アルスのアーツの特訓
[鑑定の儀]の次の日、昼食後1時間ぐらい経過してようやくアルスのアーツの特訓が開始された。
「まず、アーツについて少し説明するぞ。アーツとは前に話した通り、各スキルで覚える技の事だが、使う時に魔力を必要とする」
「魔力がいるのですか?」
「ああ、魔力を使ってアーツを繰り出すんだ。どのアーツであっても魔力が必要になる」
「わかりました。魔力が必要なら生活魔法みたいに覚えていくのですか?」
「いや、アーツは見て覚えてもらう。と言っても、ある程度剣の修練を積んでいれば見ただけで使えるようになるぞ」
「そうなのですか?」
「ああ、まずは剣のアーツを見せよう。〈スラッシュ〉」
コウガが木剣を上段で構えてスラッシュを放った。
そしてすごい勢いで斬り下ろしを決める。
「すごい。これがアーツなのですね」
「ああ、剣術スキルの初級アーツであるスラッシュだ。アルスもやってみようか」
「では、行きます!〈スラッシュ〉」
アルスは鉄の剣を上段で構えてスラッシュを放った。
コウガ程ではないが、勢いよく斬り下ろしを決める。
どうやらアルスもスラッシュが使えたようだ。おそらくだが、自動で身体が動いたのだろう。
「これがスラッシュ…すごいですね。身体が勝手に動きました。しかもいつもより速く」
「そうだ、今は上段からの斬り下ろししか出来ないかもしれないが、もっと訓練すれば薙ぎ払いや斬り上げとかでもスラッシュが使えるようになる」
「そうなのですね、それにしても鉄の剣は思ったよりも重いですね。流石に木剣と比べると扱いが難しいです」
そうか、今日は鉄の剣を使ってるのにスラッシュではあれ程のスピードが出せたのか。
アーツはやはり優秀だな。その上、極めれば極める程、応用が利く。
「鉄の剣の方が木剣と比べると重いからな。その代わり攻撃力は鉄の剣の方が高いぞ」
「扱いが上手くなれば、魔物を倒すのに役立ちますね」
それからアルスは魔力がなくなるまで、スラッシュを使い続けた。
その隣で俺はいつも通りの素振りをしている。アーツはもちろん使っていない。
[鑑定の儀]も来てないのに、俺がアーツを使えるのはおかしいって思われるかもしれないからな。
今日はコウガとの模擬戦もアルスとの模擬戦も無しだ。
アルスもスラッシュが使えなくなっても普通に素振りしている。マインドショック状態のはずなのに、アルスもなれたのだろうか。自力でなれたとかすごいな。
そして、少し早めに練習を終えて、コウガがこれからの予定を話しだした。
「今後は模擬戦は控えるとしよう。その代わりアルスはアーツに全力で取り組むようにな。俺も少し忙しくて、家に居られない時があるからな」
コウガは領主で、さらに迷いの森の責任者なので家にいない時が結構ある。
とはいえ、平日ずっと仕事みたいな感じではなく、不定期だが、週の半分は家にはいることが多い。
さらに、出かけても午前から昼少し過ぎまでで帰ってきたりとかも多く、剣の稽古の時間は結構いてくれてたりするのだ。
コウガがいない時でもアルスは真面目だから、自主的に稽古していたし俺も倣って一緒にやっていた。
「それでだ、初級アーツのスラッシュは剣士の職業につくと誰でも使えるものだが、もう1つの初級アーツ疾風突きがあるのだが、これはそれなりの訓練をしないと使えないんだ」
「疾風突き」
疾風突きも初級アーツになるんだ。もちろん既に俺は覚えている。
剣術レベル8だからね。当然ですよ。
ちなみに俺の剣術スキルを鑑定するとこうなる。
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剣術:剣の扱いが上手くなる
LV1:〈スラッシュ〉を覚える 魔力消費2
LV2:剣捌きが少し上手くなる 攻撃力+5
LV3:〈疾風突き〉を覚える 魔力消費3
LV4:剣を所持している時、少し動きが良くなる 敏捷力+5
LV5:〈ダブルスラッシュ〉を覚える 魔力消費5
LV6:剣捌きが上手くなる 攻撃力+5
LV7:〈三日月斬り〉を覚える 魔力消費6
LV8:剣を所持している時、動きが良くなる 敏捷力+5
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
疾風突きはLV3で覚えるので、アルスならスラッシュをある程度使えば、すぐに覚えるだろう。
「速ければ1週間もかからずに覚えるからな、アルスならすぐだと思うぞ。疾風突きを覚えたら、ダンジョンでレベル上げに行くからな」
「わかりました」
一応初級以外のアーツが何かも聞いてみるか。鑑定では初級とか中級とかはわからなかったからな。
「お父様、初級アーツ以外にはどのようなアーツがあるのですか?」
「リオンもアーツが気になるか?初級以外だと中級アーツでダブルスラッシュ、上級アーツで三日月斬りというのがある。あとは超級アーツというのがあるらしいのだが、俺は覚えていないから、どんなアーツかわからないな」
「中級アーツに上級アーツ、あとは超級アーツですね。ありがとうございます」
俺もまだ覚えていないがおそらく次覚えるアーツが超級アーツ何だろうな。
もしかしたら体術レベル9で覚えたアーツも超級アーツになるのだろうか?
体術の鑑定結果はこうだ。
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体術:身体を動かすのが上手くなる
LV1:〈スマッシュ〉を覚える 魔力消費2
LV2:身体を動かす時、少し疲れにくくなる 体力+10
LV3:〈双撃脚〉を覚える 魔力消費4
LV4:身体の扱いが少し上手くなる 攻撃力+5
LV5:〈アサルトラッシュ〉を覚える 魔力消費3
LV6:身体を動かす時、疲れにくくなる 耐久力+5
LV7:〈回し蹴り〉を覚える 魔力消費5
LV8:身体の扱いが上手くなる 敏捷力+5
LV9:〈インパクト〉を覚える 魔力消費5
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体術レベル9のインパクトはスマッシュの強化版だ。
まさに一撃必殺的な感じで強力な一撃を繰り出すのだ。
もしかしたら、これが超級アーツになるかもしれないな。
まだ実践で試せていないから、どのくらい強力かはわからないが今から楽しみだ。
こうしてアルスのスラッシュの特訓が始まった。
しかし、特訓3日目にコウガに疾風突きを見せて貰い、その勢いでアルスも疾風突きを使ったら出来てしまったのである。
その為、次の日にコウガとアルス、マリーの3人で初級ダンジョンに行くことが決定したのである。
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