5
日が沈むと、墓場には殆ど光が無く、とても暗くなった。
俺が持って居る懐中電灯だけが頼みの綱だが、そういえば、電池って新しい物に変えたっけ?
俺の手を握っている、かのんちゃんの手が少し震えているように思えた。
そこで、少し気晴らしに話をしようと思った。
「かのんちゃんは、部活何してるの?」
「えっ?
ええっと、今は何もして無いです。」
「そうなんだ。
俺は、パソコン部に入ってるんだ。」
少し胸を張って言ったが、かのんちゃんに、思いっきり引かれた。
「そっ、そうなんですか。。。
あの、パソコン部って、どんな事するんですか?」
「まあ、ソフト作ったり、調べ物したり、かな。
そう言えば、この前調べ物してたら、随分前に、この近くで起きた殺人事件の記事を偶然見つけてね。
その時に殺された人の霊が、今でも、この辺りを彷徨っているらしいんだ。」
かのんちゃんが、ギュっと俺の手を握った。
「あっ、あの、その話って、今しないと、ダメですか。」
それを聞いて、またまた、しまったと思った。
「あっ、ごっ、ゴメンね。
怖がらせるつもりは、無かったんだけど。」
「うっ、うん。」
かのんちゃんは、俺に体を寄せると、ギュっと腕にしがみ付いてきた。
「あの、通路が狭くなって。」
「あっ、そうだね。
足元、気を付けてね。」
そう言って、かのんちゃんの足元を照らそうと、懐中電灯を下に向けた時、突然、懐中電灯が消えた。
やっぱり、やっちまった、だ。
電池が切れた。
そう思ったが、そうとは言えず、
「あっ、あれ、おかしいな、急に消えた。」
そう言って、懐中電灯を振った。
「ひぃー、りゅっ、リュウスケさん。。。」
かのんちゃんは、涙声でそう言うと、さらに俺の腕にしがみ付いた。
俺は顔が真っ赤になり、心臓がバクバクした。
もちろん、それは怖いからではなく、かのんちゃんにしがみ付かれたからだった。
「だっ、だっ、大丈夫、落ち着いてゆっくり歩けば、行けるから。
ほら、月も出てる事だし。。。」
そう言って、夜空を見上げると、丁度、月が雲に隠れる所だった。
「りゅっ、リュウスケさん、わざとやってません?」
かのんちゃんが少し涙を浮かべながら、ビクビクして言った。
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