第二十二夜 猫

数十年も前の話です。

仕事で溜まったストレスを野良猫にぶつける、いわゆる動物虐待をしていた男がいたそうです。


その男は人柄も良くて、会社での評判も良くて、周りの人からも信頼され一目置かれていたそうです。


しかし、その男には豹変ぶりがあり、仕事が終わると仕事で溜まったストレスを毎日のように自宅近くの公園で野良猫を虐待していたそうで、そんなある日毎日のように暴力を受けた猫は遂に力尽きて亡くなってしまったそうです。


それからも男のストレス発散は同じ公園にいる野良猫にぶつけられました。


そんな毎日が続いたある日、その男の隣に綺麗な女性が引っ越して来たそうです。


その男は好意を抱き、女性にアプローチし、遂にデートをして貰えるようになったそうです。


デートを重ね、その男は結婚指輪を持ってプロポーズする事にしたそうです。


男は「あなたを幸せにします。結婚してください」と女性に言いました。


その時、その女性は「フフフ…」と笑いだし、見る見る顔が変わって行きました。


その顔は間違いなく、あの時虐待していた猫の顔で、その男の暴力により顔は傷だらけ、目も開いてるかわからない顔だったそうです。


男は咄嗟に逃げようとしましたが、女性とは思えない程の力で引っ張られたそうです。


「私はあの時、あなたに殺された猫です。あなたの事は絶対に許さない!一生恨んでやる!」と女性はそのままスゥーと姿を消したそうです。


男は自宅に逃げ帰りました。

それからと言うもの、男は次第にあの時の女性(猫)の顔とセリフが頭から離れず、精神の病に掛かり数年後自殺したそうです。


言葉も話せない、人間にも逆らえない小さな動物の命を奪った代償は本当に大きかったのです。


第二十二夜 猫、終わりです。

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