冒険者登録をする

 武器屋から5分程歩いたところに、大きな建物があり、看板には盾が前面に、剣と杖が交差しているマークが背面に書かれている。


「お父様、ここが冒険者ギルドですか?」


「そうだ、ここがテルーゼの町の冒険者ギルドだ」


 前にアル兄がダンジョンへ行く時に同行した際、ギルドも寄ったので、知ってたけど一応確認の為に聞いてみた。


 冒険者ギルド、ようやくだ。何だかわくわくして来たぞ。

 コウガと一緒にいるからテンプレ展開は起きなさそうなのがちょっと残念だけど。


「では、ギルドへ登録しに行きましょう」


「そうだな」


 時刻は11時頃、冒険者ギルドに入ってみると、そこそこ人はいるようだ。

 いかにもな冒険者が多数とおそらくギルド職員が幾人かおり、思ったよりも喧騒としておらず、少し賑やかな食事処ぐらいの感じだ。

 冒険者ギルドに入って左側は酒場兼食事処になっており、利用している人もそこそこいるようだ。

 そして、右側には大きな掲示板が3つあり、おそらく依頼掲示板だろう。3つあるのはランク毎に分かれていると思われる。

 そして、正面にはいくつかのカウンターがあり、どこでも登録、受注、発注などが出来るようだ。

 コウガが空いているカウンターに向かうので、俺も付いて行く。

 今の時間は比較的どのカウンターも空いているが、ラノベとかだと朝と夕方が混むイメージだな。


「冒険者ギルドへようこそ、本日はどのような御用でしょうか?」


 綺麗な金髪ショートの少し小柄な美人受付嬢が元気に問いかけてくる。

 他の受付を見ても綺麗なお姉さんが多い。さすが冒険者ギルドの受付嬢だ。思った通りの美人率。


「息子の冒険者登録をお願いしたい」


「かしこまりました。本日は私エミリーが担当させて頂きます。登録料が5000Lかかりますが、よろしいですか?」


「ああ、これで頼む」


 コウガは机の上に銀貨を5枚置いた。

 この世界の硬貨は7種類あり、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨の順に高価になっていく。

 銅貨が10L、大銅貨が100L、銀貨が1000L、大銀貨が1万L、金貨が10万L、大金貨が100万L、白金貨が1000万Lだ。


「お預かり致します。こちらの用紙に記入をお願いしたいのですが、代筆は必要ですか?」


「字は書けるので大丈夫です」


 美人受付嬢に渡された記入用紙には、名前、生年月日、年齢、職業、出身地を書くところがある。

 名前はリオン・スペンダー、生年月日は月歴1565年1月15日、年齢9歳、職業は鑑定士、出身地はテルーゼっと。ちなみに生年月日の月歴とは日本の西暦と同じ意味合いだ。

 俺はすらすらと記入用紙に文字を書いていく。

 コウガと美人受付嬢は俺がすらすらと文字を書いているのに驚いているようだ。

 どうやら、10歳ぐらいの子供は文字は書けても、もっとゆっくり書くようだ。

 コウガは、俺が強くなる為のメモノートを書いている事を知ってはいたが、書く速さがまさかここまで速いとは思っていなくて驚いたらしい。

 確かに人前で文字を書いたことはないので、気にしたことはなかったな。

 すぐに全て書き終える。


「書き終わりました」


「ありがとうございます。それではギルドカードをお作りする間に、冒険者について説明致しますがよろしいですか?」


「はい、聞きたいです。よろしくお願いします」


 冒険者について教えてくれるみたいだ。

 もしかしたら、変なルールとかあったら大変だからな。しっかり聞かないといけないな。

 エミリーさんは紙を持って後ろに下がってから、すぐに戻ってきた。


「冒険者は依頼を受け、達成することにより報酬を受け取る事が出来ます。依頼には採取系、討伐系、護衛系、その他に分かれています。次にギルドランクについてですが、依頼にはランクがありランクが高い程、報酬が高くなります。ギルドランクはGからAまであり、特殊ですがその上にSランクがあります。最初はみんなGランクからスタートです。依頼は基本自分のランク以下しか受けられません。ですが、パーティーを組んだ場合のみ制限が外れて自分のランクよりも上の依頼を受けることが可能です。その場合は十分に注意して下さい。それと依頼に失敗した場合は違約金が発生するので注意して下さい。それから、ギルド内での迷惑行為、またはギルド員同士の争いは禁止ですので、こちらも注意して下さい。酷いとギルドカードの剥奪もありえますので。説明は以上になりますが、質問はありますか?」


 説明を聞いてみたけど、ほとんど俺が思ってた冒険者の姿と変わらないな。

 質問してもいいらしいので、少し気になったところをいくつか確認しておくか。


「いくつか質問があるのですが、まずはダンジョンによって、ギルドランクが足りなくて入れないとかありますか?」


「ダンジョンへ入るのに制限はかけておりませんが、中級ダンジョン以上はそれなりの強さがないと危ないので、ギルドの2階の資料室で調べてみることをおすすめします。あとは経験者に聞くのが一番いいと思いますよ」


