魔法袋とアルスの旅立ち
アル兄の学校行きが残り1週間となった。
そして、俺は諦めかけていたことが、ここに来て奇跡的に完成したのだ。
「フフフ、やっと出来たぞ。アル兄の入学前に間に合って本当に良かった」
俺はそうつぶやきながら、2つの袋を見ていた。
そう、魔法袋(小)である。
もちろん1つは俺の分だ。そしてもう1つはアル兄の分である。
まず、材料のシャドウメイジの布と魔法の粉、これは貴族の力を使って手に入れた。
簡単に説明すると俺がどうしてもこの2つを2セット以上欲しいとコウガにお願いしたのだ。
出来れば、ミランダやリカルドの分も欲しかったが、2セットまでしか手に入れられなかった。だが、それでも十分だ。
この2つが手に入ったのはもう3ケ月近く前になるのだが、なぜここまで作れなかったかというと錬金スキルのレベルが足りなかったからだ。
そして、今日ようやく錬金レベルが上がり作ることが出来た。
今の俺の錬金を鑑定するとこんな感じだ。
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錬金:2つの物質を錬成し、新たなアイテムを作る
LV1:〈錬金〉を覚える 魔力+5 魔力消費2
LV2:初級アイテムの錬金で失敗しなくなる 魔力+5
LV3:錬金後のアイテムの品質が少し良くなる事がある 魔力+5
LV4:大量生産が可能になる 魔力+5
LV5:中級アイテムの錬金で失敗しなくなる 魔力+5
LV6:錬金後のアイテムの品質が良くなる事がある 魔力+5
LV7:上級アイテムの錬金で失敗しなくなる 魔力+5
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錬金レベル7まで上がり上級アイテムまで作れるようになった。
ちなみに失敗しなくなるとあるが、レベル6で何回やっても魔法袋は作れなかったので、もしかしたらレベル7まで行かないと上級アイテムは作れないかもしれない。もしくはレベル6では確率が非常に低いかのどちらかだ。
錬金の失敗では、素材アイテムはなくならないので何回も錬金出来るのだが、失敗した場合の魔力消費が10倍まで跳ね上がり20消費するのだ。
したがって、最低魔力が20以上ないと錬金は発動しない。
とはいえ、素材が手に入ってからはほとんどの魔力を錬金にしか使っていない。
その為、ぎりぎりで出来上がったこの魔法袋はめちゃくちゃ嬉しいのだ。
そう心の中で『魔法袋デキターー、ヤッフーー-!!』と今叫んでいる最中なのである。
「さて、アル兄にいつ渡そうかな。やっぱりサプライズがいいよな」
確かここから学校がある王都へは馬車で5日かかるらしいから、学校へ向かう直前に渡そう。
その時に魔法袋の中に時間が潰せるものを入れておこうかな。
何がいいかな?トランプとかボードゲームがあれば、馬車で一緒になった人と出来るけど、ないから仕方ない。
1人で出来ることの方がいいよな。うーん……
そうだ、閃いた。あれだったら1人で出来るし、強くもなる。
そうと決まれば、あれを作って魔法袋の中に入れよう。
アル兄が学校へ向かう日までの時間を使い、あれを完成させた。自分でいうのも何だが素晴らしい出来になったと思う。これは他の人には見せないようにと注意書きを一緒に入れる必要があるな。
それ以外にも携帯食料と飲み水も入れておく。あと、ミランダにこっそり作ってもらったお菓子も入れておいた。ちなみにクッキーだ。
魔法袋をそのまま渡してもサプライズにはならないので、別の箱に魔法袋(小)と注意書きと魔法袋の内容一覧を一緒に入れて家を出るタイミングで渡し、馬車の中で確認するようにする。
完璧だ。アル兄もきっと喜んでくれるだろう。いや、驚いてくれるかな。その時の話は2年後に1回帰ってくる時に聞くとしよう。
そして、アル兄が学校へ向かう日の朝、町の東門(迷いの森、初級ダンジョンとは別)に俺たち家族全員でアル兄を見送りに向かった。
「今回この町にいる学校へ通うアルスと同い年の子は12人いるそうだ。あと2歳上の子も15人程いるぞ。馬車は全部で7台で移動することになるが、その中には護衛役として騎士の人もいるからな」
「アルスちゃん、無理はせず、出来る範囲で頑張ればいいからね」
「お父様、お母様、わかりました。出来る限り頑張ってきます」
「アルス様、ご武運をお祈りしてます」
「アルス坊ちゃま、ご無事にお戻りになるのをお待ちしております。いってらっしゃいませ」
「ミランダ、リカルド、ありがとう。行ってきます」
アル兄、みんなとの挨拶は終わったな。あとは俺が魔法袋を渡すのと、一言応援して送り出してあげよう。
「お兄様、これは僕からのプレゼントです。かなり役に立つものを入れてあります。あと、馬車の中で暇になるかもしれないと思って作ったものがあるので、馬車の中で見てくださいね。では、2年後、僕が行くまでに学校で有名人になって待ってて下さい」
「リオン、ありがとう。何かは分からないけど、大事にするよ。あと、学校で有名人になれるかわからないけど、頑張るね」
アル兄の強さなら、学年1位になれるだろう。そうなれば嫌でも注目の的だ。おそらく1年もかからずに有名人になっているはず。俺の入学する時のひそかな楽しみだ。
「では、行ってきます。みんなも体に気を付けて下さい」
最後に全員に向けて一言告げてから、アル兄は馬車の中へ入っていった。
そして、少し経ってから全員が乗り込んだようで、アル兄を乗せた馬車は、ゆっくりと動き出した。
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後書き失礼します。
いつも読んで頂きありがとうございます。
この後に幕間を挟んで第二章は完結です。幕間は学校へ向かうアルスの馬車での話です。そして三章からようやくリオンのダンジョン攻略編に入ります。
幕間は色々な説明回なので長くなってしまいました。その後に人物紹介などを入れてから、三章に行きたいと思います。
三章も毎日投稿予定ですが、恐らく1話ずつになると思いますので、今後ともどうぞ読んで下さい。
※応援やレビュー、フォローなどありがとうございます。お陰様で最高のモチベーションを維持しております。
まだの方は是非応援だけでもいいのでよろしくお願いします。
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