第51話 次女はマイペース
◇◇◇
特殊攻撃船ベアビー二番艦ツヴァイ
「とうとう、スパークリングワインを造るなんて。あの娘もやるもんね」
「言ったでしょう、あの娘はやるときはやる娘だって。なのにあなた達二人は随分のんびりね。もう、一か月を切ったというのにお宝が何かも決めてないなんて」
ベアタッカーの次女が通話する相手は
「まあね、私のマイペースも結構のものだから期待しといてね。ドロテア叔母様」「そうだったわね、あなたはマイペースで秘密主義だから私にも相談してくれない……」
「もう、ペース狂っちゃうなぁ。そんな顔しないでよ、ヒントだけ教えて上げるからさあ。
ヒントは紅茶ね、あの香しい香りでお母様をメロメロにして差し上げるわ」
「なるほど、紅茶ね。色が綺麗で香りが華やか……
勝負にはなりそうね。ところで、長女のアインは何を選んだのか知ってるかしら?」
ドロテアが笑顔で聞いたがツヴァイは心底知らない様だった。
「さあ、姉さんは私なんかより秘密主義だしね。丁度、今は三人とも別行動だからなかなか情報が取れないのよね」
「そう、精々頑張ってね。紅茶についてなら少々助言できるかも知れないわ」
「うん、行き詰ったらお願いするかも?」
◇◇◇
特殊攻撃船ベアビー二番艦ツヴァイ 船長室
茶葉単体の香りだけでは、物足りないと思ったツヴァイは様々な香料を吟味して紅茶の着香に手を出していた。様々な柑橘類の皮を乾燥させて砕いたものや、蜂蜜を混ぜたモノなど結構な数をこなしていた。
「う~ん、これ美味しいな。バラのフレーバーを混ぜてみるのも女子力高そうでいいわね。他には、フルーツフレーバーか?いいわね、なんか殻を破って新たな地平をこっちに持って来てやるんだから!」
可愛く、力瘤を作ってみたがとんでもない筋肉の発達は可愛さを少しも纏っていなかった。まあ、ベアタッカーの主要幹部としてはとても貫禄があってカリスマ性も十分に発揮できるので良しとしようか。
多数の複眼も鮮やかに染め上げて、ベアタッカー伝統のヒグマよりも蜂の特徴を前面に押し出していた。
フレーバーの組み合わせは、既に伝統的で有名なものでは無数にあった。例えば超有名なアールグレイという紅茶のレシピと同様にセイロン茶や中国茶とイタリア産のベルガモットフレーバーを混ぜてみる。
「ふう、さっきのよりもオレンジピールとレモンピールを混ぜると良い感じねぇ。たしか有名なレディーグレーって奴かしら。
ようし、明日はもっと本腰を入れてお宝を探すわよ!
それにしても、お腹が空いたなあ」
そうよね、これは頑張った私に対する正当な報酬よ。ツヴァイは、特製ハンバーグを焼くと白トリュフをふんだんに振りかけて一口ずつ満足げに口に頬張っていった。
「ああ、そうね。紅茶だけじゃなくてお料理も洗練した物を用意しなくては。これは明日から本当に忙しくなるわね」
◇◇◇
「本気で来るにゃ、常在必死にゃ。温い攻撃をしたら容赦しないにゃ!」
筋肉盛盛の傭兵が対戦車ライフルを縦横にぶっ放している。少々、煙が邪魔だが牽制としては悪くない。
だが、ネコ船長は華麗に躱し続けいつの間にか傭兵の後ろを取ると尻尾で首を薙いだ。白目を剥いて吹っ飛んでいく傭兵。
「ふっ、まだまだボスには敵わないわね。もっと筋肉を磨いて魅了しなくっちゃ」「メアリーは、詰めが甘いにゃ。もっと小技で相手を崩すことを考えるにゃ。
千代女は、かなりいいにゃ。時が来たら臆せず相手を斬る、それができると吾輩はきたいしてるにゃ」
「御屋形様、有難きお言葉。千代女、心に刻ましてもらいます」
(ふう、これで最低限の守りができたと言えるかどうかにゃ)
猫の手だったら貸してやるにゃ ぶらっく3だ @kkblk337
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