第28話
まじないのおかげか、僕は9歳よりも長く生きることができた。
医師たちはこれは奇跡じゃないか?と言っていたが、ボクには関係なかった。
幼い時から、底知れぬ恐怖と孤独があった。
お父さんもお母さんも、愛してくれている。
学校のみんなはそこそこ上手くやってる……かも。
だけど、ボクの居場所はここではないんじゃないか?という気持ちが常にあった。
たったひとり、その人の左隣りがボクの居場所。そんな気がしていた。
「好きだ!お前が男でも関係ない!付き合ってくれ!」
「いいよー」
「いやこれ、罰ゲームだから」
「そっかー!」
こういうの本当にやめろと思う。
僕の気持ちや、罰ゲームのターゲットになった人のことを考えてない。
本当にサイテーだと思う。
と、言えればいいんだけど、僕は怖くて言えなかった。
ボクはこのまま、ずっと一人で生き……一人で死んでいくのかな?
だったら誰でもいいからそばにいてほしい。
ボクは出会い系サイトに登録して、初めてを知らない誰かにあげた。
その後は名前も顔もわからない人と、体を重ねるだけの関係を繰り返していた。
そんな時だ。
その日は夏祭りで、ボクは浴衣を着て外にいた。
ママからこっそり借りた赤い口紅を差して。
その日も出会い系の人と会う予定だったが、直前でドタキャンされ、近場をフラフラとしていた。
あ。
発作だ。
痛い。
「大丈夫!?」
抱き抱えられたのは同年代くらいから少し上っぽい女の子。
髪が短めで、一見男性みたいな見かけの子。
この子だ!と、予感した。
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