デスゲーム0日目―③


「次は顧客についてです」


 顧客とは、例の悪趣味な富豪である。デスだよの主な収入源でもあるから無下にできない。


「今回は、2名手を挙げました。K.T様とS.J様ですね」

「あいつらか……ククっ……確かに今回のシチュエーションは大好物だろうな……」


 顧客は社会的地位が高い人物が多いため、イニシャル、それも偽のものでやり取りをする。足がつかないよう徹底的な対策を講じているのだ。


「まひるさんに説明すると、K.T様は人狼系のデスゲームを好む方で、特に学生同士の人狼が大好きな方。S.J様は殺し方に拘りは無いけどとにかく若い女性の死体が見たいという嗜好の方で、特に傍らに死体がある中で標的たちが戦っているような光景が好きなんだ」

「変態っスね~」


 変態だよ。つくづくそう思う。


「まあ世の中そういう人もいるって訳だね……」


 遠山はため息交じりに言った。


「そういう訳で、今回は人狼ゲームを行います。カメラはライブ配信用の固定カメラと随時死体を映しながら全体を撮れるような位置に各種カメラをセットします。今回は標的が5人なので舞台はそこまで大きくなくていいので、小ホールを借りましょう。殺害方法はブレスレットから毒針が無難かと思いますが、何かありますか?」

「問題ないだろう」

「大丈夫だと思いまーす!」


 鴨志田からは返事が無いが、そもそも内勤だから関係ないとでも言いたそうな雰囲気を感じるので同意で話を進める。


「では、大枠はこんな感じで。細かいことは後々調整していきましょう」

「了解ですっ!」

「わかった」

「……はい」


 こうして、第一回昇進デスゲーム会議は幕を閉じた。

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