初戦闘
コウガと別れてから、俺はダンジョンに一番近い北門へ向かった。
北門に着くと衛兵が見張りをしているが、他には誰も見当たらないので、身分証の確認をしたら待たずに町から出られそうだな。
前に通った時はアルスとマリーがステータスプレートを見せていたからステータスプレートを出しておこう。
「こんにちは。1人で初めて外に出るのですが、ステータスプレートを見せればいいのですよね?」
「こんにちは。坊や1人のようだな。それじゃあ、身分証の確認の為に魔力を込めずに、ステータスプレートを見せて貰えるかな?」
「魔力を込めなくてもいいのですか?」
「ステータスプレートは持っているだけで、大丈夫だよ。魔力を込めないで自分のステータスプレートを持っていると何も起きないが、本人以外が持つと側面の色が黒くなる。そして、何か犯罪を犯してステータスプレートに犯罪歴を刻まれると持っているだけで、側面が赤くなるから、そこを俺たちのような衛兵が町の出入りでチェックしているって訳さ」
ステータスプレートでそんなことが分かるなんて初めて知ったな。
前マリーが言ってたのは犯罪履歴の確認だけだったからな。
どうやって確認するかは聞いていなかったし、その当時はステータスプレートを俺自身が持ってなかったから、教えてくれなかったんだろうな。
「なるほど、説明ありがとうございました。それでは、通ってもいいですか?」
「ああ、気を付けて出かけるんだぞ」
衛兵の人と別れたら、ダンジョンまで急いで向かった。
町からダンジョンまで1本道で、誰かに見られてもおかしくない速さで思いっきり走ったら15分程でダンジョンの入口まで辿り着いた。
ちなみに歩いて1時間はかかる距離だ。
「おお、ダンジョンまで約15分か。かなりハイペースで走り続けたけど全然疲れていないな」
体術スキル、流石という他ないな。優秀。
ダンジョンのある建物は白くてなかなか大きな建物だ。
以前はアルスに付いてきて入口までは来たが中までは入っていない。
ようやくここまで来たな。コウガにダンジョンの話を聞いてから、ずっとワクワクしていたのだ。
ゲーム好きがダンジョンの話を聞いたら攻略せずにはいられないからな。
建物の入口には扉はなく、10メートル程の通路があるのみだ。
通路を通り過ぎると、かなり広い部屋に到着したが、誰もいなかった。
部屋の高さはかなりあり、柱が等間隔でいくつか並んでいる。
そして、中央には一段下に下がっている場所が2ヶ所あり、左側には地面に魔法陣が書かれていた。
どうやらあれがダンジョンに向かうための転移陣なのだろう。そして、残りの1ヶ所が帰還用の場所という訳だな。
コウガから聞いた話では、ダンジョンに入ってすぐの右側に転移陣があり、そこからダンジョンを出ることが出来るようだ。そして、建物内の右側の転移陣が書かれていない方に帰ってこれるということらしい。
周りをゆっくり見回しながら、転移陣の方へゆっくりと歩いていく。
コツコツと小さな足音を立てながら、転移陣の上まで来ると、ふぅーと一息ついた。
「魔道具の様に魔力を転移陣に流すと発動するんだったな。足元から魔力を流すことも出来るけど、不安なら手を地面に着けてやれば簡単ってコウガが言ってたっけ」
まあ、俺の場合は魔力操作レベル10だから、足元から魔力を流すのも楽勝なんだけどね。
「さて、人生初の転移を体感するかな。足元から魔力を流してっと、おおー!」
魔力を流すと同時に魔法陣が光りだして、地面に足を着けているにも関わらず、自分の重力がなくなったかのような浮遊感を体感した。そしてすぐに目の前の光景が一瞬歪み、気が付けばそこは森の近くの草原っぽいところに俺は立っていた。
足元を見ると周りより1段下がっており、右側を見ればダンジョン帰還用の転移陣がある。
「すごい。本当に転移したんだ。ダンジョンなんだよな、ここは?」
周りをキョロキョロと見回してみると、後ろは崖があり、どこまでも上に伸びていることからこの崖の範囲がダンジョン1階層の範囲になるのだろう。
ダンジョン内は太陽は見当たらないが非常に明るく、空もある。
「とりあえず、戸惑いの森ってダンジョンなんだから森を攻略していくか。1階層はイモムーとかいう芋虫の魔物を倒して経験値を稼ぎつつ2階層への道を探すとしよう」
森の中へ足を踏み入れると、意外にも人が通れる道が出来ていた。
少し先に進むと十字路があり、直進するか左右に進むか分かれ道が来た。
流石初級ダンジョンなだけあるな。森全体がダンジョンというよりかは森を利用した簡易的なダンジョンのようだ。
すごく優しい難易度になっていると思う。
とりあえず、今日はボスが倒せるかどうか確認して倒せるならボス周回をしようと思っている。
無理そうなら雑魚狩りをしようと思うので、とりあえずボス部屋探しの為にとりあえず直進しとくか。
今度全部のマップをくまなく探索しよう。
さらにまっすぐ進んでいくとまた十字路があったのだが、真ん中に芋虫がいた。
「うわー、大きな芋虫だよ。これはちょっと気持ち悪いな」
俺、虫って少し苦手なんだよね。
これって戦っていけば慣れるのだろうか?
とりあえず鑑定しとくか。『〈鑑定〉』
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名称:イモムー
種類:虫種
状態:普通
ステータス
レベル:1
体 力:20/20
魔 力:5/5
攻撃力:3
耐久力:5
敏捷力:3
精神力:2
抵抗力:2
スキル
糸吐き
魔法
なし
エクストラスキル
なし
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初級ダンジョンの最初だからレベル1なんだな。
体力と耐久力が少し高いから、防御型の魔物なのだろう。
最初の敵としては戦いやすい相手ではあるな。
2階層はゴブリンだから、どちらかというと攻撃型な魔物だと思うので、戦闘経験を積むならバランスのいいダンジョンだな。
あとはスキルの糸吐きだな。レベルがないけど、魔物のスキルはレベルなしなのかな?おそらくこれはアル兄が言っていた糸を吐いてくる攻撃というか援護系のスキルだろうな。
ある程度、確認してから鉄の剣を構えて、イモムーに向かって走っていく。
イモムーは俺が近づいても、攻撃動作に入る気配すらないので、そのまま体の真ん中あたりに一閃。
イモムーの体は剣の当たった場所が切れた状態で光の粒子になっていく。
「流石に一撃で倒せるか。どうやら倒すと光の粒子になって消えていくようだな。思ったよりグロくないし、ゲームのようにしか見えないな」
ダンジョンで魔物を倒すとアル兄は地面に吸い込まれていくと言っていたが、どうやら光の粒子になって消えていくようだな。
ゲームを知らないと地面に吸い込まれているように見えるのだろう。
さらに剣に付いた緑色の血っぽいのもイモムーが消えるのと一緒に消えていった。
イモムーを倒した場所に魔石が残っているので拾って魔法袋にしまう。これを集めてギルドに渡せば報酬が貰えるのだ。いっぱい集めよう。
「よし、大体わかったから、ダッシュで1階層を突破しよう。途中で出てくるイモムーは一撃入れて倒していけばいいからな」
ここから走って次の階層を目指した。
とりあえず最初はまっすぐ進んでみたが、途中でイモムーに4体遭遇し、どれも一撃で屠った。魔石はこれで5つだ。
とりあえず、行き止まりの崖が見えるところまで来たので一番奥がここだろうと思い、そこから右に進んでみると少し進んだ先に次の階層に行くどでかい階段があった。
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