には角、右手には武器を持っていた。

「まずは、〈鑑定〉っと」

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名称：ゴブリンキング

種類：ゴブリン種

状態：普通

ステータス

　レベル：１０

　体　力：２１０／２１０

　魔　力：５０／５０

　攻撃力：６５

　耐久力：６０

　敏捷力：２８

　精神力：１０

　抵抗力：１０

スキル

　大剣術、統率

魔法

　なし

エクストラスキル

　なし

装備

　武器：ゴブリンキングの大剣　攻撃力＋３０

　防具：ゴブリンキングの皮鎧　耐久力＋３０

武器名称：ゴブリンキングの大剣

状態：普通品質

価値：Ｄランク

特殊効果：なし

詳細：ゴブリン王の魔力が込められている大剣。攻撃力＋３０

防具名称：ゴブリンキングの皮鎧

状態：普通品質

価値：Ｄランク

特殊効果：なし

詳細：ゴブリン王の魔力が込められている皮製の鎧。耐久力＋３０

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　初級ダンジョンにしては強いな。やはり１人で攻略する難易度ではないのだろう。統率のスキルがあるが、ここでは仲間がいないから、ここ以外のダンジョンとかでも出てくるんだろうな。

　それにしても、ボスもスキルレベルがないんだな。大剣術なんて人が持ってそうなスキルなのに、不思議だ。

　今はボスに集中しよう。

「負けないだろうが、一応油断しないでいこうかな」

　鉄の剣を構えて一気にゴブリンキングの元へ駆け出す。

「グガァァァァ」

　ゴブリンキングが雄叫びを上げながら、剣を上から振り下ろす。

　それを鉄の剣で払いのけると同時に蹴りを放ちながら、

「〈インパクト〉」

「ギェェェェ」

　体術ＬＶ９で覚えるインパクトを使う。まともに受けたゴブリンキングは、軽くノックバックしながら苦悶の表情を浮かべていた。

　すかさず俺は〈鑑定〉を使い、ゴブリンキングに与えたダメージを確認する。

　体　力：１７２／２１０

「３８のダメージか、固定ダメが１０あるから実質２８かぁ。初級ダンジョンで固定ダメあるのはチートだよなぁ」

　次はスキルなしの普通に蹴りだけで、どれくらいダメージあるか試すか。

　ゴブリンキングが態勢を整えてから、ゆっくり走ってきた。

　その流れで大剣を大きく横薙ぎで攻めてくる。

　俺は横薙ぎを鉄の剣を両手で構えて迎え撃つ。

　次の瞬間、ゴブリンキングの大剣と鉄の剣の衝突音がキーンと響いた。

「くっ…おも、い……」

　最初の一撃は横に流すように払いのけたからそれほど感じなかったが、今度のは正面からゴブリンキングの攻撃を受けたので、予想以上に攻撃が重い事に驚いた。

　コウガとの訓練でもここまで重いと感じた事はない。

　おそらく木剣とゴブリンキングの大剣の差がここまで響いていると思われる。攻撃力だけで言えばコウガの方が倍以上あるのだ。

「はっ」

　俺は一瞬だけ〈身体強化〉を発動させ、ゴブリンキングの大剣を弾き返す。

　ゴブリンキングは瞬間態勢を崩したので、その隙をついて左蹴りを放ち直撃する。

　すぐさま〈鑑定〉を発動しダメージを確認する。

　体　力：１５２／２１０

「あれ、２０しかダメージがない？実質１０ダメージじゃん。そっか、インパクトはめちゃくちゃ強かったんだな」

　思ったより蹴りだけのダメージが少なかったのと、インパクトの威力が高かったことに驚いた。

　さて、ここからどうしたものか。

　もう少し検証したいところではあるが、ゴブリンキングの強さがある程度わかった今、もうクリアを優先してもいいと思った。

　正直、攻撃に身体強化とアーツを組み合わせれば、あっという間に倒せるだろう事と、ゴブリンキングの攻撃も直撃を食らわなければ大した事はないということだ。

「よし、身体強化とインパクトの攻撃で５０以上のダメージを与えれそうだから、あと３発で倒せそうだな。ゴブリンキングの攻撃には十分注意するか」

　俺はゴブリンキングに向かって走りだした。

　ゴブリンキングは俺が向かってくるのが分かると大剣を上段に持ち上げた。

　俺は大剣が振り下ろされる瞬間に左前に〈身体強化〉を使い、素早く回避し隙が出来たところに回転を加えた蹴りに〈インパクト〉を乗せて放つ。もちろん〈身体強化〉は切らさないでいる。

　ゴブリンキングはノックバックしたので、一応〈鑑定〉でダメージを確認してみよう。

　体　力：９９／２１０

「５３のダメージか、あと２発で倒せるな。一気に行くか」

　ノックバック中のゴブリンキングに〈身体強化〉を切らすことなく、間合いを詰め再度〈インパクト〉を乗せて蹴りを放つ。

　ゴブリンキングはさらにノックバックし、膝を地面に着けた状態になった。

　最後はゴブリンキングに向かって走りながら、飛び蹴りをした。

　もちろん〈身体強化〉と〈インパクト〉のおまけ付きだ。

　飛び蹴りを直撃したゴブリンキングは仰向けに倒れ込んだが、次第に光の粒子となって消えていった。

「フッ、剣士が剣で１回も切らずに勝利してしまったな」

　右手で鉄の剣をバッと剣先を地面すれすれにやり、そこからクルっと回しながら左手に用意した鞘にカチンっと納める。

　格好つけてしまった。どうやら俺には中二病の才能があるようだ。

　ちなみに俺は剣士ではなく鑑定士だ。剣を使って戦った為、自称剣士を名乗っただけだ。

　冗談はここまでにして、ゴブリンキングの消えた場所を見ると、そこには１０センチ程もある魔石が落ちていた。ちなみにＧランクの魔石は３センチ程しかない。

「おおー、かなり大きな魔石が手に入ったな」

　俺は魔石を拾い魔法袋にしまった。

　さて、ボスを倒した後の事は何も聞いていないが、おそらくどこかに帰りの転移陣があると思うから探すかな。なければ１階層まで歩いて戻ることになるな。

　周りを見渡そうとしたところで最初にゴブリンキングが立っていた中央の場所が薄っすらと光っていたので近寄ってみる。

「ヤッフーー－！宝箱だー－！」

　そこには赤色の宝箱があった。

　そして隣には薄っすらと光っている転移陣が現れていた。

　どうやらボスを倒すことによって、宝箱と転移陣が出現するようだ。

「やばい、初めての宝箱だ。異世界ファンタジーって感じがして、ドキがムネムネする！」

　俺は興奮しているのを落ち着かせながら、宝箱をゆっくりと開けた。

「おっ、何かしらのインゴットだな。材質は鉄かな？」

　金属に詳しくないから何のインゴットか分からない。

　これは後で魔石と一緒に鑑定してみよう。

　とりあえず、後は転移陣で帰るだけだが、今後の予定としてはこのダンジョンの周回をして、宝箱で何が出るかの検証をするのと同時にボスでレベル上げをしようと考えている。

　そしてボスが時間経過で再出現するか確認しようと思う。所謂リポップするかどうかだな。

　俺はとりあえず、ボス部屋前のセーフティーゾーンまで戻り、ここでいろいろ確認しながら時間を潰そうと考えた。