第25話

唇をかぷかぷと動かしたり、下唇を唇全体ではさんだり、チロチロと舌が上顎をくすぐる。

キスだけなのに、脳みそがとろけるくらい熱くて何も考えられない。

「これ以上のことは、やめとこっか」

「うん……」

「まだ……こういうの、怖いでしょ?」

「うん」

「おいで、つきちゃん」

椅子に座ったきゅうちゃんが手を広げる。

ハグの体勢できゅうちゃんにまたがる。

「大丈夫大丈夫。つきちゃんはいい子、いい子」

やさしく頭をぽんぽんされた時、涙がひとすじツーッとたれた。

「ボクは占い師だからね、つきちゃんのことなんでもわかるよ。つらかったね。大丈夫だよ」

お互いをハグする腕の力が強くなる。

「つきちゃん、離さないからね。ずっと、ずーっと一緒だよ」

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