ダンジョンがあるらしい
昼食後のゆったりとした時間が流れる。
俺がのんびりと紅茶を飲んでいるとコウガが話始めた。
「朝の話の続きをしよう。アルスは今年1年間で剣術スキルのアーツを覚えてから、レベル上げを行って貰う。最低でもレベル2になって貰うからな」
「お父様、剣術スキルのアーツとは何ですか?」
アルスが興味津々に聞いている。俺も詳しく知りたいぞ。
アーツってもしかして、スラッシュとかの事かな。俺は技って呼んでたけど、アーツかカッコいいな。
「剣術スキルで覚える技をアーツと呼んでいる。他にも槍術には槍術の、斧術には斧術のアーツがそれぞれ存在する」
「では、僕はこれから剣を使ったアーツを覚えて、ステータスにあるレベルを上げていけばいいということでしょうか?」
「そうだ。アーツがある程度使えるようになったら、ダンジョンに行ってレベル上げをしていくことになる」
何だって!この世界にはダンジョンもあるのか!?是非行ってみたい。
「お父様、ダンジョンとは何ですか?」
「ダンジョンとは、主に冒険者が己を鍛えに行ったり、お宝を求めたりする場所になるな」
「アルスちゃん、それだけじゃないのよ、ダンジョンはいくつもあるのだけど、場所によって草原だったり森だったりと色んなところに繋がっているの」
「楽しそうなところですね」
「魔物が出るから危険は付きものだけどな」
俺が思ってるダンジョンっぽいな。それに冒険者がいるってことは、冒険者ギルドもあるってことだよね?俺もこの世界で冒険者になって、世界中のダンジョンを回ってみたいなぁ。次男だから許して貰えるかな?
まあ、それは俺の[鑑定の儀]が終わってから一度相談してみよう。
「レベルを上げるには、魔物を何体も倒さないといけない。最初は初級ダンジョンでレベル上げをするのが基本だ」
「初級ダンジョンはね、弱い魔物が1体でしか出てこないの。中級ダンジョン以上だと複数体で出てくるから、戦闘が大変になるわ」
「あとは、ダンジョンには必ず一番奥にボスがいる。初級ダンジョンでは3階層にボス部屋があり、ボス部屋の前にはセーフティゾーンという、魔物が入れない空間があってそこで休息できるようになっている」
「普通はボスとの戦闘前に休息してからボス戦へという流れになるわね」
「ボスがいるのですか?」
「リオン、ボスがわかるの?」
アルスはボスが分からないようだ。確かにそんな説明は今まで受けたことがなかったな。
「ダンジョンに出てくる魔物の中で一番強い魔物がボス部屋にいると思われます。特別な魔物というところですか」
「1番強い特別な魔物がボスかぁ」
「そうですね。ですよね?お父様」
「そうだな。そのダンジョンで一番強い魔物がボスになるな。ただ、初級ダンジョンでもレベルが低いうちはボスに挑んではダメだ」
「初級ダンジョンでも、ボスはとても強いの。レベルが10になっても勝てないかもしれないわ」
「「はい」」
初級ダンジョンでもボスは強いのか。ということはレベル上げは主にボス以外でやるってことか。
「普通、ボス攻略をしたい場合は他の冒険者とパーティーを組むのが常識だな。たまに1人で攻略しているものもいるが、かなりの実力が必要になってくる」
「アルスちゃん、レベル上げの時は1人でしないといけないから、気を付けてね」
パーティーでボス戦!やはり役割毎にパーティーは組むのだろうな。楽しそうだ。
「2人以上で戦うと経験値が分散されてしまうんだ。その為、初級ダンジョンのレベル上げは1人で行って貰う。ただし、ボス部屋には絶対に行ってはいけないからな」
「わかりました」
何と、経験値は人数で分散されるのか。これは覚えておいた方がいいな。今後パーティーを組んだ時には、あえて単独行動を取った方が経験値効率がいいこともあるからな。
「アルスの当分の目標はアーツを覚えること。その後は初級ダンジョンのボス以外でレベル上げだ」
「はい」
「その後だがな、来年の1月1日になったら、王都にある学校に通うことになるのだが、実は当日に試験がある。それによって、校舎の場所が変わるんだ」
あれ、試験があるってことは合否があるんじゃないのか?校舎が変わるだけってまるで全員合格みたいじゃないか?
「あの、お父様。試験は合格だったらその学校に行けるという事ではないのですか?校舎が変わるだけなのですか?」
「学校は国に1つしかないからな。ただどの国の学校も校舎がいくつもあって、個人の実力毎に校舎が分かれているんだ。オルトカディア王国の王都デオールには4つの校舎に分かれている。
「それでね、校舎はA、B、C、Dと分かれていてね。A校舎は特別優秀者、B校舎は物理優秀者、C校舎は魔法優秀者、D校舎は一般って感じで分かれるのよ」
「では、僕はA校舎かB校舎を目指せばいいのですね?」
「そうだな。アルスは優秀だからA校舎になるだろう」
「そうね、アルスちゃんなら何も心配いらないわ」
「お兄様なら大丈夫です」
「えへへ、ありがとうございます」
うんうん、アルス照れてるな。でも、毎日地道に頑張ってたからな。特別優秀者の校舎になっても充分やっていけるだろう。
「それでな、学校では寮暮らしになるんだ。ここに帰ってこれるのは2年生の最終試験が終わった後の1ケ月ぐらいだな」
「では、僕は学校では1人ということですか?」
そうか、寮生活になるのか。アルス、少し寂しそうな顔だな。知らない町に1人で暮さないといけないんだもんな。
「大丈夫ですよ。お兄様。学校には同い年の仲間がたくさん待っていますよ!」
「仲間?」
「そうです。お兄様と同じように将来領主を継ぐ子供もいると思いますよ。話すのが楽しみじゃないですか?」
「そうだね、何だか学校が楽しみになってきたよ。ありがとう。リオン」
素直でいい子だな。俺までニコニコしてしまうよ。
「アルスなら上手くやれるだろう。学校についてはこれぐらいにしておこうか。これ以上のことは実際に行った時の楽しみに取っておくといいぞ」
「わかりました」
確かに楽しみは残しておいた方がいいよな。
夕方を過ぎると、アルスの[鑑定の儀]のお祝いで少し豪華な夕食を頂いた。
アルスはとてもうれしそうに食べていた。余程剣士になれたのが嬉しかったのだろう。
そして、明日の昼食後に剣のアーツの特訓をすることになった。
その話を聞いて、アルスがとてもやる気に満ちた顔をしているのがとても印象的だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます