第二章 幼少期 スキル習得編(鑑定)

定番の鑑定

 ウォッシュが使えるようになってから1ケ月が経った。


 ちなみにこの世界での1週間は6日、1ケ月は5週間の30日、1年は12ケ月の360日だ。1時間は60分で、1分は60秒だ。日本とかなり似ている。というより言葉も日本語だし字もひらがなや漢字だった。曜日は魔法の属性毎に分かれているらしい。[火の日]から始まり、[水の日]、[風の日]、[土の日]、[光の日]、[闇の日]となっているとのことだ。


 俺とアルスはウォッシュとドライを完全に使いこなせるようになっていた。なので、自分の洗濯物や稽古で汗をかいた時などは自分できれいにしている。

 ちなみに家の掃除をしていた時は、ウォッシュは使っていない。どうやら子供がいる場合、5歳までは魔法を使っているところをあまり見せないらしい。ちゃんと説明した後に見せることが多いとのことだ。あとは、俺みたいに上の兄弟がいる場合は、その兄とか姉に合わせることはあると言っていた。


 魔法の訓練もここ最近は魔力操作のみに変わった。どうやら、[鑑定の儀]で〔魔法使い〕じゃなくても、魔法を使える可能性があるのが、魔力操作が上達している人だというのだ。

 これは都市伝説的なあれかなと思ったが、前話していたコウガがそうだったらしいので、今は魔力操作をアルスと2人で頑張っているところだ。ただ、それ以外にも条件があると言っていたが詳しくは教えて貰えなかった。

 ちなみにマリーは火魔法使いらしく、そもそもの家系が火属性を得意としているとのことだ。これには俺もアルスも驚いた。

 マリーにお願いして庭で火魔法の1つ、ファイアウォールを見せて貰ったが、異世界らしい魔法を見て胸が高鳴った。そう、いつもの脳内ファンファーレがなったんだ。

 他にも火魔法を使えるらしいが、飛び道具みたいに飛んでく魔法が多いらしく、家などに火が移ったら危ないので防御型のファイアウォールを見せてくれたみたいだ。


 魔法の訓練が終われば、アルスの剣の稽古。最近になって稽古の最後の方に、コウガとの模擬戦がある。アルスの素振りはかなり型になったとは思うが、模擬戦ではコウガに1度も攻撃が当たらない。まだ5歳なので仕方がないが、剣の腕前は歴然の差があるようだ。

 しかし、コウガがいうには、アルスはかなり剣の才能があるそうだ。ここでも親バカを発揮している。

 そして、俺はというと、剣の稽古を毎回しっかりと見て勉強した後に、庭を走るのだ。今では止まらずに5周は走れるようになった。3歳児にしてはやりすぎているかもしれない。ここら辺で自重した方がいいだろうか。いや、俺つえーがやりたいんだ。このまま行けるところまで行こう。

 走り終わったらウォッシュとドライを使うようにしている。その後にお風呂に入るのだ。アルスも剣の稽古後には毎回使ってからお風呂に入るようにしている。

 俺が風呂から出たら、夕食の時間になる。大体18時頃だな。1時間ぐらいかけて、家族と話しながら食事をする。ちなみに執事のリカルドとメイドのミランダも一緒に食べている。俺の親は貴族だが、かなり出来た人間なんだなと改めて思った。

 食後は特にやることは決まっていないのだが、大体は自分の部屋でゆっくりしている。大抵走り疲れて寝ることが多いのだが、今日は試したいことがあった。


「魔力操作がかなり上達したから上手くイメージすれば魔法が使えるかもしれないな」


 そう、魔法を新たに覚えようと思っていたのだ。[鑑定の儀]で魔法使いじゃなくても魔法が使えるということは、今この時でも条件さえ満たせば魔法は使えるのではと思ったのだ。


「異世界の定番といえば、やっぱ鑑定だよな」


 [鑑定の儀]があるのだから、スキルで鑑定があってもおかしくないと思ったのだ。なので、鑑定を使うためにまず魔力操作で目に魔力を集め、しっかりとイメージを作る。そして部屋に置いてある机を見ながら、


「〈鑑定〉」


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名称:机

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「うわーー、見れたーー!!」


 これ、鑑定成功だよね!?ステータスウィンドウ的なの出てきたし!ただ情報が圧倒的に少ない……

 これはスキルレベルがあるパターンだね!恐らくは何回も繰り返し使って熟練度を上げてレベルアップしていく形だと思う。

 一応レベルが上がってスキルポイントを振ったり、それ専用のアイテム使ったりするものもゲームなどではあるが、コウガやマリーの話でそのようなことを一切聞いたことないので、多分この辺りは可能性がかなり低いと思われる。


「じゃあ、次は自分を〈鑑定〉」


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名前:リオン・スペンダー

年齢:3歳

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 お、名前と年齢があるぞ。人と物で鑑定結果に差があるのか。というか家名みたいなのあるじゃん。貴族だからあるとは思ってたけど、ようやくわかったな。

 それじゃあ、他にも鑑定して熟練度上げ頑張りますか!


「次は椅子かな、〈鑑定〉」







「あれ、何も見えないぞ……」


 もしかして魔力切れか?鑑定は馬鹿みたいに魔力使うのかも。ライトノベルやゲームなどでは、鑑定というと、魔力を使わずに使えたり、1回に1しか使わなかったりとすごく少ない場合が多い。

 しかし、まれに鑑定1回につき、魔力を10以上使うレアなパターンがあった。今回はこのパターンの可能性が少しあるな。

 他の可能性は俺の魔力が元から少なく、さらにウォッシュとドライで魔力が減っていて、鑑定があまり使えなかったというパターンかな。とはいえ、ウォッシュとドライは風呂に入る前に1回しか使ってないので、そこまで減ってるとは思えないが。


「とにかく、今日から毎日魔力が切れるまで何回も鑑定を使って、熟練度上げと魔力量アップを同時に行おう!フフフッ楽しくなってきたーー!!」


 俺は今後の予定を考えつつ、ウォッシュとドライを使い身なりをきれいにした。

 思った通りウォッシュとドライは鑑定よりも魔力を使わないのだと認識した。


 そして、そのまま寝るためにベッドに横になるが、興奮のあまり寝るのが遅くなったのは、まあ、いつものことだった。

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