デスゲーム0日目―①
デスゲーム企画運営部の通例儀式がある。
チーフへの昇任儀式、いや昇格試験と言えるものだ。
試験内容はいたってシンプル。「デスゲームの主任担当として無事最後までデスゲームを完遂させる」というものだ。
基本的にデスゲーム企画運営部は一つのデスゲームに対しメイン1人、サブ1人、その他雑務若干名という構成で業務を遂行する。雑務に関してはパートや内勤担当の鴨志田が引き受けることが多く、彼らは実際にデスゲームに関わる訳では無いので基本はメインとサブ担当が1から10までデスゲームに関わるという塩梅だ。
遠山はこれまでサブとして働いてきた。入社した時点では吉田がメイン、元チーフの矢代がサブ、そのサブのサブとして指導を受けていた。1年経つ頃に矢代・吉田がメイン、遠山がサブという形態で働き続け、今は吉田メイン遠山サブが基本形となっていた。
つまり、遠山にとっては初めてのメイン担当。当然吉田が不測の事態に備えるようバックアップに回るが、業務内容に口出し等はしない。
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「で、今回のサブ担当は誰になるんですか?」
チーフ昇任デスゲーム会議、開口一番は遠山だった。
GWが終わり、夏かと思うような暑い日差しが差す5月中旬。遠山にとって初めてで、かつ重要なデスゲームについての最初の会議が行われていた。
「ああ、言っていなかったな。実は今年度から新人が増えるんだ」
「めちゃくちゃ重要じゃないですか……」
「彼女は遠山君と違い未経験枠の採用では無いから、すぐに現場を経験されるよう社長からのお達しでな。まあ新入社員ではあるんだが……」
未経験じゃないなら前科持ちということになるのでは……?というか新入社員なのに経験者……?
「そう怪訝そうな顔をするな。これから顔合わせだぞ?最初の会議で顔合わせという部長様の粋な計らいというやつだ」
吉田はニヤリと笑みを浮かべる。どの辺が粋な計らいなのか遠山には分からなかった。
「待っていたまえ、呼んでこよう。今新人研修用の学習室にいるからな」
大丈夫なのだろうか……こっちはチーフ昇格がかかってるんだが……
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