第二十六夜 藁人形
ある夏の日、知り合いの玉井さんは友人らと肝試しをしていたそうです。
玉井さんが大学生の頃、サークルの合宿に出掛けた先は山奥で近くには墓地や旧火葬場、小さな神社と多くの心霊スポットと呼ばれる場所がありました。
大学生となると、どうしても夜ワイワイ騒ぎ仲間たちで肝試しをする流れになったそうです。
まずは墓地から肝試しをし、特に何もなく。
旧火葬場も特に何もなくて、「何も起こらんな〜」と口々に言い、そろそろ飽き始めていた時でした。
最後に訪れたのが小さな神社、「墓地でも旧火葬場でも何も起こらんかったし、こんな小さな神社で何か起こると思えへんねんけど…」と、仲間たちは口々に言いました。
ところが一人、「おい、あれ見ろよ!」と神社の奥にある大きく太い木を指差します。
その木には藁人形が打ち付けられていて、「ここはもしかしたら出るぞ」と言う、流れになりました。
丑三つ時を待って、皆で肝試しをしていると「おい!何だあれは!」と藁人形が打ち付けられている木を見つけた一人が指を指します。
その方向に皆で、懐中電灯を向けると背中を向けた白装束の人が立っています。
皆、恐怖でその場から動けずにいると、ゆっくりとその白装束の人がこっちを向きました。
白装束の人は女性であるものの、その顔は両目は腫れ上がり、顔全体が溶けているかのような恐ろしい顔でした。
腰を抜かした玉井さんと仲間たちの方にゆっくりと近づいてくる、その姿全体がこっちに向けられます。
手も片方なく、ボロボロになっている白装束の女は近づいてくる途中でスーぅっと煙のように消えたのでした。
恐らくですが、藁人形は誰かに見つかると全ての呪いが自分に降りかかると昔から言われてきました。
この白装束の女も、他人を呪っていたのが誰かに発見され、全ての呪いがこの女に降りかかったのでは無いかと玉井さんは言っていました。
人を呪わば穴2つ、まさにその言葉通りの事が起きたのかもしれません。
第二十六夜 藁人形、終わりです。
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