デスゲーム2日目~人狼編after side③~
部屋に入った瞬間、出雲ハルを襲ったのは強烈な罪悪感だった。その場に座り込み、声を出し、号泣した。
「あっうう……エリカ……ごめん……ごめん……」
謝っても、後悔しても、エリカは返ってこない。私たちがエリカを殺したんだ。エリカの言うことを信じられず、あんな裏切者のクソ女を信じたせいで。
「エリカ……本当に……本当にごめん…………」
泣くことしかできない。無力な自分に腹が立つ。
そして気づいてしまった。ハルが置かれている状況を。避けられない絶望を。
—――確実な死を。
「これで人狼は水瀬で確定した……水瀬が白と言ったのはマドカとカナ……あのタイミングで正体をバラしたということは……狂人が生きている」
今のところ、狂人がどっちかは分からないが。
「四人一狼一狂……はは、詰んでるじゃん」
明日の朝、人狼ゲーム五日目の夜。私は確実に殺される。仮に奇跡的に矛先がマドカかカナのどちらかに飛び、私の騎士が水瀬の魔の手から守ったとして、人狼サイドと市民サイドが同数な時点でもう投票で水瀬を吊ることは叶わない。狂人が自らの命を賭して水瀬を吊れば不可能な話ではないが、それができるならもっと早くに動いているべきではないだろうか。
どうあがいても人狼の勝ち。私の余命は……あと一日も無い。これから食べるコンビニ弁当が最後の晩餐だし、これから過ごす時間が最後の余暇だ。と言っても寝るくらいしかやることは無い。
「エリカ……あなたのためにできることは……」
スマホの待ち受けのプリクラ画像を眺める。エリカの笑顔がまぶしい。
「うん……そうだよね」
決意は固まった。最後まで人狼に抵抗する、覚悟が。
「水瀬……最後に笑えると思うなよ」
ハルの目から、涙はもうこぼれなかった。
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