第10話 賛成

 純介「申し訳ないって、軽すぎません?」

 健吾「ほんとそうっすよ」

 社長「本当に悪かったと思ってる」

 純介「そうですか。ならよかったですー」

 社長「そんなに怒らないでくれよぉ…」

 純介「はぁ...わかりました...」

 社長「7月中にMVを作って欲しいんだよ。音楽、映像まで全部含めてね!」

 栄「は!?今日何日かわかってます!?」

 社長「今日は...7月1日だろう?」

 栄「そういうことじゃないです!会ったばかりの俺らで!1ヶ月でMV作るなんて無理ですよ!」

 健吾「俺も流石に無理あると思います」

 梨央「1ヶ月って…時間が短すぎます。やるからには全力で完成度の高いものを作りたいです」

 美緒「私も。配信者としてのプライドが許さないわ」

 社長「あーはいはいわかったからー、とりあえずやってみて?」

 智恵「なんですかこのテキトーな感じ。私達はあなたの下僕ではないんですよ!」

 純介「じゃあ、誰が音楽を担当するんですか?」

 智恵と社長の間に無理やり入って会話を続ける。

 社長「おぉ、純介くん乗り気だねぇ〜、音楽はもちろん純介くん、キミが担当になるだろう」

 純介「なるほど。他の役割はどうなるんですか?MV一つでも色んな人の協力が必要です。それに、スタジオなどはどうするんですか?お金もそれなりに必要になるはずですよ」

 美緒「そうじゃない、お金はどうするの?一方的な提案なんだから、出す気にはなれないわよ!」

 社長「お金はもちろんこちらから出すよ。君たちはMVづくりに専念してくれればいい」

 健吾「でも、なんでこの8人なんですか?」

 社長「だからさっきも言っただろって、殆どの人が伸び悩んでる」

 健吾「それはわかりました、でも、この会社には他にも伸び悩んでる人はたくさんいるでしょう?」

 社長「確かにいるな、でもな、誰でもいいってわけじゃない。この8人は組み合わせがいいと思ったからこの8人にしたんだ」

 健吾「組み合わせが良いって…ほんっとに社長の主観じゃないですか」

 社長「まぁ…そう言われればそうだよとしか言えないなぁ…」

 健吾「でも俺は、この提案には賛成です。確かに俺は最近伸び悩んでるし、もしこの提案で返り咲けるなら返り咲きたい。それで、もう一度あの夢を叶えたい!」

 社長「そうだ、健吾には...夢があったね!」

 純介「俺はもちろん賛成だ。自分の能力を活かせるなら活かしたい」

 場が静まるので、健吾に長くは喋らせない。

 稜「俺も、賛成する!」

 栄「えっ稜も賛成するの?じゃあ俺もいいかなぁ…」

 社長「女子のほうはどうだい?」

 梨央「私は…やってみてもいいかなって思ってます。いい経験になるだろうし!」

 美緒「私もやってみたいわ、実力を試したいというか」

 社長「智恵くんはどうだい?」

 ここが、重大なポイントだ。智恵の決断で、全てが決まる。

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