第17話 中ボスとの戦闘と銭湯

夕がコンビニへ出掛けたのをきっかけに、神田邸では女子3人による『色違い』検証委員会が発足されていた。


美咲「えー。では友紀、お願いします。」


友紀「いや、そんなに見られてるとちょっと…」


美咲「だって見る為じゃんよ。」


友紀「そーだけど…一緒にせーの、でどう?」


泉「私はイヤだよ?」


美咲「いやいや、妖精の色が1番気になるっつーの。」


友紀「泉ちゃん、むしろメインだから。」


泉「嘘でしょ?!」


友紀「じゃいくよ?」


美咲「あ、待って近寄って!見やすいように三角形になろ?」


友紀「いーけどさ、三角形になっておっぱい見せ合うとかどんな状況?マジでウケるんだけど!」


美咲「たしかにカオス!」


泉「トライアングルって感じ。」


(全員爆笑)


美咲「ヒー笑い過ぎてお腹痛い!」


友紀「はぁーウケる!トライアングル懐かしすぎ!」


泉「あはは。私達はどんな音がなるかなー?」


友紀「ボヨン、ポヨン、ガッ」


美咲「ガッはやめろぉ!確かにあんたらに比べたらナイけれども!お願い!もっとかわいい音にして!」


友紀「じゃ、ピンッ」


泉「さきっぽ弾かれとる!」


(全員爆笑)



…一方その頃神田邸玄関前では。


「うわぁ!かえでちゃん?!楓ちゃん…だよね?」

「ゆぅ…ゆぅくっハァゆうく…ん!」

「楓ちゃん…何でそんな疲れてんの??」

「だって…ゆうくんあし、はやすぎ…」

「あ、今?アイス溶けそうだったから走ってた。あはは。」

「ハァハァ。角曲がったとこでさ…見つけたから、追いかけた…けど…エンジン付いてるよ、ゆうくんハァ。」

「背が伸びて、足も伸びた分、速くなったかもね?」

「ハァ、ハァ。ゆうくん…ゆうくん…」

「おかえり。」

「だだいばぁー!!!」


リボンの付いたオシャレな麦わら帽子をかぶり、白を基調にしたかわいいワンピースを着たかわいい楓ちゃん。別荘に遊びに来たご令嬢のように気品が漂っている。汗と涙が凄いけど、たまらず抱きしめキスをした。号泣しながら何度もただいまを言う彼女に、何度も何度もおかえりと言った。ビチャビチャに溶けたアイスがズボンを濡らすまで、外にいる事を忘れていた。


「わわっ!そーいえばここ外だった!さ、ベイビー、暑いから入ろう?汗かかせちゃったね、一緒にシャワーしよっか!」


「うん!やった!でもいいの?」


「服は妹の借りたらいいよ。いこ?」


「うん♡ハズバン♡ハズバン♡」


世界には二人だけだと疑わない僕らが玄関に入ると、仁王立ちで待ち構える3人の女がいた。中ボス感がパない。中央に位置する泉に至っては腕組みまでしている。なにこれムカツクな。しかし、このメンバーの存在をすっかり忘れていたな…楓ちゃんは状況に全くついてこれず、僕の腕にくっついたまま声も出せないでいる。美咲&友紀コンビは口を開けたまま固まっている。ひとまず楓ちゃんに水分を摂らせ、泉にタオルを持ってこさせつつ皆をリビングに誘導した。リビングに入り、まず口を開いたのは泉だった。


泉「お兄ちゃん。」


一言である。そして不機嫌である。


夕「えー、では僭越ながら私が皆様に代わりそれぞれのご紹介をさせて頂きます。まず、こちらは神田 泉、僕の愛する世界一の妹です。」


泉「はじめまして、兄から世界一愛されている妹です。そして、兄を世界一愛する妹でもあります。横に並ぶ者はいません。以上。」


夕「はい。えー後は、世界一の女友達の友紀ちゃんと、二位の美咲です。」


美咲「なんで二位?!差は??差はなんなの?!」


夕「そこの順位は日替わりです。」


友紀「はじめまして、夕君の世界一の彼女候補であり友達の友紀です。世界一です。」


美咲「はじめまして。今日は、今日は世界二位の彼女候補であり友達の美咲です。明日は一位ですけど今日はたまたま二位です。」


夕「はい。では、最後に、、、」


楓「待って夕君。自分で言います。いいかな?」


何か、決意が篭っている感じがする。これは、ふざけてはいけない。


夕「もちろん。」


楓「では。はじめまして皆様。

私は、夕君の彼女である向井 楓です。

私はまだ、皆様のように、世界一の彼女を名乗る自信はありません。

なぜなら、彼女としては、たったの一週間しか過ごせていないからです。

ただ、私にはただひたすらに彼の事を想って過ごした2年間があります。

これは、夕君も知らない事ですが、実は、命に関わる病気を治療する為に2年間日本を離れていました。

私は、夕君との未来を毎日願ったからこそ、今ここにいる事が出来ています。

生きて、ここにいる事が出来ています。

彼は、そんな事情を知らずとも、2年間私を待っていてくれました。

なので、今後も何があろうと、彼の隣りを譲る気はありません。

ここは、私の場所です。

命ある限り、私の物です。

彼女候補の友紀さん、美咲さん、もしその席が欲しいのなら、命をかける気持ちで来て下さい。

急に出てきた私がそれを言うのはおこがましいのですが、どうしても譲れない事なんです。ごめんなさい。

そして泉ちゃん。

私はひとりっ子です。

兄も、妹もいないので、妹への接し方も分かりません。

だけど、私はあなたの姉になりたい。

夕君を想うのと同じように、あなたも愛したい。

だって、あなたは夕君の大切な妹だから。

今、初めて会ったばかりで、しかもただの彼女の立場で、変な事を言っていると思うだろうけれど、私は本気で思っています。

今は、ただの変な人と思ってくれて構いません。

でも、少しずつ仲良くなってくれたら嬉しいな…。

はぁ。ちょー長くなっちゃった!

以上、私の自己紹介と決意表明でした!」


そう言って彼女はにへらっと笑った。


皆圧倒されて黙っている。


僕は決めた。



夕「楓ちゃん結婚しよう。」


楓「はいっ!喜んで!!」


泉「うん!うん!お兄ちゃん!賛成!」


美咲「私も賛成!こんな凄い子いないよ!」


友紀「私も大賛成!勝負にすらならない!何より2人の幸せを願わずにいられない!」


楓「うわぁ!幸せすぎるー!!」


夕「楓ちゃん、明日お母さんに会って?」


楓「嬉しい!じゃウチも引っ越しとか落ち着いたら来てくれる?」


夕「うん!殴られるのは割と慣れてる!」


楓「パパもママも大歓迎だよ!」


夕「あれ、ドラマと違うね。泉の彼が来たら僕は殴るけれども。」


泉「私も楓ちゃんを殴るつもりでいたけどね。」


楓「二人とも似てるね。」


夕「ところで病気はもう大丈夫なの?」


楓「全く大丈夫だよ!だから帰って来れたんだ!」


夕「後で詳しく教えてね。」


楓「もちろん!時間はいくらでもあるのよ♡あなた♡」


夕「録音するからもう一回言って!」


美咲「あのさ、この辺銭湯ない?」


夕「えっ。10分歩けばあるよ。行く?」


美咲「うん!裸の付き合いしたくなってさ!」


夕「いいけどさ、僕達2年ぶりの再会なんだけど?」


友紀「私も行きたい!泉ちゃん服貸して?」


泉「いいよ!たっのしー!ね?おねーちゃん♡」


楓「おねーちゃんキタ!!夕君!夕君!泉ちゃんがお姉ちゃんと呼んでくれたよ!」


夕「泉ぐっじょぶ!あと2年ぶりのさいか、、」


美咲「あんたさ、空気読めないの?」


夕「むしろこっちのセリフだわ!いーよもう。準備してて、高志呼ぶ。愚痴聞いてもらう。」


美咲(夕、あんた達には悪いけどね、私はどうしても知りたいのよ、そう『色違い』ってやつをね!クククッ)


次回、お風呂回

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