第3話 御神仏様の空中散歩?
「う~ん、それにしても空、空中での移動は、まだまだ寒い。冷たいの~」と。
何処からともなく女性の声──。それも如何にも神々しく、凛とした威厳を感じる事が耳、鼓膜で出来るおめでたいが聞こえてくる。
だから『……?』と、小首を傾げ辺りを探索──注目してみると。
人の目には見えない。映らない。
だから確認をする事が不可能な物の怪の類……。
と、言うよりも?
物の怪、妖怪、幽霊と言った恐ろしい類、者達ではなく。
大変に神々しい者……。
そう神、神仏、女神、精霊、地霊さま等の大変に高貴で神々しい御方さま──。
銀髪、狐耳、金色の瞳に巫女服姿──『フワフワ、モフモフ』とした尻尾を翻し。『パタパタ』とさせながら。
この真昼の空を人目につかぬようにお忍びでこの地、岡山県にある御稲荷さまを巡り。巡回、視察を終えたから。
自身が住み暮らす西の都の真っ赤な鳥居が沢山ある稲荷神社へと向かう。帰還の途について高速移動の最中のようなのだが。
まだこの時期は冬が終わったばかりの三月の最初の頃の時期だから薄着で空を飛ぶ彼女、お稲荷さまは未だ自身の華奢でか弱い肌に当たる風が冷たいのだと不満を漏らしながら飛ぶ……だけではないようだ。お稲荷さまの独り言、呟きの方はね。
「う~ん、だからわらわも早く西の都の社へと帰還してストーブに火を入れ部屋にある
お稲荷さまは不満を漏らしながら下を──地上に多々ある商業施設、観光施設、小さな小売り施設などを見詰める。
まあ、商売繁盛、商いの女神さま、豊穣の女神さまでもある彼女が見詰め続け観察を続ければ。
今度は女神さまの口からこんな嘆きが自然と漏れてくる。
「ああ、それにしてもコロナウイルスと言う物は本当にやっかいで敵わぬなぁ。この生きとし生ける者達に危害を加える。大変に恐ろしい病魔が、この日の本でも流行り。流行しつつあるから何処の道の駅やサービスエリア、パーキングエリアに各観光地の売店、駐車場の方も人気が少なくガラガラではないか……。このままだと日の本で商いをする者達も他国のように大変な事になってしまぅのぅ」と。
お稲荷さまは女神さまだから地上の状態、状況を見続けながら嘆くのだ。
この2019年の春先の時点で、もう既に外国ではコロナウイルスと呼ばれる殺人ウイルスの為に甚大被害が出ているから。
商売、豊穣神の神さま、女神さまは気になって仕方がないから上空──空中遊泳、帰宅の途につきながら地上にある商業施設、観光地、お土産屋、小売り販売店などを「はぁ~」と溜息をつきながら観察、視察をしながら西の都へと向かえば。
「クンクン」、
「……ん? 何か甘くて良い匂いの中に、わらわの主の匂いが混じりするような気がする」と。
お稲荷さまは真っ青に晴れた春先の空で浮遊しながら狐耳をピクピクと動かし。腕と足を組み。小首を可愛く傾げながら考える人へと変化をするのだった。
◇◇◇
第1話 僕の考えは甘かった
「はぁ、あぁ~。今日も暇だな。僕のお店……。何でお客さまがこんなにもこないのだろう」
今日も自身の車、箱型タイプの車、オートザムのスクラムの荷台、トランクの扉を開け……。
まあ、開けたままの状態でね。
室内から片膝をつきながら外の景色──自身の両目、瞳に映る景色を溜息をつき漏らしながら嘆き、呟く青年なのだが。
彼の嘆き、後悔の念、愚痴は未だ終わらないようでね。
「う~ん、本当に僕はこのままだと、この車のローンやアパートの家賃、光熱費、スマートフォン代金……。そして毎日の食費代すら用意ができなくなる不祥事に陥ってしまうよ。だからどうしよう? どうしたらいい? 本当にこのままだと僕は二十代にしてローンのブラックリスト……だけではないか? 僕は下手をすれば破産宣告までしないといけなくなる身の上と落ちてしまうよ」と。
「はぁ、あぁ~」と、最後にまた大きな溜息を漏らすこの青年なのだが。彼の名前は相沢翔太今年で【二十四歳】になった中々の優男、色男の青年なのだが。彼、【相沢翔太】は、広島県広島市と呼ばれる。原爆ドームと広島カープ、
