第2話 序章は過去の記憶(2)
さんだから何かと気苦労も多いいのだろうから大変だな)と。
翔太は自身の年上の彼女……。
そう、未だ会社務めを始めたばかりの新入社員の翔太だから。彼の年上、直属ではないにしても係長と言う役職を持つ彼女の沙紀は上司にあたる訳だから。
翔太と彼女の沙紀との年の差カップルのお付き合いの方は未だ会社には内緒にしているから。
「……ん? 相沢、何か用事か?」と。
翔太は自身の同期で二課の桜場から小首を傾げながら問われるのだが。
今も説明した通りで翔太と沙紀とのお付き合い。恋愛の方は未だ会社には内緒で二人の結婚、挙式の日和が完全に決まるまではお互いが未だ会社には報告するのは良そうと告げてきた。
翔太の時期に姉さん女房になる沙紀の提案を翔太も受け入れ「うん」と頷き了承しているから。
翔太は同期の桜場に声をかけ訊ねられても。
「いいや桜場、何でもないよ。只僕も会社へと戻ってきたばかりだからぼぅとしていただけだよ。ごめんね」と。
翔太は桜場に対して慌てて笑い誤魔化しながら自身の机へと移動──。
もう二度と戻る事も無くなる机の上に会社の商品サンプルを〈ザサッ!〉と置けば。
もう二度と会うこともないだろう同期の桜場へと。
「じゃ桜場お先! 仕事頑張ってね」と。
翔太は未だ仕事が多々残っていて「はぁ」と大きな嘆息を漏らしながら机に向かっている桜場へとケラケラ笑いながら手を振り。背を向け歩き始める。
そんな同期の桜……。翔太の背を見詰めながら桜場は、二度と会い。会話をすることも多分ないだろうと思われる翔太の背を見詰めながら。
「ああ、相沢は良いよ。一課は皆がいて仕事が早々と終わったみたいだから」と不満を漏らすと。
桜場は自身の上司である神宮司の机を気だるげに見詰めながら。
「俺今日彼女と夜逢う約束をしていたのに、何で今日に限り真宮寺係長は早退染みた直帰なんだよ。だから俺に全部しわ寄せがきているから仕事が早く帰れねぇじゃないか」と。
桜場はブツブツ小声で不満を漏らすのだよ。翔太の彼女、婚約者でもある沙紀が外回りが終われば体調不良なので急に直帰がしたいと会社に電話で報告をしてきたから。
彼女の残っている業務は部下の桜場に回されてしまったから彼はぶつぶつと不満を漏らす。
でも翔太はそんな事等知らないから『フンフン』と御機嫌良く鼻歌交じりで自身の車が置いてある会社の駐車場へと向かうのだった。
◇◇◇
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