幕間 リオンの手紙2
すごい。
本当にすごいの一言しか出てこない。
リオンは一体これらをどうやって知ったのだろうか?スキルレベルとか聞いたこともないし。
まず、魔力超回復。これはすごいスキルだ。最初に絶対手に入れた方がいいスキルに違いない。
魔力が30分で1しか回復しないことも知らなかったし、寝るととんでもなく回復することも知らなかった。
魔力は剣士である僕でもかなり必要になる。なぜならアーツを使うには魔力が必要になるからだ。
魔力がたくさんあれば、それだけダンジョンでもアーツが使えるし、魔力回復力が高ければ、少し休憩するだけでまたアーツが使えるようになるだろう。
それだけでもすごいのに、体術スキルのレベルを上げれば体が疲れにくくなるらしいのだ。
これは、ダンジョン探索でも有用だし、もちろん戦闘でもすごく優秀なスキルになるだろう。
戦闘では相手の攻撃を捌くにもこちらから攻撃するにもスタミナは必要だ。
それを少しでも軽減してくれるのであれば、素晴らしいスキルと言えるだろう。さらに戦闘以外の普通の時でも有効とあればものすごく使い勝手がいい。
そして最後の魔力操作だ。練習方法が具体的でこれが出来るようになれば、レベルが上がると思われるラインがはっきりと分かる。
これは、ここまで頑張ればレベルが上がると分かるし、やる気も起きるだろう。それに何をすればいいか悩む必要もない。
正直、今日まで魔力操作の練習は毎日していた。だが、やりかたについては、マニュアルに書いてある身体全体に魔力をいつもの速さで流すだけである。
これだけでは上がりにくいと書いてあるから、僕の魔力操作はレベル6から多分上がっていないと思われる。
「ふぅぅぅーーーー」
情報量が多すぎて頭がパンクしてきた。
さらにリオンは昔から本が好きで難しい言葉も多く知っている。今回もたまに難しい事が書かれているので、理解するまでが大変だ。
手紙を読んだだけでこんなに疲れるなんて思ってもみなかった。
今の時間を確認する為、お父様に買って貰った魔時計(魔道具の時計)を見た。
午後3時を過ぎたところだ。
魔力超回復の取得方法は分かったので、夜まで寝て取得に備えようと思い、周りの子供たちに夜まで寝ることを伝えてから夜まで眠った。
時刻は午後7時頃、王都への途中の小さな町で夕食を食べるようだ。ついでにここで泊っていくらしい。
町に泊るのは最初の日と4日目の夜だけとなる。あとは野宿することになるらしい。
起きたらまずやることは魔力を全て使い切ることだな。
1度自分自身にウォッシュを使い、その後に連続でドライを発動する。魔力がなくなるまでそれを続けた。
馬車を降りて、宿屋で泊る部屋に荷物を置き食堂へ向かった。ちなみに部屋は馬車の5人で1部屋だ。
食堂で夕食を食べる。食後は自由時間になる。
夕食後部屋に戻り、まだ読んでいない冊子を手にする。
まずはスキル一覧表で生活魔法を覚えようかな。マニュアルにも生活魔法の新しいのを覚えながら魔力総量を増やした方がいいって書いてあったしね。
スキル一覧表の1ページ目に生活魔法があり、詳しく読み始めた。
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生活魔法:生活が便利になる魔法を操ることが出来る
レベル1:〈ウォッシュ〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル2:〈ドライ〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル3:〈ファイア〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル4:〈ウォーター〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル5:〈エアー〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル6:〈アース〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル7:〈ライト〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
レベル8:〈ダーク〉を覚える 魔力+5 魔力消費1
