第33話 救出作戦
◇◇◇
惑星ドルーン首都ゾルーン
「奴隷商人の館の前に着いたにゃ。アルド、アルカナファイブのメンバーはまだこの中に居るのかにゃ?」
『船長、全員いるかは分かりませんが少なくとも一人はそこで毎晩客を取らされている様で頻繁に他星系から選りすぐりの金持ちが来訪しているようです』
ふうむ。まあ、調べればわかることか。出来れば、面倒なく一か所で事が済めばいいのににゃ。あ、これはフラグじゃないにゃ。
「ボス、早く乗り込みましょうよ。あたし、腕がうずうずしてきちゃってもう、たーいへん」
「メアリー、仕事の前だもっと冷静に、ええとクールに成れ!」
身体は漢、心は女の傭兵メアリーが早くやらせろと催促し傭兵くのいちである藤林千代女が手綱を引絞る、最近のルーティンができつつあった。
まあ、いいか。
「それじゃあ、訓練通り始めるにゃ!」
◇◇◇
奴隷商人の特別調教室
三人の奴隷が吊られていた。紅い衣装のアルカナ・レッド、緑の衣装のアルカナ・グリーン、黄色の衣装のアルカナ・イエローいずれもステージ衣装とは違って煽情的でより露出度つまり戦闘力が上がっている。
部屋に設置された特設舞台で三人の踊りと歌を披露したわ。とてもお客様は喜んでくれて、その後私たちはお客様を楽しませてからお返しに、縄で縛られあられもない姿で天井から吊られて様々な愛撫を受けているところね。
ふう、レッドもグリーンも調教師やお客様にさんざん弄ばれ息も絶え絶えね。でも妙に凄絶なほどの色気を感じるわ。あの男嫌いのレッドがねえ、殿方にメロメロにされるとか想像もできなかったわね。
こういう世界もあるのね、既に誘拐され辱めを受けて、奴隷としての運命を受け入れてしまったのは仕方のないことよね。
毎日の食事に混入された媚薬や、調教による快楽を覚え込まされては、十六でアイドルになって二年、エンタメと政治の世界の勉強で手一杯だった私たちに抵抗することなどできっこないってことね。
「ふふ、良い声で鳴くね。早くお気に入りのこの娘を購入して私の星に連れて帰りたいところだよ」
「はは、まだ味見せですので。一応付き合いのあるお客様方へも一度なりともお見せ致せねばうちも客商売ですので」
「抜かせ、値を吊り上げるのが楽しいだけだろう?」
「何を仰せのことだか。普通のお客様方への義理を果たし終えましたら、すぐにでもあなた様にお売り致しますので、今暫くお待ち頂とうございます」
奴隷商人と上得意客の化かし合いを見ているのも楽しいモノね。自分がその商品でなければ。
お客様が私を降ろして膝にのせて可愛がり始めたときね、賊が入って来たのは。
「無駄な抵抗はするな、死にたくなければな」
若い女の声で脅され、却ってプライドを刺激されたのか奴隷商人が反抗したみたい。
「無礼者め、ここをどこだと思っておる。ゾルーンの大商人の館に盗賊が入って生きて帰れると思うな。誰かある、賊が来ましたよ」
大商人は叫びながら、非常ベルを押したみたいね。けたたましいベルの音が部屋や廊下から鳴り響いていたわ。
「うもう、五月蠅いわね。雉も鳴かずば撃たれまいにって言うでしょう」
ガタイの良いお姉言葉の賊が、大商人の首の骨を折って静かにさせたみたい。
「ひっ!」
上得意客が私の後ろに隠れようとしたけど、滑稽なだけね。
「面倒だから、その客の息の根も止めてしまうにゃ」
黒いシャム猫が賊に命令したわ。あの方は!
「はい、お館様」
若い女が答えると、短い剣で客の首を斬り落としてしまったわ。
「ふむ、やはり面倒な事態か。一応聞くけど、もう一人はどこにいるか知ってるかにゃ?」
「ネコ船長、アルカナ・ブルーは賓客に連れて行かれましたが、そこがどこかわかりませんわ」
私を含めて誰もアルカナ・ブルーがどこにいるかは知らなかったのでそう伝えるしかなかったわ。
「アルド、一旦船に戻る。エネルギー転送にゃ」
『了解、船長』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます