第二十一夜 指輪
清掃員として働く山木さんは長年この仕事をしています。
ビルやオフィス、マンションと色々な場所での清掃の仕事が毎日あるそうで、その中で1番恐怖を感じたとおっしゃっていた話です。
山木さんが7年前に担当したのがマンションの清掃でした。
3日間のマンションの清掃はワンフロアで一日掛かるほど広い上に汚れもしつこかったようです。
そんな清掃をしている最後の3日目、3階のフロアを清掃していると、古びた指輪が落ちていたそうです。
その指輪には「naoto&yuki」と名前が掘られていたそうですが、結構な年月が経っているのか指輪は錆びている部分もあったそうです。
一応管理人さんに落とし物として渡しておこうと思い、管理人さんに渡しに行くと「これ、どこで見つけたの?」とかなりの剣幕で言ってこられたので、これは何かあるなと感じたそうです。
一日かけて、そのフロアの清掃を終え、もうこのマンションに来ることは無いなと思って自宅に帰りました。
帰り道、人の気配を感じ振り向いても誰も居てなくて不思議な感じがしたそうです。
仕事の疲れもあり、寝床に着くとすぐに眠ってしまった山木さんでしたが、久しぶりの金縛りにあいます。
そこには、自分の部屋をグルグル何かを探している見たこともない女性の姿だったそうで、声を掛けようにも声が出なかったらしいです。
それからと言うもの毎晩のように金縛りになり、その女性が現れ、何かを探している。
すぐに、あの指輪だと思い、あのマンションへ再び向かいました。
管理人さんに問いただすと、数年前にこのマンションに若い夫婦が入居したらしいです。しかし、奥さんの方がゴミ出しの際に誤って指輪をどこかに落としてしまった。それを浮気と勘違いした旦那さんとの喧嘩の末、奥さんは暴力により亡くなられたそうです。
それからと言うもの、マンションでは不可解な音や声、徘徊している女性の霊が見えると言う声が相次いだそうです。
すぐに、その指輪を返してもらい、その方が住んでおられた部屋の前に指輪そっと置いておいたそうです。
それからは山木さんの金縛りも止まり、あのマンションでも不可解な現象は亡くなったそうです。
あの女性は、ようやく指輪が見つかり浮かばれる事が出来たのかもしれません。
第二十一夜 指輪、終わりです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます