第十夜 感動心霊話
看護師の方から聞いた感動する心霊話です。
看護師さんの三浦さんは小児科担当の看護師さんで、主に重い病気や難病の子たちを担当していたそうです。
三浦さんがこの病院に来る前から、8歳のハルト君と言う男の子が難病で入院していたそうです。
三浦さんには中々心を開いてくれず、無視したり、言う事を聞かなかったりばかりしていたそうです。
そんなハルト君でしたが、日に日に容態は悪化していき、走ったり喋ったりする事もできなくなって来ていたそうです。
難病で薬がまだまだ発見されておらず、ただ進行を食い止める薬しか投与出来ず、その薬も効果を発揮しなくなって来ていました。
それでも、手紙を書いたりと手を動かすことだけは以前のまま行えていたそうです。
そして、三浦さんに心開かぬまま、春の初め頃にハルト君は天国へ旅立ったそうです。
家族がハルト君の使っていた服などを持って帰り。「ハルト君は、本当に亡くなってしまったんだな…」と改めて実感させられていた時でした…カタカタカタカタと病室の戸棚が音を立てます。
恐くなった三浦さんは逃げるようにこの部屋を出てしまったそうです。
その日以降、ハルト君が使っていた病室からスゥーと横切るハルト君位の男の子のシルエットだったり、カタカタカタカタと言う音が続いていたそうです。
そこから数日して、夜勤で勤務していた三浦さんが夜回りしていると、カタカタカタカタと言う音がまたしていました…。
三浦さんが言うには、この時だけは恐怖心が無く、その戸棚へ近づけたと言うのです。
戸棚には手紙らしきものがありました。
ハルト君が最後の最後まで書いていた手紙だ…と思った三浦さんの目に飛び込んできたのは、手紙の端の方に「三浦さんへ」とハルト君の字で書かれていたのです。
三浦さんはすぐに手紙を開きました。
そこには「三浦さん、いつも看病してくれてありがとうね。僕の病気は治るのにすごく時間がかかるらしいけれど、僕は頑張るよ!いつも優しくしてくれる三浦さんがとても好きです。
いつか僕も三浦さんのような看護師さんやお医者さんになりたい!」と書いてあったそうです。
三浦さんは、今でも大事にその手紙を取っていて。「私が辛いときは、これ見て頑張ってるの」とおっしゃっていました。
それ以来、ハルト君のような影や、カタカタカタカタする音も無くなりました。
ハルト君は、三浦さんに渡しそびれた手紙の場所を教えに来ていたようです。
第十夜 感動心霊話 終わりです。
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