第15話 あの夜

「お前、同性愛者か?」

父親が吐き捨てるように言った。

なぜ……それを。

「お前が寝てる隙にYouTubeのマイリスとGoogleの検索を見た」

「最低!なんでそんなことするの!」

「子供の管理は親の義務だ!」

「は?過干渉でしょ!さすがにこれは!」

バシン!

父親が私をビンタした。頭の中がグワングワンと響く。

「親に口答えするな!」

何も言えなくなる。

「同性愛者ってのはなあ、異性に抱かれたら治るんだ。どれ、お父さんが最初の男になって、男のよさを教えてやろう。お父さんが月子の病気を治してやるからな」


その後の記憶はない。


朝になり、ベッドに寝かされていた。

いつのまにか、パジャマに着替えさせられていた。

「っつ、痛」

動くたびに腰が痛く、トイレで用を足すとおしっこではない透明な液体が月一で血が流れる箇所から大量に出る。

「ああ、おはよう。月子」

ポンと肩を叩いた時全身が総毛立ち、吐き気をもよおす。

「同性愛者は治ったか?」

気持ちが悪い。

それが、高一の夏。

私は16歳だった。

その後も『同性愛を治す』というテイでそういうことがあった。

ただただおぞましく、気味が悪かった。

この人と一緒にいたくない。

法が許すなら


殺してやりたい







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る