第3話 俺たちの「受験戦争」はこれからだ!
「ごめんなさい……また、泣いちゃって」
「いいのいいの! お母さんだと思ってちょうだい」
性的暴行未遂の一件から、
おふくろは事件後、アメリカにいる
そして、
だが、折からのパンデミックが変異株の出現で激化した七月。
東京をはじめ、首都圏の新規感染者数は連日過去最多を更新。
在米合衆国日本大使館で、ビザを取得するにも時間がかかる。
そこで、おふくろが
「毎朝、うちに朝ごはんを食べにいらっしゃい。顔を見せてちょうだい。ご両親には定期的にご連絡を取っているから」
「何から何まで……ありがとうございます」
「お礼をいうのは私のほう。
「え? 俺、おふくろに高校行きたいって言ったっけ?」
何気ない発言に、二人の女性の表情がそろって険しくなる。
「……
「……あおちゃん、それでいいの?」
なんとなく、「イエス」と即答したらマズそうな雰囲気。
俺は、慎重に言葉を選んだ。
「なんつーか。
二人とも黙り込む。根が深いとわかってるんだろう。
「
「
「あ、今は平気です。
「ですってよ、あおちゃん」
むずがゆい気持ち。
たしかに、
何の価値も感じなかった
何もしなければ、それが残り半年で終わってしまう。
「高校かぁ……」
「働くことを考えたら、中卒よりも高卒の方がずっといい。大卒の方がもっといい。お母さんはそう思ってる。少なくとも、公務員採用には高卒が必須だから」
ただし、高卒認定試験という方法もある。
万が一高卒が必要でも、無理に学校に行く必要はない。
そう、おふくろは付け加えた。
その場合、
「
「間に合うかじゃなくて、間に合わせるのッ!」
つ、つおい……。
コイツ、めちゃくちゃ芯が強い。
いじめられっ子だったとは思えない、メンタルの強さ。
「じゃ、夏休みの予定もきちんと組まないといけないわねぇ」
ニヤリとおふくろが、何枚もの書類をさっと出してきた。
「こんなこともあろうかと、駅前の学習塾、夏期講習のチラシ集めておいたから」
「まじかよ……お、俺の、夏休みが……」
「いいの? あおちゃん。中学校を卒業して、
じーっと二人の女性の視線が突き刺さる。
おふくろ。あんた、策士だな。
「私は、着たいなぁ。
あざとい。いや……あざとかわいい。
今さら、
「わーった! 俺もッ、高校に! 進学するッ!!!」
あの至高の洋梨をもつ大天使様を溺愛し続けるため――。
俺は、「史上最大の作戦」に踏み切ると決めた。
半年にわたる、長い
マンガ的に言えば、そう。アレだ。
俺たちの「
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