デスゲーム1日目―③
席について、遠山はこれまでの出来事を簡単に水瀬へ伝えた。
「……という訳です。」
「…………」
長い前髪のせいで、水瀬の表情を伺えない。
「ですので、当初予定していたプランは白紙になりました。水瀬さんが最初希望していた積極的なゲームの参加という形でプランを再構築する必要があります。急な変更になってしまい大変申し訳ございません」
「はい……」
「そこで今回は補充要因を3人加えます。これで8人になりますし、初手で水瀬さんへのヘイト分散になると見ています。そして、ここからが重要な役職についてです」
遠山は鞄から書類を取り出し水瀬に見せた。
「一旦今回の人狼ゲームの流れも含めて振り返りましょう」
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結局8人になりましたので役職の振り当てが変わります。
人狼サイド:人狼2 狂人1
村人サイド:占い師1 騎士1 村人3
人狼は毎晩村人陣営を殺すことができます。狂人は殺害能力はありませんが人狼サイドの役職です。会議で人狼に有利になるよう働きます。なお、狂人と人狼は最初の時点ではお互いを認識できません。
占い師は人狼か市民かを当てることができます。市民サイドの最重要役職でしょう。
騎士は人狼の殺害を止めることができます。
村人は何の能力もありません。
人狼サイドの勝利条件は村人の数を減らし、人数差を逆転させること
市民サイドの勝利条件は人狼を会議で通報することです。
ここからは実際の流れを確認しましょう。
1日目。ここでは殺害は起きませんが会議前に各役職の能力は発動可能です。
今回は会議で必ず1人は吊らなくてはいけないレギュレーションなので、占い師を中心に議論が動き、1人を吊ります。
2日目。ここから人狼は殺害ができます。
あとの流れは1日目と同じです。
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「失礼しま~す!冷たいお茶ですよ~!今日も暑いですからねぇ水分補給は大切ですよ~!」
緊張感の無い声が会議室にこだまする。水瀬はバツが悪そうにお茶を受け取っていた。
「……続けますね」
まひるはニコニコしながら遠山を見ていた。いいから座りなさい。君も担当者なんだぞ。
「まず水瀬さんには人狼をやってもらいます」
「え……人狼ですか……」
「こうなった以上、最初に吊られて死を偽装プランは白紙です。水瀬さんには最後まで生き残り、人狼陣営として勝ってもらいます」
「で……でも……」
「大丈夫です。そのための補充要因ですから」
「そゆこと~☆」
ドアの向こうから陽気な声が聞こえた。
「どうも~初めまして~補充班班長の山本エリで~すw水瀬ちゃんだっけ?よろしくね~~!」
「……」
「……」
ゴリゴリのギャルが来た。底がしれない会社だとは思っていたが、まさかここまでのゴリゴリギャルまで抱えているとは…
「あ、とーやま主任今失礼なこと思ったっしょ!あーし分かるんだよ~」
「えっいやアハハ」
「これは、いわゆる役作りってやつよ~今回の標的って女子高生、しかもチンピラみたいな連中でしょ?『同じ学校の連中』って思わせるにはこれがいいのよ~」
「あー……」
理には適っている。一応。
「水瀬ちゃんの学校マンモス校だからさ、こーいうのがいてもおかしくないって訳よ。もちろん調査済みよ?」
「勉強になります」
「あ、残りの2人は”D組”から出すから。話はつけてあるよー」
「了解です。ありがとうございます」
「せんぱいD組ってなんですか?」
まひるが尋ねて来た。研修は…?
「過去のデスゲームで運よく生き残った人たちのこと。こういう補充要因が必要な時に生死を問わない駒として本部が捕獲しているんだ。デスゲームに再度使えそうな優秀な人材はこっちに回してくれることが多いね」
「ダメな人材は?」
「臓器売買」
「わーおブラック~~~」
君はそのブラック一家の人間だろう…と遠山は口に出しかけた。
「……さて、ここからが本題です」
手をパンっと叩き、神妙な顔つきで遠山は続けた。
「今回の人狼ゲームの段取りについての話をしましょう」
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