七
その日から一人でいることが多くなった。サークルに行けば、唯妃と顔を合わせることになるだろうと思うと、自然と腰が重くなった。
最低限の講義だけ受けて、スーパーで食料を調達してから帰る。毎日、それだけを繰り返す。かたわらには常に視線があった。今ではずっと、背中に張りついている気すらする。
当然、振り返っても誰もいない。かといって、馴れて感覚が鈍くなったりもせず、ただただ恐れが膨らんでいく。おまけに獣じみた眼差しに加えて、時折甲高い笑い声が聞こえるようにもなった。
やっぱり、俺はおかしくなってるんだろうか? だからといって、今更、一人で病院に行く気にもなれない。
異常があると診断されたのであればまだいい。理由がつけられる。しかしもしも、何の異常もなかったらとしたら? 俺はこのよくわからないなにかと向き合わなくてはならなくなる。そのことが、どうしようもなく怖くて怖くて仕方がない。
家中の明かりをつけたまま眠りにつく。願わくば、明日にはこの気配が消えていることを願って……
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