2
「何だよ、俺に参加して欲しく無いのか?」
ゴウタが少し睨みながら言った。
「うん、まあ、ストレートに言えば、そう言う事だ。」
「何でだよー?」
と言ったところで、ようやくゴウタもピンと来たらしい。
「ふぅーん、組み合わせに不満があるんだな。
だが、『田口ひなこ』ちゃんも、可愛いんだぞ。
『北原かのん』ちゃんに比べると、少し見劣りするけどな。」
ゴウタは、俺がひなこちゃんに不満があると思ったらしいが、そっちじゃない・・・。
えっ?
ゴウタも、かのんちゃん狙いか!
ゴウタと別れると、急いで、近所のお寺までお参りに行った。
「どうか、『北原かのん』ちゃんと一緒に、肝試しを回れますように。」
お賽銭も、しっかりと500円も入れ、念入りにお願いした。
受験の時の神頼みより、ハッキリ言って高額だ。
肝試し当日、集合時間の10分前に、お寺の境内に行った。
しかし、誰も居ない。。。
えっ、ひょっとして、ドッキリか、悪戯か?
そんな事を思っていると、かのんちゃんが来た。
「あっ、こんばんは。
リュウスケさんですよね。」
「ああ。
かのんちゃん、だね。」
出来るだけ笑顔を作って言ったつもりだったが、かのんちゃんの顔は引きつっていた。
「えー、まだ、誰も来てないんですか。」
かのんちゃんが、困った顔で言った。
「ちょっと待ってね。
連絡してみるから。」
そう言って、ゴウタに電話した。
「いやぁー、悪いなぁ。
急に、母親から用事を言いつけられて、行けなくなった。」
「何だよそれ。
用事頼まれても、無視するんじゃ無かったのかよ。」
「いや、まあ、あれは言葉のあやみたいなもんだ。」
「じゃあ、他の連中も来ないのか?」
「ああ、みんな、やっぱり止めるってさ。」
「俺は良いけど、かのんちゃんは?」
「かのんちゃんには、1年の男子が連絡してる筈だぜ。」
「俺だけ、連絡して無かったのか!!」
「いやぁー、悪い、すっかり忘れっ。。。」
全てを聞き終える前に、電話を切った。
チラリと横を見ると、かなり引きつった顔の、かのんちゃんが居た。
「どうやら、肝試しは中止するって。
それで、かのんちゃんへは、1年男子が連絡しているらしいんだけど。」
かのんちゃんの顔色を見ながら言った。
「えっ、連絡くれたの?」
そう言って、かのんちゃんは、スマホを見た。
「あーっ、この番号、それだったんだ。
知らない番号だったから、無視してた。」
かのんちゃんは、少し青い顔をして言った。
しかし、かのんちゃんには悪いが、俺はこころの中で、
『かのんちゃん、グッジョブ!!』
と叫んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます