第48話 プロファイル
ところで、三姉妹って何者なのかにゃ?ここで、知ったかぶりを発揮しても誰も褒めてくれないのである。故に吾輩は素直に聞いてみるのにゃ。
「アルド、サマンサに招待状を出してきた三姉妹って誰にゃ?」
アルドは驚いたように、しかし真面目に考えながら説明してくれたにゃ。
『そうですね、彼女たちについては結構の部分が謎ですね。最近の情報部の資料も交えて、順を追って説明していきますね』
アルドの説明を箇条書きにするとこんな感じに成るにゃ。
1 父親はベアタッカーのゲイン、母親はサマンサ
2 サマンサがゲインに攫われ、凌辱の末に人工授精で三姉妹が誕生
3 短期育成教育を受けているため、出生後一年未満であるが成人している
4 長女はアイン・ベアビー、二女はツヴァイ・ベアビー、三女はドライ・ベアビーと名乗っており、サマンサの特徴である白髪を有している
5 ゲインと共に、コメッコクラブの大統領官邸を襲撃し大統領を除くアルカナ・ファイブを誘拐した
6 父親のゲイン亡き後、ベアタッカー首領の地位にあると推測される
7 能力は不明であるが、既存のベアタッカーが高い戦闘能力を有していたことからそれなりの能力があると思われる
なるほど、アルカナ・ファイブ誘拐事件のときに現れた三人の女性べアタッカーのことだったのにゃ。
「ふう、ここはサマンサの安全を確保するためにも彼女たちの能力について明らかにさせた方が良い様ね」
白衣に伊達眼鏡のネコさんがいつの間にか、現れて科学主任らしい主張をしてきたにゃ。
「ふむ、だがアルドでも掴み切れないベアタッカーの上位種の能力を一体どうやって探るつもりかにゃあ?」
「ふっ、こういうこともあろうかと思って例のベアタッカー、ゲインの死体を凍結保存していましたので… …
まあ、サマンサの調子の良さそうなときにあの力で調べれば良いと思いますよ。船長、あんまり過保護にすると却って彼女が傷つくことになりますから。
頼るべき時は彼女の力に頼るべきですよ!」
ふむぅ、確かにサマンサの心に負担を掛けたくないばかりに肝心のセキュリティについて疎かにしているかも知れないにゃ。だけど、そんなに吾輩はサマンサに対して過保護だったかにゃあ?
「アルド、とりあえずサマンサに頼んでみるからここへ呼んで呉れにゃ」
『了解です、まもなく来るそうですよ』
◇◇◇
サマンサ自室
憧れと怨嗟と見果てぬ夢への慟哭か?今日はいつにも増して霊が荒れているわねぇ。
「はい、わかりました。すぐに行きます」
こんな日に呼び出しですか?そろそろ決着を着ける時かも知れませんね。私は逃げない、あの日からもう二度と… …
◇◇◇
太陽系制御室
サマンサが呼び出しから数分後には現れたにゃ。
「お呼びですか、ネコ船長?」
「ふむ、サマンサにはまた例の力を使って貰う必要ができたのにゃ。体調に問題があるなら暫く休んでからでもいいにゃ?」
「いえ、大丈夫ですよ。ところで、急に私の能力が必要になるってことは何か急展開でもあったんですか?」
少しだけ、焦っていたのか吾輩ともあろうものが話の共有ができていなかったにゃ。反省するにゃ。
「へぇ、あの娘たちが私を審査員に指名してきて三人の中で誰が優れているか優劣を付けたいということですね。まあ、ベアタッカーらしいと言えばらしいんですかね?」
「まあ、あの生い立ちだとどうしても腕自慢の脳筋になるんだろうにゃあ」
「話は決まったようね。サマンサ、じゃあ今からここにゲインの凍結保管していた死体を出すけどいいかしら?」
科学主任のネコさんが、手順の確認に入ったのにゃ。仕事モード全開なのにゃ。
「はい、それでだいじょうぶですよ」
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