デスゲーム1日目~人狼編⑦~
最初の投票が終わり、昼休憩を終え二日目の夜を迎えた。
華村カナは思索に耽ていた。
狂人として、やることはできたと思う。しかし、誰が私のご主人様なのだろうか。狂人のやることは会議の錯乱と人狼のサポート。会議の錯乱はできても、人狼が誰なのかわからないと話にならない。
まず水瀬。こいつは白だろう。偽の占い師である私からしたら真占い師が確定する。2人偽者だとしたら本物は何をしているというのか。ありえない。
そうなると水瀬が白といったマドカも白だろう。本人曰く村人らしいからここも確定。
となると、不確定なのはエリカ・ハル・エリ・シオリ・カオリ……少なくともハルは自らを騎士とCOした。会議中でも言っていたが、騎士がCOするメリットが初日の時点で薄すぎる。ただ仲間を心の底から信じていただけかもしれないが、おそらくこれも真だろう。というより、少なくとも二狼のうち一人は私に矛先が向くだろうからそれで真騎士かを判別できる。
エリカは……わからない。ただ黒だとしたら動かなすぎる気もする。今夜、ハルが嚙まれていたら黒濃度が高まる……しかし私としては少し気が楽になる。仲間と勝ちを目指せるのだから。
残った三人に関しては本当にわからない。あまりにも情報が無さすぎる。もしここに二狼が潜んでいたら最悪だ……私が生き残るにはみんなを殺さなければならない。
そう、私は人狼サイドなのだ。マドカが市民、ハルが騎士とすればもうエリカと生き残るしか道はない。
……頭を抱える。私は、こんなところで死ぬわけにはいかない。私には彼氏がいる。上場企業に勤める歳上の彼氏が。
やっと手に入れた。クソみたいな環境から抜け出せる切符が。
私たち5人は貧乏家庭の生まれだった。中学で同じクラスになってから、お互い似たような境遇ということもありすぐに仲良くなった。
毎日痣だらけで登校するエリカ。義理の父から何回犯されたか分からないマドカ。毎日借金取りが扉を叩いてくる生活を強いられているハル。中学生にして援助交際を始めさせられたサクラ。そして薬中になってしまった母を介護している私。
それでも私たちは、絶対に高校を卒業して現状から逃げ出すと決めていた。どうにかしてお金を稼ぎ、名前を書けば受かるようなマンモス高校である山村女子高校に入学できた。
しかし入学しても当然生活苦は続く。1ヵ月経ち、普通のバイトじゃどうにもならない頃、あいつと出会った。
有力議員の娘である水瀬マキである。
ピピピピピピピピ!
アラームが鳴った。
二日目の夜が終わる10分前のアラームだ。
いけないいけない、余計な事を考えていた。私は必ず生き残って、バラ色の人生を手に入れる。そのためにもこの人狼ゲームで勝たなければならない。
また会議が始まる。時刻はまだ午後が始まったばかりだと言うのに。
気合を入れるために顔を洗いに行った。だから、スマホに届いていた一通のDMに私はすぐに気づけなかった。
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