デスゲーム1日目―②
遠山はコーヒーを口に運ぶ。
インスタント特有の苦みが口に広がった。
「さて、これで当初のプランは白紙か……」
欠員が出た以上、初手で水瀬マキが釣られる事態は避けなければならない。
5人人狼で初手吊りが水瀬マキの場合、人狼が適当に一人狩り、翌日3人盤面になる。これではただの運ゲーだ。人狼好きのK.T様に申し訳が立たない。
補充要因を入れる必要がある。
部長が手配してくれる手筈だが果たして…
遠山は、社内受話器に手をかけた。
~~~~~~~
「おはようございま~す!あれ?遠山部長早いっすね」
AM8:30にまひるは出勤してきた。
「昨日の件で仕事が増えたからね…まひるさんにもやってもらうことが増えたよ」
「あ~~~なんか参加者が既に死んでたとかなんとかの。なんか詳細とかあります?」
「……事件についてならもうまひるさんの机の上に置いてあるよ。ペラ紙1枚で申し訳ないけどね」
「あ、ありがとうございま~す!」
まひるは鞄を机の脇に置き、資料に手を伸ばす。しばしの静寂の後、まひるは口を開いた。
「え、これ密室殺人ってやつじゃないですか!」
「……まあそうなるね」
「犯人誰なんすかね~これ、先輩は見当ついてたりするんですか?」
「さあ?」
「さあって……いいんすか?」
「あー、まひるさん。ちょうどいいから今後の方針を伝えておくよ。まず最優先事項が無事にデスゲームを終えること。水瀬マキの復讐を完了させ、予定通りに事を終了させる。それが第一ね」
「はあ……」
「そのために今しないといけないことは①水瀬マキとミーティングをすること②時間通りにデスゲームを始めること。この二つだ。犯人探しなんかしてる暇は無いし、はっきり言ってする必要性がほとんど無い」
「え、でもまた同じような犯行が起きたら……」
「そうならないよう警備の強化を頼んだ。腕利きの殺し屋たちが警備するんだから大丈夫だろう。昨日は警備なんて配置してないからね」
「なるほど……」
「そういう訳だから、水瀬さんを会議室に呼ぶよ」
「……流石は次期主任様の手腕だな」
扉から部長が現れた。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ。頼まれた案件は終わったぞ。詳しくはこれを読め」
部長から紙束を渡される。
「ありがとうございます!」
「なんですかー?それー」
「補充要因だよ。一人減っちゃったからね」
「なるほど……だから水瀬さんとミーティングなんですね~」
「お、噂をすれば……だな」
「おはようございます……」
水瀬マキが部長の横に並んでいる。相変わらず、暗い顔向きだ。
「おはようございます、水瀬さん。ちょっとアクシデントがありまして……改めて今後のお話をさせてください。では、会議室へ行きましょうか」
遠山は飲みかけのコーヒーをデスクに置き、荷物を持って移動を始めた。初夏とはいえ、朝の陽ざしが中々に暑いなと、遠山は感じていた。
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