第9話 六度目の正直
“プルルルルルルプル”
”ガチャ”
電話の声「もしもしー!斉藤紬でーす!」
俺は一先ず胸を撫で下ろす。時計は午後1時15分を示している。
純介「俺は西森純介。同じグループを組む者だ」
紬「純介君?よろしくね!で、何かつむとお話したいことあるの?」
純介「あぁ...今日、電車は乗るな!」
紬「え?電車に乗るな?」
純介「あぁ!乗ると死ぬ!線路に落ちて死んじまう!」
紬「あはは!純介君!君、面白いね!つむが死ぬわけないじゃん!」
紬は電話の奥で笑っている。
純介「お願いだ!電車には...乗らないでくれ!」
紬「でも、電車に乗らないと...遅刻しちゃうよ!」
純介「タクシー!タクシーにしよう!」
紬「でも、つむはタクシー乗るほどお金持ってないよ?」
純介「お金?お金は...俺が払う!だから...頼む!」
俺は電話越しの斉藤紬さんに懇願する。斉藤紬さんが来ないとループは終わらない。
紬「しょうがないなぁ...アイスもプラスで奢ってくれるなら、いいよ!」
純介「わかった!アイスも奢る!」
紬「しょうがない...タクシーで行ってあげる!」
純介「わかった。領収書、貰っておけよ?」
紬「まっかせてー!つむ、なんでもできちゃうから!」
斉藤紬さんは、電話を切る。
純介「よかった...これで、一先ずは...」
俺は安堵のため息をつく。斉藤紬さんが素直な子でよかった。ひん曲がっていたらループは乗り越えられなかっただろう。
ー午後2時13分ー
俺は電車に乗っている。電車で、アナウンスは見なかった。
ー午後3時、面会室ー
栄「え?本当に俺らでグループ組むんですか!そもそも顔見知りですらないんですけど!」
社長「だから、メールでそう伝えたじゃないかぁ、君たち8人でグループを組んでこれから活動していってほしい」
栄「8人って...今ここに7人しかいませんよ?」
社長「あと1人は遅れてくるって。このあとのミーティングにはくるから大丈夫だよ」
智恵「とにかく、私は嫌です。一人でも十分稼げてます。今からグループになる必要なんてないと思いますよ?」
健吾「俺もそう思います、それに、一人ひとり目指してるところが違うじゃないですか。俺は自分のやりたいことをやりたいです」
社長「いや、別にこの提案は拒否してくれても構わないんだよ?だけどね、拒否したらこの会社との契約を切らせてもらうからね?それでもいいなら拒否していいんだよ?」
美緒「それ、強引すぎませんか?いくら社長っていっても権力乱用していいわけじゃないんですよ」
梨央「そうですよ!」
社長「そんなこと言われてもなぁ、呼ばれた8人の中でほとんどの人が伸び悩んでる!」
稜「伸び悩んでるって。事実ですけど流石にひどすぎません?」
社長「あぁ、確かにそうだな。申し訳ない」
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