第5話 ヒサイシさんの想い
ヒサイシさんはスーパーマーケットから自宅へ帰ってきた。
ヒサイシさんは玄関のドアを開けた。
そして家の中に入った。家の中に入るときにドアの隙間から片方の目だけで桐原さんの家を見つめた。30分ほどその状態でいた。そしたら桐原さんが車で家に帰ってきた。車の中から桐原さん(奥さん)と娘さん(幼稚園児)が出てきた。娘さんが「わーい」や「きゃー」とか言いながら、桐原さん(奥さん)に甘えている。ヒサイシさんはふたりの様子を真面目な顔でひたすら片方の目だけで見つめていた。ヒサイシさんは下半身が熱くなるのを感じていたが、そのような現象はなぜか場にそぐわないと感じた。そして自分に嫌悪感を懐き、ドアを閉めた。
「アホか、僕は…」
ヒサイシさんは自分が如何に馬鹿馬鹿しいく、変人地味た行動をしていることに対し、呆れた。
ヒサイシさんは買い物袋を床にそっと置き、玄関でくつをはいたまま正座した。自分の行動を反省しているのだ。まるで自分はストーカーじゃないかとヒサイシさんは思った。
ヒサイシさんは自分が情けなくなった。そっと頬に涙がつたった。
自分は桐原さんに何を求めているのかわからなかった。恋愛がしたいのか?それとも友人になって話がしたいのか?
でも桐原さんは結婚もしていて、娘さんもいる。自分は桐原さんの家庭を壊そうといているのか?桐原さんに迷惑をかけたいのか?あきらかにヒサイシさんの行動は桐原さんにとって迷惑でしかないだろう。精神障害者のヒサイシさんに何ができるのか?ヒサイシさんには収入もないし、家庭を作る能力も体力もない。ヒサイシさんは桐原さんの何になろうとしているのか?ヒサイシさんは一体自分がどのように生きていきたいのかわからなかった。ヒサイシさんは自分の感情や考えをまとめることができなくなっていた。
やがてヒサイシさんは正座をとき、立ち上がろうとしたが、足が痺れてうまく立てなく、そのまま倒れてしまった。
ヒサイシさんは発狂しそうになったが、なんとか理性でそれを抑えた。
「ヒサイシはバカであります、そしてアホでもあります…」
ヒサイシさんは能面のままそっとつぶやいた。
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