第47話 三姉妹からの挑戦

 え?パスタよりも米を食べた方がダイエットし易いのってホント?


「うーん、これは調べて見ないとね?」

 三姉妹の三女ドライ・ベアビーは、ツールを使ってファッション情報やダイエット関連の情報を漁りまくった。

 だが、段々馬鹿馬鹿しくなって飽きて来たので手勢の部下を連れて高級フルーツや高級酒の強奪に出掛けて行った。


「ふーん、昔は限定された産地と製法を守っているところだけがシャンパンを名乗れたのね。まあ、美味しければいいんだろうけど。真似されるとむかっ腹が立つというのもわかる気がするわね」


 並べた料理も、葡萄由来の酒に合うように選ばれたものだった。例えば葡萄の葉っぱを食べるカタツムリにたっぷりのパセリとガーリック・バターを詰めてオーブンで焼いた物とか、キウイフルーツに生ハムを巻いてオリーブオイルと黒コショウを掛けた物とか。


「うーん、この口当たりが甘くて、シュワーッとする発泡感。生の果実を使って手間暇掛けてるところが良いのよね」

 そうね、今度私が後世に残すべきはこういう見栄えのいい発泡酒、所謂葡萄をアルコール発酵させたシャンパンね。決めたシャンパンを蒐集することにしたわ。



 少し、眼をトローンとさせてコケティッシュな感じで周りを見回すがいい男を連れまわすような低級な趣味がなかったので面倒見の良い姉二人が付き合ってくれているだけだった。


「そうかしら。でも、化学技術を使って分子合成した人工香料や人工調味料を駆使した方が早くて安く美味しいものが創れるわよ」

 二女のツヴァイ・ベアビーが紅茶の産地でも最高峰の農場から手摘みで詰ませたダージリンのファースト・フラッシュの香りを楽しみながら宣った。


「もう、姉さんだって天然物の最高峰と言われるお茶を楽しんでるじゃないの?それとも、今のは姉さん一流のギャグなの?」

「ふふっ、ははは。やーね、偶々歴史的な価値があるからよ。それに私たちには、天然物を味わう位の価値があるのよ」


「ふーん、どうせなら三人で競争しましょうか?誰が宇宙で一番のお宝を集めることができるか。そうね、期限は三か月後、審判はお母様にお願いしましょう!」


 長女のアイン・ベアビーが三姉妹の競演を提案し皆快く了承したのだった。これが惑星ドルーンからベアタッカーが消えた真相であった。


「じゃあ、次に会うのは三か月後ね。でも、お母様に会えるのは楽しみだわ。ごきげんよう」

「ええ、姉さん、妹。次に会うときは私の勝だから、覚悟しといてね。母さんに褒められるのはこの私なんだから!

 ごきげんよう」

「姉さん方、甘いわね。母さんに褒められるのは当然末っ子で一番可愛い私に決まっているわ。それ以外の結末なんて、許される筈がないんですもの。

 でも、楽しみね。母さんがどういう風に私を褒めて下さるのか?では、ごきげんよう!」


 こうして、三姉妹はそれぞれの手勢を率いて自分が一番興味を持てるものを探して宇宙を旅することになった。

 他人からすれば、とても我儘で独善的で人騒がせな悪事の始まりであった。



◇◇◇

 太陽系マンズーマ・シャムセイヤ制御室


『船長、奇妙なモノが届きましたよ』

 アルドが、そう言って来たのは高級農産物の強奪に対する対処依頼があってから一か月を過ぎた頃のことだったにゃ。


「ふむ、で。その奇妙なモノとは何なのかにゃ?」

『はい、サマンサに対するベアタッカーからの招待状ですよ。なんでも、あと二か月後に彼女等が強奪してきたお宝の品評会をするので是非、サマンサに審査員として出席して欲しいそうです。

 因みに彼女等は、自らの遺伝子情報を開示してサマンサの娘であることを主張しています』


「ふむ、二か月後か。面倒臭い相手だが、一度サマンサが会って話をした方が良いかも知れないにゃあ?」

「私は、いいですよ。あの娘たちと話して、もう悪事は止めて穏やかに暮らすことを考えるように伝えてみたいです」

 

 サマンサが少しだけ母親の顔で自分の希望を述べたにゃ。

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