今迄保証されていた生活を彼は捨て、辞めて、本当の意味でのスローライフな生活を営み、満喫するために彼は……。
そう、只今車内にて立て膝をつきながら「はぁ~、はぁ~」と溜息ばかりを漏らす翔太の乗っている車、改造車を見て確認すればわかる通りでね。
翔太は軽四輪車のスクラムの後ろ──後部座席の位置から改造した黄色、うんこ色をした派手で煌びやかなキッチンカーを購入して、個人事業主を始め。お気楽な生活。その日暮らしの生活を始めた迄は良かった。
まあ、良かったのだが。
彼が思い描いていた生活……。
キッチンカーさえ購入して、車内で実演販売をすれば、彼が作った商品が黙っていても、お客様達に安易に売れるだろうとドラマやアニメ、マンガ、ライトノベルの世界観のような、非現実的な安易な商い。商売ができる。
だから黙っていても自身のポケット、財布の中にお金が安易に入り。貯まる。貯蓄貯金ができると翔太は夢見たいなことを思っていると言うことはない。
まあ、ないからその辺りは大丈夫。大丈夫なのだ。
だって彼は、キッチンカーでの実演販売を始める。おこなう。開業をする。車を購入する前にね。
広島県内の道の駅などで実際にキッチンカーでの、車内での実演販売をしている。おこなっている個人事業主さん達の様子を長い時間かけて注意深く様子を窺い見て観察をした。
まあ、したのだけれど。
その結果と言うのが。
「あれ~。こんな簡単なものでいいんだ」と、言った結論になった。
だって翔太見て確認をしたキッチンカーによる実演販売をしている人達の大半が、自分達の愛車、キッチンカーの車内で、ボォ~ッと座っている。佇んでいる。
そう、雛人形のお雛様達のように座り込んでいるだけの販売の人達やノートパソコン、タブレットにスマートフォンを弄り、手悪さをしながら気楽、お気軽な販売している人達が多々、過半数だったから【相沢翔太】自身も。
「何てお気楽な仕事なんだ。これなら素人の僕でも安易にできるではないか」と、彼は「わっ、はははっ」と高笑いをしながらお気楽に自営業、個人事業者になった。
でも今の彼、翔太の様子を見て確認をすればわかる通りだよ。彼が考えていたよりも現実は甘くはない。厳しいものだったのだ。
特にさ、彼が個人事業を始めた年は、丁度2020年の冬の頃……。
そして只今翔太がキッチンカーの車内から嘆いているのは、それか一月、二月経った春先……。
そう、只今世に【コ〇ナウイルス】と呼ばれる殺人病魔、ウイルスが広がり慢性化をして、毎日死者をだしている状態……。世界中の人々を震撼、恐怖に陥れている様子、状態ではあるのだが。
この恐ろしい病魔、【コ〇ナウイルス】が日本中で徐々にだが広まりだし。テレビのニュースやワイドショー。SNSのニュースや、その日の出来事などで騒がれ、国内でも徐々に感染者増え始めていると話題。囁かれ始めている頃の2020の春先だからね。
翔太が只今販売をしている。させて頂いている道の駅の方でもお客様達の来店数が徐々にだがリアルに、現実的に減ってきているし。観光バスのキャンセルの方も相次いでいる最中だから。
彼が、相沢翔太が真心込めて作った。焼いた。ソフトワッフルの方も売れ残りが目立ち始めだしている。
だから彼は、先程から自身の肩を落とし、俯き、落胆。そして嘆いている。
もうそれこそ? 自身の住み暮らすアパートの柱にロープを縛りつけて首を括り、自害をして果てようかと思うくらい彼は、翔太は気落ち落胆しながら嘆き、自営業を始めたことを後悔している最中でね。
でも、そんな最中の翔太の黄色、金色の煌びやかで派手なキッチンカーに向けて、ザクザクと人の足音──地面を踏みしめながら歩行……。
「あぁ~、あぁ」と溜息、嘆く翔太の許へと向かってきているようだから。もしかすると、この足音の主さまは、翔太の経営するキッチンカーへのお客様かもしれないよ? と、思うのだった。
◇◇◇
第2話 変わったお客様?
