第33話
「隠れる?」
「占い師のうら、は裏方のうらという言葉に通じるの。あくまで占い師は日陰者。世間の片隅で世迷言を言ってるおばちゃんなわけ。話を聞いてその時はそんなことあるかーハハッて笑うけど、後でちゃんと思い知る。そのスタイルが正統派の占い師や」
「…………」
この人について行って本当に大丈夫だろうか?という思いはぬぐいきれないものがある。
今なら、断れるかもしれない。
お父さんとお母さんには適当に嘘をついてブッチしてしまおうか。
「姫男、ワシのこと、胡散臭いと思うとるでしょう。まあ、そうだわな。まず、あーたを占ってから決めて。ワシのことが嫌ならこちらから親御さんには言うから気にするな」
生年月日と生まれた時間を聞かれた。生まれた時間はわからないというとお母さんに電話しろと言われ、詳しい時間を聞く。
「あーた、7歳まで病院いたじゃろ?多分それは心臓関係。よーさん苦しい思いしたんやねぇ。エライ子や」
「えっ?それは親から聞いたんですか?」
「違うよ。これみんさい。小児殺っちゅう星を持っちょる。こういう子は7歳まで怪我が絶えなかったり、大きな病気を持っていたりする。加えて、あーたは五行のバランスが悪い。水と火がない。これは血液関係と心臓関係に難ありじゃ。あとは、あーた、興味本位で他人に肌を見せたらいけんよ」
え……どゆこと?
「人相学的に、初体験がまだの者は目の周りが薄桃色になっておるがあーたはない。つまるところ、もう終わっちょる。それがどっちの性別かはわからんが、覚悟がないうちはやったらいかん。なんぼ興味があっても、堪えろ」
ゾッとした。
親にも秘密にしていたのに。暴かれた。
「未来も見ていくと、あーたは21前後で運命の相手と出会う。その子は少し自信のない子や。逃げ癖もある。思い込みが激しく、周りが見えない。厄介な子や。そんな子ほど、周りがほっておかない。ただ、根は優しくていい子や。そんな子と大恋愛する、と命式からは出とる」
未来の恋についてはどうあれ、当たっている。
負けた。完全敗北だ。
「どうするね?あーた?弟子になるか?ならないか?なるとしたらワシが知ってる占いの全ての知識をあーたに教える。どうかね?」
…………。
考えてみて、どうもまゆつば物ではあるけど……何より、その目が気になった。
先を見通す目。
吸い込まれそうな目。
何もかも見抜く目。
この人についていくと、多分ろくなことはない。だけど。
「はい。弟子になります」
「じゃ、よろしくな。姫男」
考えより先に言葉が出た。
この先どうなるかはわからないが、なんとなく楽しそうな予感はした。
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