 資料室があるのか、学校に行く前に1回は一通り目を通しておきたいな。

 ダンジョンに関しては帰ってきたらコウガにでも話を聞いてみるか。


「わかりました。次なのですが、依頼は掲示板にあるもの以外にもありますか?例えば、緊急依頼とか指名依頼などです」


「緊急依頼も指名依頼もどちらもございます。緊急依頼は報酬がいつもよりも多くなっています。その分危険度が増していることが多いです。指名依頼は主に高ランクの方が受けることが多いですね。もちろん、指名さえあれば低ランクでも受けることは可能です。こちらも資料室に少しですが載っているので参考にして下さいね」


 緊急依頼と指名依頼もあるみたいだな。

 しかも、こちらも資料室に情報があるみたいだな。

 あとはランクアップ条件が聞けたら聞いておこうかな。


「資料室にあるのですね。今度、寄らせて貰います。最後ですが、ギルドランクが上がる条件とかは教えて貰えますか?」


「Gランクから上がるには、依頼を10回クリアすれば上がりますよ。ただし、ダンジョンでの魔石納品以外を1件クリアする必要はあります。その先のランクはギルドへの貢献度により昇格スピードは変わってきますね」


「それはダンジョン関係より、掲示板にある依頼の方がギルドへの貢献度が高いということですか?」


「一部例外はありますが、その通りです。緊急依頼や、ギルド職員から薦められる依頼はギルドの貢献度が高いと思って下さい。ギルド職員からの依頼は断ることも出来ますが、個人的には受けた方がいいと思います」


 ギルド職員からの依頼か。

 多分、ギルド職員との信頼関係を築いていかないといけないから、大分ランクが上がってからの話だな。

 とりあえず、聞きたいことは聞いたのでダンジョンで取った魔石を納品する依頼を受けるか。


「質問はもう大丈夫です。ありがとうございました。今からダンジョンに行くのですが、魔石を納品する依頼を受けたいのですがいいですか?」


「ギルドカードが出来上がっていたら大丈夫なので、少しお待ち下さい」


 そうだった。ギルドカードがまだ出来てないんだったな。

 出来るまでに説明するって話だったか。少し興奮してすっかり忘れてた。

 少ししたら美人受付嬢がギルドカードを持って戻ってきた。


「お待たせいたしました。こちらがギルドカードになります。先にダンジョンでの魔石納品の依頼を受注しますね。……これで受注は完了しました。ギルドカードに魔力を流すと今受けている依頼が確認できるので、一度ご確認下さい」


 何とステータスプレートみたいにギルドカードも魔力を流すと今受けている依頼が確認できるようだ。

 ギルドカードに魔力を流してみた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:リオン・スペンダー

年齢:9歳

職業:鑑定士

冒険者ランク:G


受注依頼:Gランクの魔石を10個納品せよ!

 依頼ランク:G

 期限:なし

 成功:500L

 失敗:違約金なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おお、見れました。Gランクの魔石を10個集めるのですね」


 ギルドカードもステータスプレートや鑑定と同じでディスプレイの様に表示された。

 魔力を流さなくするとディスプレイは消え、ギルドカード本体には名前とギルドランクだけが表示されている。


「はい、魔法袋をお貸ししますので、ダンジョンから帰られたら魔法袋と一緒に魔石を渡して下さい。期日はありませんので魔石が10個集まるまで依頼を受けている状態になります。次行かれる時にまた魔法袋を貸し出す形になります。魔法袋の貸し出しはGランク冒険者、またはFランクの冒険者でGランクの魔石集めの依頼を受けた方に貸し出しております。ちなみに魔法袋とは見た目以上に物が入る魔法の袋のことです」


「魔法袋なら持ってるので、大丈夫ですよ」


 腰に下げている袋にぽんぽんと手を当てながら美人受付嬢に答えた。


「魔法袋をお持ちだったのですね。でしたら、魔石が10個集まったタイミングでギルドに来て頂ければクリアとなりますので、それまではご自身で大切に保管していて下さい」


「わかりました、あとは何かありますか?」


 説明もかなり聞いたし質問も十分だろう。

 他に何かあるかな?


「いえ、こちらからは以上になりますので、質問がなければダンジョンに向かっても構いませんよ」


「質問はもう大丈夫です。エミリーさん、ありがとうございました」


「息子がいろいろとありがとう。助かったよ」


 こうして受付を後にして、ギルド内にある道具屋にて、携帯食料と水とポーションを2本買って貰った。

 アル兄の時も、最初のみ食料と水とポーションを2本買ったようだ。

 次回からは自分でお金を稼いで買うようにとの事だ。


 食料などを買ったら、そのままギルドを出た。

 コウガとはそこで別れて、俺はダンジョンに一人で向かう為に北門へと進むのだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

後書き失礼します。


いつも読んで頂きありがとうございます。


私はまだまだ初心者ライトノベル作家なのに、ランキングがすごい事になっていて、大変恐縮です。詳細は近況ノートに記載してます。


読んで貰えてる感謝の気持ちを込めて、今日明日は2話投稿します!


モチベーションは高く維持出来てるので、今後とも是非続きを読んで下さい。


本当にありがとうございます。

感謝感激雨霰!



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