第三十夜 空き家
これは数年前に友人のO君が体験した話です。
O君は大学卒業後に、就職をきっかけに長崎県から都内へ引っ越して来ました。
とりあえずお金が貯まるまでの借り家として、小さなアパートを借りたそうです。
アパートの前には大きな屋敷があったそうですが、空き家になっており潰す事も出来ずに長年そのままにされていたそうです。
誰も住んでいないと聞いたにも関わらず、深夜になると物音が聞こえる位の大きな音がO君のアパートにまで聞こえていたそうです。
とある日、次の日がたまたま休みだった事もあり、夜遅くまでお酒を飲んで、趣味のゲームをしていたそうです。
あまりにも物音がするので、そーっと窓から向かいの空き家を見ると、窓に張り付く女の姿があったそうです。
「見るからにこの世のモノとは思えなかった」…と言うO君に、何でそう思ったと聞くと、「顔は陥没し、首は物凄い角度に折れ曲がり女性であるという事以外は生きている人では無かった。」と彼は言いました。
O君はそれを見て以降、引っ越しましたが本当にそうだったのか?と一緒に見に行こうと言われました。
どんな空き家なのかと言う興味もあり、私とO君はその空き家を訪れました。
アパートはO君が引っ越してから3年経っていたこともあり、跡形もなく無くなっていましたが、空き家はそのままありました。
かなり、大きなお屋敷で蜘蛛の巣や、不法投棄をされたりしていました。
でも明らかに嫌な雰囲気がそのお屋敷から出ているのが直感でわかりました。
どうも窓から誰かに見られている感じもするし、お昼に訪れているにも関わらずそのお屋敷だけは暗いオーラで包まれている感じでした。
とりあえずO君が体験した深夜に訪れる事にしました。
深夜に訪れると、また一段と暗いオーラが増しているようでした。
しばらくすると、ガタガタ、ドンドンと空き家からはしないような音が響きます。
一緒に見に来ていたO君が玄関先を指を指して、ガタガタ震えています。
「どうした!何があった」と近づいた私は絶句しました。
玄関先からこっちに向かって来よとしているのは赤いワンピースに赤いハイヒールの下半身だけの人でした。
私とO君は一目散にその場所から離れました。
慌てて逃げ帰った私たちは、とりあえず帰ることにしました。
後日、近所の方に何か不思議な現象や過去にどんな人が住んでいたかを聞こうとしましたが、この家の話をするとどの人も口を閉ざして何も答えてくれませんでした。
今でもまだあの屋敷はあるのかはわかりませんが、とにかく深夜には絶対に近付いてはいけない場所であるのは確かです。
第三十夜 空き家終わりです。
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