エピローグ
本当に信じられない--。
雪平は、目の前の少女を見ながら驚いていた。
「なんす?」
少女--コピーは雪平の視線が気になり問う。
雪平は「何でもないよ」と首を横に振った。
雪平とコピーはエリアBにて、再び顔を合わせていた。
彼女達はそこらにあるベンチに座り込んでいた。
雪平はコピーに仕事の褒美を与えなくてはと、小さな紙袋をコピーに手渡していた。
「本当は魚料理をご馳走したかったんだけど……予算がね。それで勘弁して」
「?」
コピーが紙袋を開けると、そこには【たい焼き】なる物が入っていた。
コピーは「食べていいんす?」と聞き、雪平は「いいよ」と言った。
コピーはカプリと、たい焼きを口にした。
特徴的なアホ毛がぴょこんぴょこんと跳ねた。
無表情だが、その様子から雪平はお気に召したのだろうと察した。
--感情のセンサーか何かなのかな?
雪平はそう思考しながら、彼女の頭を恐る恐る撫でた。
コピーは不思議そうに雪平を見つめたが、嫌がりはしない。
本当に先程の任務からは想像がつかないほど、コピーが大人しくなっていることに雪平は驚く。
コピーが兵器であることに変わりはない。
それでも雪平はコピーに一人の人間として、愛情を注ぎたいと考えていた。
雪平はコピーに言う。
「他にも美味しいものがあるからね。これから一緒に頑張ろうね」
「おぉー! やったい焼き」
その一言に、雪平は微笑んだ。
虚眼のジェノサイダー 夜缶 @himagawa
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