第六話 復活
都賀が死んでしまった。女神であり、都賀の担当をしている私は頭を抱えた。都賀が目を覚ますと、私は「あなたは死んでしまった」と都賀に告げた。都賀は動揺している様子だったが、私が「大丈夫。落ち着いて」と言うと、都賀は落ち着いた。都賀が私に、死因や現在のみんなの様子などを尋ねた。私は「あなたは念じることに必死になりすぎて息をするのを忘れてしまい、それで脳に酸素が不足して亡くなったのよ。みんなはいま、あなたが亡くなったことに深く悲しんでいる」と言った。「そんな死に方があるなんて」と自分自身にあきれた気持ちが都賀の顔に出ていた。。
「生き返りたいです。お願いします」と都賀が願いを言い終わるまえに、私は食い気味に「そのことば、待っていたぞ」と言った。
「実はあなたが真面目に礼拝に取り組んでいる姿が、この国の神々のあいだで噂になっていてね。ずっとあなたを見ていたよ。神にも任期があるんだが次の候補者はあまり評判がよくないんだ。だけどあなたは真面目だ。だから、あなたがこの国に来たら『ぜひ私のところに』とみんな言っていたよ」
都賀は頬が緩んでいた。私は話を続けて
「そこで、神たちが全員でじゃんけんをしてね。転生の担当者である私があなたを神にする権利を得たんだ。しかし、思っていたよりも早く死んでしまった。あなたはもっと活躍できる」と言った。都賀はそのとおりだと言わんばかりの顔をした。私は
「あなたを生き返らせましょう。そして、神の力の半分を特別に与えましょう」と両手を挙げて言った。辺りが明るくなった。都賀は力がみなぎってきた気がした。都賀は私に「ありがとう」と礼を言った。私は笑顔で「おう。気をつけてな」と言い、都賀を見送ってくれた。
村のみんなが都賀の死を悲しんでいた。すると空から都賀の魂が現れた。村のみんなは幻覚かと疑ったが、魂は都賀の体に入っていき都賀は起き上がった。天台は都賀に「心配したんだぞ」と言わんばかりの顔をした。都賀が謝ると今度は高品が都賀の手を握り、シクシクと泣き出した。都賀は高品の背中を触り「ありがとう」と言った。そのあと、都賀はみんなと握手をした。村のみんなは都賀が生き返ったことを喜んだ。
「さあみんな、新たな大地を切り拓いていこう。」
都賀が勢いよく言った。みんなも
「はいっ!」と威勢よく返事をして、笑いあった。
「これが世界の始まりである。このあと村の人々は少しづづ困難を乗り越えていき、発展するであろう」
都賀は粘土板にそのように書き、地面に埋めてみんなのもとへ駆けていった。
世界の始まり 白浜五平 @shirahamagohei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます