第十二夜 付いてくる赤いドレスの女

ある山奥にある橋桁、極々普通の橋桁ではありますが、見える人には「あ、今人が落ちた!」「赤い服の女の人が飛び降りた!」となるほどハッキリと見えるそうです。


橋桁から下を覗いても、人は倒れてもいないし、川が緩やかに流れているだけだそうです。


そんな事から心霊スポットにも入っているらしく、時々遊び半分で夜に訪れる者も多々見られるそうで、そんな若者の一人から聞いた話です。


彼は友達4人でその橋桁を深夜に訪れたそうで、肝試しをする事になったそうです。

1人戻ってきたら、交代でまた1人と順番に橋桁に行って何か出るか?見えるか?って言うのをやっていたそうです。


彼は3番目で、前の2人は「本当にここ心スポかよ!何も見えないし、そんなオーラも感じない!」と言っていた事もあり、それほどの恐怖心は無く行って戻ってくるだけだと思っていたそうです。


彼が橋桁に差し掛かった時、懐中電灯の明かりの先が何かを照らしました。


よく照らしてみると、今度は懐中電灯の明かり全体に赤いドレスの女が橋桁を歩いています。


恐怖のあまり、その場に腰を抜かして懐中電灯まで落としてしまったそうで、次に照らしたときにはその女の姿はありませんでした。


そのままの勢いで3人の元に走って帰った彼でしたが、3人とも顔が硬直して固まってガタガタと震えてしまっていたそうです。

「おい、〇〇落ち着いて聞けよ…お前の肩にな赤い服の女が多い被さってる…」と友人の1人が言ったそうです。


逃げ帰るようにして帰った4人でしたが、彼の身に起きた事はこれだけでは無かったのです…。


それから数日経ったある日、あの赤いドレスの女の事も忘れて普段通りの生活を送っていました。


当時彼には付き合い始めて、数カ月の遠距離の彼女が居てこの日は、あの件以降初めて会う日でした。


彼女は彼を見るなり、「その後ろの女の人誰?」って聞くんです。

「女の人?もしかして赤いドレス?」って彼が聞くと、彼女は首を縦に振ります。


やっぱりまだ付いて来てたんだ…とそれからようやくお祓いに行くことになりました。


お祓いに行っても1度だけでは身体から出て行かず、2度目でようやく身体から抜けたそうです…。


何故この赤いドレスの女が彼に取り憑いたのかは定かではありませんが、霊媒師の方曰く、赤いドレスの女の恋人が彼に似ていたのでは無いかと言う事でした。


彼はこの体験以降、遊び半分でこう言った場所に行くのは絶対に止めたほうがいいと言っています。


第十二夜 付きまとう赤いドレスの女 終わりです。






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