「店主、これは何だ?」
「えっ! こ、これですか?」
「ああ、これ! これじゃぁっ!」
「えぇ~と、それは、それはですね」と。
彼の不得意としているうら若き少女、乙女……。
それも銀髪の髪色した異国情緒溢れる少女……。
でも彼女──。異国の女性だと思われる麗しい少女はね、何故か彼女の髪色からは大変に不釣り合いに見える。
う~ん、でもその筋、この筋、この現世と呼ばれる地上の世界のヲタクと呼ばれている者達やコスプレマニアの間ならば歓喜、声援が多々吐かれる。放たれる。吠え、咆哮されそうな衣装……。
そう、彼女は先程雲一つない青空──。春先の青空を隠密、お忍びで飛び、帰宅の最中だった神さま、女神さま、お稲荷さま、モフモフさまだったかから。
彼女のトレードマークである、大変に可愛らしいモフモフしたお狐さまの耳や尻尾はこそ隠している状態ではあるのだが。
お稲荷さまは相変わらず彼女の髪色と金の瞳には不釣り合いな和仕様の巫女服姿、容姿で、翔太の目の先に立ち、己の括れた腰に左手を当て──利き腕、手、掌、指先で翔太が作り販売をしているお菓子、商品をね。
女神さまの口から唾が飛び出るほどの勢いで、商品陳列用のステンレスのお皿──。
そのお皿の上にきちんと丁寧、綺麗、清潔に並べられた商品……。
そう、相沢翔太が陳列台の後ろ。後方に置いてある。ソフトワッフルを焼く機械で作った。フワフワ柔らかい生地のほんのり甘い生クーリムたっぷりのカスタードと。色鮮やかな果物や栗にさつま芋、小豆を煮立て加工した餡などを優しく包み、包んだソフトワッフルをお稲荷さまは、自身のしなやかな指先でさしながら翔太へと急かし問いかける。
でも翔太は「…………」
だって彼は大変に若い女性がある事、過去の出来事が大変なトラウマになり面と向かって話し、会話をすることができなくなっている。
だからお稲荷さまが翔太へと商品説明をするようにと急かしても彼は返答、答えることができない。
でもお稲荷さまは、そんな翔太、このうんこ色──黄色い色したキッチンカーの店の店主……。
あれ? 先ほどからお稲荷さまは翔太のことを店主と呼ばずに亭主と呼んでいるのは何故だろう?
う~ん、何故だ? 何故なのだ? と、今考える。思案することではないからこの件は後回しにして話しを元に戻して話しを進めるけれど。
彼女、お稲荷さまは、自身と向き合う。対峙する青年の過去の事情など知らないから。
また荒々しく急かし始めるのだ。
自身の情けない亭主、主、夫のようにね。
「亭主これだ。この甘い香りがする物。大変に美味しそうな香り。匂いがする物なのだが。以前は、過去にはなかった物の筈だが。一体何なのか、わらわに今直ぐ答え、説明をするのだ亭主。分ったな?」と。
お稲荷さまは、今にも翔太へと吠え、噛みつくような勢い。連打、連射の如くダンダンと説明をしろと、自身の身を車内へと乗り出すように問う。
だから翔太は大変に困った顔……。
作り笑いと、冷や汗をタラタラと垂らしながら頬をポリポリ指でかきながら。
「えぇ~と、あの~、あの、ですね。えぇ~と、えぇとですね。これは、」と。
翔太がお稲荷さまへと呟いたところで、
「あっ! あれ! ママ、ワッフルが。ソフトワッフルが売っているよ」と。
小さな女の子の甲高い声音で、自身の母へと叫び、指を指す姿が翔太とお稲荷さまの目と瞳に映るのと同時に。
「あら、本当ね。理恵ちゃん」と。
翔太の大の苦手である若い女性の声色……。
多分、小さな少女の母親だと思われる若い女性、ママさんの声音が翔太の耳へと聞こえてきたから。
「ひぃ!」と彼は何故か奇声をあげ、己の肩を跳ねあがらせ──それが終われば慌てて腰を屈ませ、己の身を伏せる奇妙な行動をお稲荷さまの目の前でするから彼女は自身の小首を傾げるのだが。
若い母と幼い娘は翔太のうんこ色をしたキッチンカーと【美味しいワッフル】と書いてある。記載をしている昇りに向けて一直線に向かってくるから。
稲荷さまの麗しい唇が開き。
「いらっしゃい!」と、まるで自身のお店……。
この何とも派手、派手しい黄色、うんこ色をしたキッチンカーの女将のように若い親子へと元気よく声をかける。
だから若い親子の小さな娘さんの方が、自身の可愛い口を開き。
「綺麗なお姉さん、イチゴとチョコバナナのワッフルをください」と告げてくるから。
「亭主、イチゴはわらわでもわかるが、チョコバナナはどれだ?」と。
お稲荷さまは自身の小首を傾げながらまた翔太へと問うのだった。
◇◇◇
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