魔法名:説明
ウォッシュ:対象を水で洗い流す(水は消えるが接触した部分に水分は残る)
ドライ:対象を乾燥させる
ファイア:指先から小さな火を起こす
ウォーター:手のひらから水を起こす
エアー:手のひらから風を起こす
アース:手のひらに土を出す
ライト:手のひらから光を照らす
ダーク:手のひらから暗闇を作る
生活魔法はその名の通り生活を便利にする魔法です。
まず、どの魔法も魔力消費1で使えます。
何も考えずに使うと効果は数秒で切れます。
効果時間を伸ばすと、どの生活魔法も消費1で10分は持ち、1秒で効果を切っても魔力は消費1されます。
効果や範囲は少しなら調整が可能。
ここからはウォッシュとドライ以外の魔法の使いどころや注意点をまとめてます。
ファイアは指先から火を出す為、注意が必要。野営とかで火が必要になる場合があると思うのでその時は役に立つと思います。
ウォーターはウォッシュと違い水が残ります。用途は飲み水にすることがいいと思われます。野営やダンジョン内でも役に立つでしょう。
エアーはドライと似ていますが、こちらは主にほこりなどを風で飛ばす事に使用できます。本がある場所を掃除するのに便利。あとは風を自分に向ければ涼むことも出来ます。
アースは土を作り出せます。これについては用途が思いついていないです。
ライトは光を照らすことが出来るので、暗い洞窟や夜などで明かりが欲しいところで役に立ちます。洞窟などでは、ずっと必要になってくるので魔道具の方がいいかもしれないです。そこは魔力次第になると思います。
ダークは暗闇を作るので、限定的な使い方になるかもしれないです。見られたくないものを一時的に隠すとかですね。
生活魔法はイメージさえ掴めば、覚えることは簡単だと思います。
レベルも上がりやすいので、ステータスプレートで魔力を確認しながらどんどん新しい魔法を覚えていって下さい。
生活魔法は誰でも簡単に習得できると思うので、周りに教えても大丈夫です。
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説明は簡素だけど、イメージさえあれば簡単に使えるみたいだな。
ただ使いどころと注意点の方がしっかりとしているから実際に魔法を見てなくても何とかなると思う。
とりあえず自分の魔力量の確認をしておこうかな。
ステータスプレートに魔力を流して最新に更新した情報を確認する。
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名前:アルス・スペンダー
年齢:10歳
種族:人族
性別:男
状態:普通
職業:剣士
ステータス
レベル:5
体 力:52/52
魔 力:2/84
攻撃力:27
耐久力:21
敏捷力:25
精神力:18
抵抗力:18
スキル
剣術
魔法
魔力操作、生活魔法
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魔力の最大は84か。2も回復しているから使い切ってから1時間以上経ってるな。
とりあえず、ファイアが使えるかもしれないから集中しながらイメージしてみるか。
指先に魔力を集めて、火が灯るイメージをして。
「〈ファイア〉」
ぽっという音とともに指先から火が灯った。
出来た。生活魔法のレベルは3は有るって事だな。
というか、今更ながらお父様やお母様に教えて貰ったことない生活魔法をリオンに教えて貰うのって、何だか不思議な感じだ。
とりあえず、魔力を消費させてから次にリオンの秘密事項を読んでみるか。
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リオンの秘密事項
これを読んでいるということはマニュアルの初級はもう読み終わったということですね。
では、たくさんの疑問を持った事でしょう。
なぜ、魔法袋を僕が作れたのか?
なぜ、お父様やお母様が知らない生活魔法を知っているのか?
なぜ、スキルにレベルが存在する事を知っているのか?
たくさんあったはずです、知りたいはずです。
全部答えられるか分からないですが、出来る限り書きます。教えられる範囲で教えます。
まず、初めに謝らなければならないです。
僕は[鑑定の儀]で剣士になることはありません。
アル兄は僕も剣士になって欲しかったかもしれませんが、僕の職業は〔鑑定士〕です。
