武器を買う
無事に[鑑定の儀]が終わったので、コウガと一緒に武器屋に行くことになった。
「これから行く武器屋は、うちの衛兵たちも使っている武器を作っているところなんだ」
「それでは、かなり品質がいい武器がありそうですね」
武器屋としてかなり上質なところに連れて行ってくれるらしい。
確か買って貰った木剣も良品質だったような気がするな。同じところの商品なんだろうな。
ちなみにテルーゼの町の衛兵は、迷いの森に入ることもあるので、元冒険者が多い。
教会から少し歩いたところに剣のマークの看板があるお店が見えてきた。
「あそこの剣のマークがあるところが武器屋だ。その斜め向かいの盾のマークの店が防具屋だな」
「分かりやすいですね」
俺はこれまで武器屋に入ったことはない。
木剣を買って貰った時も、一緒に買いに行かずプレゼントとして家で貰ったからだ。
少しわくわくしながら武器屋に入った。
「おおー、すごい。いろんな武器がありますね」
剣だけでも、直剣、短剣、大剣、細剣と種類があるし、他には槍や斧、鎌や槌、弓に杖とかなりの種類がある。
やばい、全部欲しい。
剣以外の武器があれば、スキル覚えれるじゃん。
確かアル兄もダンジョンに行くようになってからお金を自分で稼いでたよな。
よし、お金が貯まったら安いのでもいいから買いにこよう。
「本来は店員がたくさんいるんだがな、年明けすぐだから多分店主しかいないんだ。アルスの時もそうだったからな」
「そういえば、年明けでしたね。僕は武器を見てていいですか?」
「いいぞ、俺はちょっと奥に行って店主を呼んでくるから」
コウガは奥の扉を進み、店主を呼びに行った。
俺はそれまでに高そうな武器を鑑定しようと思う。
「この剣はどう見ても高そうだよな。鉄とかと違って銀色に光輝いているし、もしかしてミスリルの剣か?よし〈鑑定〉」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
武器名称:白銀の剣
状態:高品質
価値:Cランク
特殊効果:魔力を流している間、強度が上がる。攻撃力+5
詳細:銀を特殊加工して作られた剣。攻撃力+40
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ミスリルじゃなかったけど、強い武器だな。
白銀の剣か、銀を使ってるみたいだけど、どうやら日本の銀とは違ってファンタジー効果で魔力を流している間は強化される武器のようだな。
強度も日本の銀よりも耐久力ありそうだし、中級ダンジョンか上級ダンジョンに行くときには、これぐらいの武器が欲しいな。
一応、他の武器も色々鑑定してみると同じ武器でも攻撃力に多少の誤差はあるようだ。
これは品質が多少は関係しているみたいだな。
ただ、普通品質の中でも攻撃力の差が2もある物があるから、選ぶ時はしっかり選別した方が良さそうだな。
俺には鑑定があるから、ゆっくり選べば間違えることはないだろう。
色々鑑定しているとコウガと店主と思われる堅物そうな顔の男が奥の扉から入ってきた。
「ほう、この坊主がお前の自慢の2人目の息子か」
「そうだ。リオン、こっちの強面の男は鍛冶師のホストンだ」
「初めまして、リオン・スペンダーと申します。本日[鑑定の儀]が終わったので、こちらで鉄の剣を購入する為に伺わせて頂きました。ホストンさん、今後お金が貯まったら、剣以外も買いに来ると思うので、どうぞよろしくお願い致します」
これからお世話になりそうな鍛冶師のホストンさんだからな、しっかりした挨拶をして最後はお辞儀も加える。
うん、完璧だ。
「ああ、こちらこそよろしく頼む……おいコウガ、長男のアルスも礼儀正しかったが、弟のリオンはさらに輪をかけて礼儀正しいじゃないか?本当にお前の子なのか?」
「まあな、俺とマリーも特に教育をしっかりした訳じゃないんだが、リオンは小さい時から本が好きでかなり読んでいてな、そのおかげだと思うが、とても丁寧で礼儀正しい行いが出来るんだよ」
どうやら、丁寧にし過ぎたらしい。
それは置いといて、どうするのかな?
「あの、剣はどうなりましたか?ここに並んでいる鉄の剣から選ぶのでしょうか?」
「ここから購入するから、リオンが選ぶか?」
なるほど、ここから選ぶのか、それなら自分で選んだ方が良さそうだな。
鑑定で高品質の物が分かるからな。
この中には高品質の鉄の剣は2本しかないし。
「自分で選びたいです。ホストンさん、剣を持ってもいいですか?」
「ああ、かまわんぞ。店を壊さないなら、剣を振っても大丈夫だ」
「ありがとうございます」
よし、さっそく高品質の剣を持ってみるか。
1本目を持った感じ少し長いような気がするな。
少し振ってみると、木剣と比べると振りにくいような気がする。
重いからなのか、自分の身長に対して剣が長すぎるのか?
とりあえず、もう1本の高品質の剣を試してみるか。
2本目の方が少し短いな。
おお、振ってみるとしっくりくる感じだ。木剣と似た感覚で振れるから手に馴染む感じがする。
木剣よりも重いけど、これはすぐに慣れるだろう。
「うん、この鉄の剣でお願いします」
「ほおー。リオン、いい剣を選ぶじゃねぇか。今からそれに合う鞘を持ってくるから、剣を持っていくぞ」
「はい、お願いします」
全部の剣に鞘がついてなかったけど、奥に置いてあるんだな。
「リオン、鑑定を使ったのか?」
どうやらコウガは俺が鑑定を使って選んだと思ったようだな。その通りなんだが。
ちなみに2本の高品質の鉄の剣の鑑定結果はこんな感じだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
武器名称:鉄の剣
状態:高品質
価値:Eランク
特殊効果:なし
詳細:鉄で作られた剣。攻撃力+18
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
高品質の鉄の剣はどちらも攻撃力+18で良品質だと+16か+17のどちらかだった。
「はい、鑑定を使ったら、鉄の剣の中では今のと最初に手に取った2本だけが高品質だったので、どちらにするかは手に持った感じで決めました」
「そうか、鑑定というのはかなり便利だな。買い物で失敗することがなさそうだ」
そうか、鑑定出来ないと自分の目利きで買わないといけないから大変だな。
それこそ知り合いのところでしか安心して買い物できないな。
鑑定覚えておいて本当によかった。
コウガと話してたらすぐにホストンさんが戻ってきた。
その手には鞘に収まった鉄の剣がある。
「ほら、リオン。何かあれば持ってきな。有料だがメンテナンスしてやるからな」
「わかりました。どうもありがとうございます」
「それで、その剣はいくらだ?」
「鞘と鉄の剣合わせて3万Lだ」
3万Lもするんだ。
剣ってやっぱり高いんだな。
「アルスの時と同じ値段だな」
「リオンが見ていた2本とアルスに売った剣は、鉄の剣の中では最高の出来だからな。本当は安くしてやりたいが……」
「いや、流石に領主だからといって領民から安くして貰うのはな。正規の値段でいいぞ」
どうやらホストンさんは俺の目利きが気に入ったらしくて安くしてくれたかったみたいだ。
だが、コウガは領主の為、お金を多く払って領地を豊かにしていかなければいけないのに、逆に安く買い取るとかは領地を貧しくしかねないので出来ないとの事だった。
とはいえ、うちは貧乏貴族なので正規の値段で購入するということだ。
ホストンさんにお礼を言いお店を出て、今度は冒険者ギルドへ向かう。
「お父様、剣を買って頂きありがとうございます」
「ああ、木剣と違って鉄の剣は少し重いから慣れるまでは十分気を付けるようにな」
「はい」
こうして、ルンルン気分の俺は次なる目的地の冒険者ギルドへの道のりを、ニコニコしながらコウガと歩いて行くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます