第17話救済

赤い車が家の前に止まる。

そこから細身の一見子供のような見た目の女性が家に入ってきた。

「こんにちは、離婚したのが生まれてすぐだから記憶に無いよね。私があなたのお母さんです。よろしく」

「は、はあ」

「乗って。カラオケ行きましょ」

と、いい、車に乗るように促される。

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カラオケの個室に連れて行かれた。

「何があったかはあなたが話すまで聞かないよ。さ、歌いましょ。何歌う?ゆずとかどう?それとも西野カナとか?」

お母さんってこんなかんじなのかな?

「あ、あの」

「なあに?」

「お父さんにDVしてたって、まじ?」

こんなに小さくて力がなさそうな人なのに、暴力をふるえるのだろうか?

「ああ、あれね。その前にあいつがとち狂った発言したから、ビンタしただけよ。」

「ビンタ……」

「仮にさ、あなたが旦那から「女は子供を産むから価値がある。だから、お前がブスでも我慢してやってんだ』『家事するのも女の仕事だから、当たり前だ』みたいなことずっと言われ続けりゃ誰だって殴りたくもなるよ」

「あいつなら言いそう」

「私はバカだからさ、録音して名誉毀損で訴えるって考えができなかった。だから、裁判で不利になっちゃったんだよね」

「そうだったんだ」

「あなたを手放すのは本当に悪かった。もしかしたら……すごくひどいこと言われてるんじゃないかって心配だった」

先日の発言がよみがえる。

「やっぱり、なんかあったんだね」

ことのあらましを全部お母さんにしゃべると、みるみるうちに顔が真っ赤になった。

「なにそれ!信じられない!それは、家から出た方がいい」

「でも、出ても行くとこないし……」

「お母さんのところ、おいで」

この人がどんな人かはわからない。

信じられるひとかもわからない。

だけど、今のままだと私はダメになる。

「……はい。行くよ。お母さんのところ」


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