第4話 兄弟①

「お兄ちゃんさぁー私のこと好きすぎじゃない?」



時々、泉(妹)は何の脈絡もなくこんな事を言ってくる。


現に今なんか、夕食を食べながらお笑い番組を見ていて、CMに入った途端にこれである。



何故か上からツンした表情で言ってくるのでなかなかにウザいし正直イラっとくるけれど、ここはベテランお兄ちゃんの腕の見せどころ。



イライラ感を微塵にも出さずに 「うん!だいしゅき!」 と言って抱きついてやると 「わたしもー♡しゅきしゅきおにちゃーん♡おにちゃーん♡」って頭をグリグリ押し付けて甘えてくる……ほんとにさ、まったく…ほんと、ねぇ?



ふんっ!うちの妹よりかわいい妹はいないんだからねっ!(ギネス申請中)




さてさて、ここで突然ではあるけれど、ちょっとうちの家庭環境及び僕ら兄妹について少し語ろうと思う。



僕達がまだ小さい頃、父が交通事故で亡くなったために僕らは母子家庭で育つことになった。


遅くまで働く母が無理をしないように、と小学生の頃から僕と妹は協力しながら生きてきた。


母の頑張りや、父の遺産のおかげで割と裕福に暮らせているし、親のいない生活が当たり前だったから寂しさもあまり感じなかったけれど、甘えたい時に親に甘えられなかった妹はきっと辛い思いをしたのではないか、と思う。たぶん僕もね。



なので、自然とお互いにお互いを慰め合って育った僕達兄妹の仲は今でも凄く良い。



今だって外を歩く時は必ず手を繋ぐし、毎日じゃないけどベッドやお風呂も一緒の事もある。


最近は妹の体も大人びてきて、おっぱいも大きくなったし、下の方は森化が進んできたけれど、不思議とこみ上げるパトスは一切感じない。



僕は妹が大好きだし、可愛くて可愛くて仕方がないけれど、僕にとって妹はあくまでも妹。



同じ家族であっても母に対する感情とは全然違う想いが妹へはあって、えっと、なんだろう、保護欲っていうのかな、父親代わりに近い感じ?……んーどうだろ…うーん……あっそうだ!例えるなら犬とか猫に抱くそれと同じようなもの、なのかもしれない。



…そっか、なるほどね、妹はペットだったのか。


うん。ペットも大切な家族って言うしね。


納得。



ってあれ?これって何気に新説じゃね?論文書かなきゃ。

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