まだ[鑑定の儀]が来ていないのに職業が決まっているのはおかしいと思うかもしれませんが、実は職業は[鑑定の儀]よりもっと前から決まっていたのです。
予想ですが、スキルを獲得したタイミングで職業が決まるのだと思います。
現にアル兄が6歳の時に、こっそり鑑定したら職業は剣士で剣術のスキルを持っていました。
僕が持っているエクストラスキルに〈鑑定〉というものがあります。
このスキルはレベルを上げると、とてつもなく使えるスキルになります。
それはスキル一覧表を見て頂ければわかると思うので省略しますが、このスキルを手に入れたことで僕は〔鑑定士〕の職業に決まったのだと思います。
ちなみに、鑑定スキルをレベル10に上げて人を鑑定した場合、ステータスプレートの情報にプラスでスキルレベルと魔法レベル、エクストラスキル、特殊スキル、称号、何を装備しているかが分かるようになります。
物などを鑑定するとその価値や状態(品質)、調合アイテムや錬金アイテムの場合は素材までもが分かります。
あとはどのような物なのか、使い方や効果などの詳細も分かります。
1年近く前に一緒にダンジョン前まで行ったのを覚えてますか?その時に魔法袋(小)をギルドから借りてきたのを鑑定しました。
素材はシャドウメイジの布と魔法の粉です。僕がお父様にどうしても欲しいとお願いしたのを覚えていると思います。
そして、鑑定した時は錬金のスキルは覚えたばかりでした。なので、素材はもっと前から手に入れていたのに、錬金のレベルが足りず魔法袋が出来上がったのは、1週間前なのです。本当にぎりぎりで間に合いました。
アル兄が初めてダンジョンに行った日に、ミラさんから調合を見せて貰い、その時に調合を行うのに必要な釜と素材の癒し草を貰いました。
その日の夜に調合を試したらすぐに出来ました。
さらに、ミラさんから錬金も同じ釜で出来るということを聞いていたので、素材の石を2つ庭に取りに行きました。
そして、部屋に戻りすぐに錬金出来るか試してみると、何と石2つが錬金され投擲石になってしまったのです。錬金スキル習得の瞬間でした。
庭の奥の方の石が丸々しているのを知っていますか?それは全部僕が錬金した投擲石です。
あとは僕のステータスですね。鑑定スキルを使えばステータスプレートより詳細が分かると言いましたが、申し訳ありませんが詳しくは話せません。
それはアル兄が学校から一度帰って来た時に、改めてステータスをお教えします。
ですが、魔法とスキルレベルだけはスキル一覧表である程度、分かってしまうのでお教えしますね。
僕の持っているスキルは剣術レベル9、体術レベル10、調合レベル1、錬金レベル7、魔法は魔力操作レベル10、生活魔法レベル8、エクストラスキルは鑑定レベル10、身体強化レベル8、魔力回復レベル9です。
それと特殊スキルは魔力超回復、超体術、スキルの達人、魔法の達人、エクストラスキルの達人ですね。特殊スキルはレベルはないですが、覚えるだけで効果がすごいのばかりです。こちらもスキル一覧表で確認できます。
あと、本をよく読んでましたが、普通に読むのが好きなだけです。
こんな感じでどうでしょうか?もし何か気になることがあれば次会った時に聞いて下さい。
出来る範囲でお答えします。リオンより。
====================
えっえええっえええー--
天才。これを読んで出た感想は天才の一言だ。
何で鑑定の儀を受ける前に職業が決まっているのか?
しかも、もうスキルまで取得しているのか?
そのスキルが高レベル過ぎるのはどうしてか?
確かに毎日努力しているのは知っている。
僕もリオンに負けたくないから頑張っていた部分も大きい。
それでも、スキルについては恐ろしく差が出来てしまったと思う。
リオンは努力する天才だ。
僕では勝てっこない。
でも、誇らしい。自慢の弟だから。
リオンに褒めて貰えるのがいつからか一番うれしくなった。
お父様より、お母様より、弟のリオンが褒めてくれるのが一番うれしいのだ。
そのリオンがまさかステータスプレートよりもはるかにすごい鑑定を使えて、職業が剣士ではないのに剣術が使える。
おそらく上級アーツも使うことが出来るのだろう。僕はまだ疾風突きから先は使えていない。
「ふぅー-」
弟がすごすぎる件について。
参ったな。学校にいる間に差は少しでも縮まるだろうか?
いや、その為にこの情報をくれたのかもしれない。
もっと頑張ろう。
その為にはまず魔力超回復を取得することだな。
ファイアを2回使い魔力を空にする。
そして、マニュアルの中級を読むことにした。
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強くなる為のマニュアル(スキル編中級)
こちらのマニュアルは強くなる為に何をするかを初級以外の部分で説明していきます。
初級に比べてまだあまりないですが、エクストラスキルの取得についても書いてあります。
最初は初級で説明した強くなる為の項目にあったトレーニングについて説明します。
トレーニングとは主に剣の稽古、走り込み、魔力を限界まで使うなどがあります。
剣を振り続ければ、レベルが上がらなくても攻撃力が上がったりします。
庭を走り続ければ、体力が増え、魔力を限界まで使い続けると魔力量の総量が増えます。
ただ、どれもほんの少しずつの効果しかありません。
1年で1とか2しか上がらない事も多いですし、全く増えない事もあります。
しかし、この少しを積み上げていけば、いつの間にか大きくなっていくのです。
努力は人を裏切らない。
つまり無駄な努力はないという事です。何と素晴らしい言葉でしょうか。
なので、出来ることを少しずつでもいいのでやっていきましょう。
無理をする必要はありませんが、努力なくして強くなることはないのです。
さて、トレーニングについてはこれぐらいにして、エクストラスキルについて書いていきます。
まず、エクストラスキルはスキルと違いアーツが少ないです。
多いのもあるかもしれませんが今のところ1つだったりなかったりです。
ないというと誤解を与えるかもしれませんね。魔力回復というエクストラスキルは覚えると自動で発動しています。パッシブスキルというのですが、覚えるだけで常に発動している頼もしいスキルです。
他にエクストラスキルはスキルや魔法と比べて能力向上の値が大きいです。
スキルレベルが上がれば目に見えて強くなれます。
そして、強くなる為にエクストラスキルで覚えた方がいいのは身体強化になります。
身体強化はアーツとして使うと、魔力を消費する変わりに攻撃力、耐久力、敏捷力、精神力、抵抗力を強化してくれます。
これは身体強化のレベルにより、魔力消費と強化の倍率が変わってきます。
そして、それとは別にパッシブスキルとして全ステータスが身体強化のレベルに応じて倍率で上がっていきます。
これはアーツを使わなくても常に上がった状態になるので、非常に強力なエクストラスキルになります。これはかなりおすすめです。
さて、エクストラスキルを覚える為には、ある条件を満たすことが必要です。
それは魔力操作レベル6です。初級でも少し書きましたが、6以上あれば覚える事は可能です。
魔力操作は初級に書いたのでここでは6であるとして進めます。
まず、身体全体を魔力で覆い、身体の中を血液が流れているイメージを思い浮かべながら、右手から右足へそれから左足へ行き、左手を通って頭へ流して右手へ戻ってを繰り返しながら、身体全体に魔力を流しつつ〈身体強化〉と唱えて下さい。
最初は1秒で魔力消費が5必要になるので、魔力が足りない時には使えないので魔力を確認してから試して下さい。
身体強化は魔力消費が非常に激しいので、実践では気を付けないといけないです。
ですが、身体強化を覚えればワンランク上の強さを手に入れることが出来ます。
次に魔力回復ですが、こちらは初級で書いた通りです。
魔力超回復を覚えたら、常に魔力を減らした状態にして下さい。
予想になりますが、本来の覚え方はおそらく魔力を回復するアイテムを大量に使って覚える事が出来るエクストラスキルだと思います。
このエクストラスキルは先程書いた通り、パッシブスキルになるので、覚えていれば時間が経過すると魔力が少しずつ回復していきます。
レベルが上がると回復する為の時間が短くなります。
そして、最後に鑑定です。
こちらは最初は全然使えないエクストラスキルです。
しかし、レベルが上がるにつれて、徐々に便利なエクストラスキルになり、レベル10になれば通常では知りえない情報をたくさん知ることが出来ます。
さて、覚え方ですが、目に魔力を集中させて鑑定したい対象をよく見ます。
そして、しっかり対象物を確認しながら鑑定と唱えて下さい。
ただし、鑑定のエクストラスキルはレベル1で魔力消費20も使うので、魔力がないと使えないですし、レベル上げがかなり大変になります。
しかし、上げるだけの価値はあるので、どうか努力を惜しまないで下さい。
さて、最後になりますが詳しい情報は書かないですが、称号を手に入れるとかなりぶっ飛んだ特殊スキルを手に入れることが多いです。
魔力超回復がそうなのですが、超体術もおかしい性能をしています。
スキルをレベル10にすれば手に入るものが多いと思うので、頑張って上げてみて下さい。
効果はスキル一覧表にありますので、どうぞ確認して下さい。
それでは、初級に比べて短いですが、これで強くなる為のマニュアル(スキル編中級)は終了です。
今の段階で書ける範囲で書いたので、このマニュアルは更新される可能性があります。
もちろん、マニュアルの初級もスキル一覧表も更新する予定ではいます。
それでは、次をお楽しみに。
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